04:28 2020年09月29日
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中国を牽制するため、英国の最新鋭の空母「HMS Queen Elizabeth (R08) 」をトップとする空母打撃群がアジア太平洋地域に派遣されるかもしれない。同空母にはおそらく英国と米国の航空機F-35Bが搭載されるほか、魚雷と空対地ミサイルを搭載できるヘリコプターMerlinも配備される。

HMS Queen Elizabeth」は2017年12月7日に英国海軍に就役。同級の2番艦である「HMS Prince of Wales (R09)」は2019年12月10日に就役し、2023年に実戦投入の準備が整う計画だ。

これらの空母は他の類似の艦船とは異なる特徴を持つ。まず、この空母は日本のいずも型ヘリ空母や米国のアメリカ級強襲揚陸艦とは違い、F-35Bのために特別に設計されたものである。また、輸送用ヘリコプターCH-46 ChinookやV-22 Ospreyも搭載できる。

2点目に、この空母は海兵隊2個中隊(各120人)を常時搭乗させ、ヘリまたは定員36人の上陸用船艇2隻を使って上陸させることができる。この空母の最大乗員数は1600人である。

3点目に、「HMS Queen Elizabeth」は満載排水量65,000トンの大型艦である。排水量は「いずも」の満載排水量(27,000トン)の2.4倍、強襲揚陸艦「USS America」(45,500トン)の1.4倍だ。

言い換えれば、この英国の最新鋭の艦船を単なる空母だと考えるべきではない。おそらく空母と揚陸艦と輸送艦の能力をあわせ持つ汎用型軍艦と呼ぶべきだろう。

このため「HMS Queen Elizabeth」が南シナ海に現れれば、この海域のパワーバランスを大きく変えることになる。

とりわけ中国との対立が数百万人の兵力を動員する全面戦争を想定せず、係争の南沙諸島を巡る小規模な衝突を想定すると考えるのであれば。その衝突が陸海空のすべての兵器を使用するものだと考えれば。また特定の島の占有よりも、双方の軍事力の誇示ために局所的な衝突が起こるというシナリオ、太平洋版のフォークランド紛争を想定するのであれば。

そのようなシナリオならば、係争の1つの島あるいは複数の島から中国軍を追放する作戦において、英国は十分に有志同盟の攻撃の要になれる。米海軍(空母と沿岸戦闘艦)と日本の海上自衛隊の支援を受け、他の同盟国の参加があれば、英国軍が圧勝することは十分に可能だ。

もし紛争を想定していないのであれば、英国の空母が登場するだけでも、この地域における中国への牽制はより確実なものになるだろう。

おそらく、「HMS Queen Elizabeth」の太平洋への派遣は米国の利益を踏まえて計画されたものであろう。まず、ホワイトハウスは先日、中国の領有権主張に反対する南シナ海諸国を支持すると約束した。約束は果たさなければならない。次に、米海軍では何やらおかしなことが起きている。ジェラルド・フォード級の1番艦である最新鋭の空母「USS Gerald R. Ford (CVN-78)」がカタパルト、兵器用エレベーター、動力部の故障に付きまとわれて、実戦投入の準備が整わない。強襲揚陸艦「USS Bonhomme Richard (LHD-6)」はサンディエゴ基地で火災に見舞われ、大きな損傷を負った。米海軍はさまざまな事故や事件で弱体化している。おそらく、米海軍には南シナ海での有事に備え、すでに増援部隊が必要になっているのではないだろうか。

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