10:24 2020年12月03日
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安倍首相辞任 自民党新総裁に菅官房長官を選出 (52)
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日本の安倍首相の辞任のニュースは、あまりに多くの出来事が重なり、ここ数日間、飽和状態にあるロシアのマスコミの中でも最も主要な話題となった。安倍首相は、ロシア大統領との顔合わせの回数ではあまたの外国の指導者の中でも最高記録を達成していた。ロシア政界のみならず、一般市民の間でもある種のネガティブな感情を呼び起こす南クリル諸島の行方について、安倍氏が最高レベルでの活発な対話を行っていたことも、それにも劣らぬ重要性がある。

にもかかわらず、安倍首相の辞任にロシアでこれだけ慈悲深い反応が示されているのはなぜだろうか?

露大統領府のドミトリー・ペスコフ公式報道官は28日の記者会見で「安倍氏とロシアの指導者ウラジーミル・プーチン氏の間には「見事な実務的関係が築かれており、それをロシア大統領は高く評価している」と語った。ペスコフ報道官は、安倍氏は「二国関係の発展に評価しきれぬほど大きく貢献しており、あらゆる係争問題を、最も複雑な問題でさえも交渉および相互に関心のある分野での関係発展のみを手段として解決するという、安倍氏の原則への信念には、ロシア大統領も完全に心を同じくしていた」と語った。

この声明は、一般の出来事にルーティンで出されているコメントよりずっと重みがあると思う。

日本の戦後政治家らは、国内の政治の様相やその時の国際状況に依拠しつつ、「領土問題」の解決に前向きな姿勢を宣言してきたが、もちろんのこと、それは自分たちの条件に限定した話だった。事実上、これは二国間関係を領土というコンテキストを超えて改善する、あらゆる試みへは断固とした「否」を示すものだった。

安倍氏は形の上では従来の日本の立場から外れてはいなかった。安倍氏はだが、日露の政治対話のなんらかの質的転換を目指していたようだ。いずれにせよ、プロパガンダ的レトリックから離れ、そこそこ建設的な政治対話にこぎつけたのは安倍氏をおいてほかにはいなかった。

これはもちろん、安倍氏が固執の面前で亡き父の意思を遂げると約束したからではない。世界、アジア太平洋地域、北東アジアの情勢がこれへ背中を後押ししたからである。米国が同盟国の防衛に危険な重荷を負うことは望んでいないのではないかという疑惑は何もトランプ政権時に始まったわけではなく、中国の政治的、軍事的な復活に加え、露中の地政学的同盟が強化されたことで、日本はようやく自国の世界における政治的ステイタスを、経済、文化的ポテンシャルと合致させ始めた。

最初の一歩を踏み出す役目は安倍晋三氏に振られた。そしてこれが彼の歴史的なミッションだった。

アベノミクス、敗北した大国という精神性に終止符を打つこと、積極的な外交、軍事政策、そして  余りに曖昧な日本の軍隊の余りに曖昧な状態にけじめをつける憲法改正の路線。日本は戦後に完全な主権を樹立しなかった国という地位を退けはじめていた。

安倍氏とプーチン氏が何度も顔を合わせながらも、何の成果を生まなかったように思われている会談は、このコンテキストでとらえる必要がある。 プーチン氏と幾度も会談を繰り返した安倍氏はこのことで政治的失明の中で反発をくらい続けた。

ロシア側からはこれは、北東アジアのパワーバランスに影響を及ぼし、ロシアが中国に一歩的に偏ることを防ごうとする自立した試みと捉えられていた。このためこのような問題の捉え方はロシアにとっては十分に受け入れられるものであり、ロシアの考えに近い多極化のコンセプトを認めるものでもあった。

それにロシアも、安倍政権時代には日ソ共同宣言に入れられたフルシチョフのこずるいフレーズから離れた。ロシアは諸島の引き渡しを「日本の国益を考慮する」のではなく、「領土と自国の安全要求に関するヤルタ合意の日本の公式的な認識」に立脚して話し合う構えだった。これはつまり、「非合法的占領」に関する話し合いを一切行わず、領土は(第一に米国の同盟国による)軍事化を行わないという絶対の保証を意味している。

明白極まりないが、これらの条件を比較的短期の任期でやり遂げるのは、日本の首相たちには難しい話だ。ところが安倍氏は露日政治対話プロセスを開始させた。彼の後釜がこれを引き継ぐか否かは大きな疑問だ。だがはっきしていることがひとつある。それは日本の政治、防衛を米国のアウトソーシングに委ねる時代は過去のものになりつつあることだ。そしてこれは安倍氏が成し遂げた歴史に残る偉業なのだ。

この記事に示された見解はスプートニク編集部のものとは必ずしも一致していません。

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