14:20 2020年11月29日
オピニオン
短縮 URL
筆者 :
2020年米国大統領選挙 (176)
0 126
でフォローする

米大統領選の速報結果によると、ジョー・バイデン氏が僅差でリードしている。しかし、開票作業は続けられており、最終的な結果はまだ変わる可能性がある。日本にとってバイデン氏とトランプ氏、どちらの候補者がより魅力的なのか?アメリカ政治に詳しい拓殖大学国際学部の佐藤丙午教授がスプートニクのインタビューに答えた。

バイデン政権に知日派 日本が担う「橋渡し役」は消失

バイデン政権では、知日派(ジャパンハンドラー)が多く参加することになるとみられている。これは日本にとって何を意味するのだろうか?

佐藤教授:「バイデンさんが大統領になると、確かに、今まで外れていた知日派の人たちが政権に沢山入ってくると思います。そうなった時に、日本の個別の利益というものにあんまり配慮されない可能性もあるし、ジャパンハンドラーは日本固有の利益というのは何か良くわかっていますので、それを日本のために推進するというよりは、アメリカの外交安全保障政策のために日本の主張を抑えるというふうに話が動くと思います。」

また佐藤教授は、大統領選でバイデン氏が当選した場合、日本は国際舞台での権威を失う恐れがあると分析する。

佐藤教授:「だからG7のなかで『橋渡し役』をやるって言うのは、トランプ政権の中でのみ有効だった話です。バイデンさんが大統領になりますと、ヨーロッパもバイデンさんを歓迎するでしょうから、日本がそれほどユニークな立場を取ることはできなくなると思います 。」

日米軍事同盟:日本の駐留経費の増額問題はどうなるのか?

2021年3月に期限を迎える在日米軍駐留経費をめぐる協定。もしトランプ氏が政権にとどまれば、米軍駐留経費(「思いやり予算」)の大幅増を要求するとみられる。この問題に関する米国の立場は、バイデン氏の下で軟化する可能性はあるのだろうか?

佐藤教授:「日本の駐留経費の増額問題というのはアメリカがずっと日本に求めてきたことなので、バイデン氏が大統領になったから、駐留経費の増額の圧力が弱まるとは考えていません 。 やはり、日本の防衛費はGDPに比べて少ないですので、来年3月の防衛費の増額を求めてくるでしょうが、それを日本の軍事力を増強するというよりは、駐留経費のような形でアメリカに資金を動かすような要求を求めてくる可能性が高いと思います。」

バイデン氏のアジア政策:中国、北朝鮮、尖閣諸島の扱いはどう変わるのか

バイデン氏はトランプ氏ほど中国に対して厳しい立場を取らないと推測されることから、南シナ海や東シナ海における米国の安全保障政策も軟化するのではないかと懸念されている。

トランプ氏が勝利を宣言 正式な結果確定はまだ
© 写真 : Public domain / Official White House Photo / Andrea Hanks
佐藤教授:「私はその懸念に根拠がないと思います。というのは、今のトランプ政権の外交安全保障政策の基本は第一目のオバマ政権のものですので、バイデン政権になったからと言ってそれほどドラスティックに変わるようには思いません。ただ、トランプ政権は中国との間でかなり対立的な政策を推進してきましたので、それに対してバイデン氏がやや穏健な政策を取る可能性はあると思います。そうなったときに、南シナ海問題と技術摩擦問題と、あと貿易摩擦問題と、または中国の人権問題というのを天秤にかけて、その中で南シナ海問題の重要性が多少下がる可能性はあると思いますけれども、中国の軍事支出を抑えるという意味での政策に大きな変更あるとは見てません。」

その一方で佐藤教授は、バイデン氏の下で尖閣諸島北朝鮮をめぐる問題の優先順位が確実に低下する恐れがあると分析する。

佐藤教授:「尖閣諸島や北朝鮮をめぐる問題がアメリカにとって重要でなくなるというよりは、尖閣諸島の問題とか北朝鮮の問題っていうのは今のまま安定させれば良いということになると思いますので、そうなってくると、戦略的安定性の方を重視する方向に動くと思いますので、そうなると、尖閣や北朝鮮問題っていうのはややプライオリティから下がる可能性は高いと思います。」

トランプ氏が2期目に就任しても日米関係は何も変わらないのか?

佐藤教授:「トランプ氏が大統領になった時には、それほど大きく変わるようには思っていません。しかし、これまでの日米関係は安倍さんとトランプさんという個人的にすごく親しい関係の中で動いてきましたので、菅さんとトランプさんの間のケミストリーがどれだけいいかまだ謎ですので、そこが一つのポイントになってくると思いますし、予想だけで言うと、菅さんとトランプさんの間の関係はあまり良くないと思いますので、そうなった時に日米関係が安倍政権の時のように円滑に動くかどうかというのは疑問だと思います。」

トランプ氏とバイデン氏:結局どちらが日本にとって有益なのか?

佐藤教授:「トランプ氏の外交安全保障政策の特徴は個別の一つ一つの安全保障上の争点を中心に外交政策を組み立てるっていう形を取っていたと思います。だからそういう意味において日本にして見ると、やりやすかったのは事実だと思います。

バイデンさんは、どちらかと言えば、多国間の中での安定を求めますので、そうなってきた時には個別の安全保障の争点というのをあまり核にクローズアップするのを好まない傾向にあるんじゃないかなという予想はしています。バイデン政権になったとすれば、例えば、地球環境問題とか人権問題を推進するために個別の安全保障問題の重要性を下げるであるとか、別の安全保障上の問題を挙げるであるとか、そういう操作がなされると思います。

そこでの操作が日本にとって好ましいかどうかってことになると、日本政府は十分に対応しようとしているようですけれども、これまでの日本の外交政策のスタイルを見る限りにおいては、あまりそういうのは得意じゃないのではないかなという気がしています。」

この記事に示された見解はスプートニク編集部のものとは必ずしも一致していません。

トピック
2020年米国大統領選挙 (176)
タグ
日本, 選挙, 米国
コメント・ガイドディスカッション
スプートニク経由でコメントFacebook経由でコメント
  • コメント