00:49 2021年03月09日
オピニオン
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東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)はここ数日、SNS、マスコミ界でアンチヒーローだ。森氏は2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で女性への性差別的発言を行っておきながら、その後、辞任を要請する声が高まるとこれに激怒した。社会は女性をバッシングから擁護できるのだろうか、日本の高官らの抱える、ぬぐい切れない性差別が海外における日本のイメージにどう影響するかについて、スプートニクは検証を試みた。

女性が自由にものを言うと森さんはいらいらするの?

森氏は2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会の席上、女性は競争意識が強いために誰か1人が発言すると自分も言わなければいけないと思って、みんなが発言するとして、理事会に多数の女性がいると倍の時間がかかると揶揄。また発言時間の規制も提言し、そうでないと「なかなか終わらないので困る」とぼやいてしまった。

森会長は「テレビがあるからやりにくいんだが」と前置きしたうえで、「女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです」とも発言。「女性の理事を増やしていく場合は、発言時間をある程度、規制をしないとなかなか終わらないので困ると言っておられた。だれが言ったとは言わないが」などと語った。

また、「私どもの組織委員会に女性は7人くらいか。7人くらいおりますが、みなさん、わきまえておられて」とも話した。

ここで指摘しておかなければいけないのは、理事会のメンバーは25人でそのうち女性はわずか5人(本来はこの2倍いないといけない)。2019年に採択された「ガバナンスコード」には、理事会における女性の割合は40%を目指すことが明記されている。


オリンピック憲章に反するし、ひどすぎる SNSは森発言にどう反応

森氏の発言は日本国内にとどまらず、海外でも批判を呼んだ。このスキャンダルはすでに世界の主要なマスコミの紙面を飾ってしまっている。

ツィッターではハッシュタグ#森喜朗氏は引退してください、#森喜朗氏の退任を求めます、 #森喜朗氏による発言の撤回と謝罪を求めます 、#女性蔑視発言が「人気」急上昇で、元首相の森氏に会長引退を迫る書き込みが並んでいる。ユーザーらの主張は、この発言をオリンピック精神に真っ向から反対し、「オリンピック憲章」の基底を侵害するものであり、いかなる差別も外国における日本のイメージ、東京五輪のイメージを損ねるため、決して看過してはならないというものだ。

女性蔑視発言に最後のとどめを刺したのは女性柔道家で元世界チャンピオンの山口香氏。日本オリンピック委員会理事でもある山口氏は森氏が発言した場に列席していた。山口氏は森氏の発言は日本オリンピック・パラリンピック委員会に対する社会の信頼を損ねかねないと苦言を呈している。

「五輪・パラリンピック組織委員会の会長がこういった発言をされたことで、日本人がいまだにそう思っていると世界に示されてしまった。多くの国民が努力して大きく改善されてきたのに、日本がまだそういう考えを持っていると配信されたのが残念だ。」

森氏の発言はツィッターで正真正銘の嵐を呼んだ。一般のある女性ユーザーは英語で次のようにツィートした。

「私は日本人女性。この狂った年寄りを私たちは絶対に許さない」

​また以下のツィートはほぼ3000回リポスト(再投稿)された。

「森会長の発言自体が五輪の精神に反する。まずは撤回させ、会長を辞任させなければ、成功は有り得ない。日本国民がこれを許容していない姿勢を世界に示す必要がある。

東京五輪・パラ組織委の森喜朗会長が失言『女性入る会議は時間かかる』」

コメントにはこうした気持ちで五輪を成功させるのは難しい、83歳という高齢がより進んだ政策を思考する妨げになっているという指摘が並んでいる。

「もっと優秀で、熱意のある若い適任者がいるだろうに、とは思いますよね。これが政治家の世界なんですかね?そのあたりの慣習は変えて欲しいものです。」#森喜朗氏は引退してください

​他のユーザーからは、世界有数の教育水準を誇る国でありながら、ジェンダーギャップに目を向ける人が少ないという、日本の抱えるパラドックスに注視した発言がでている。

「こういう発言は許せないけど、残念ながら問題視している人は少数派なのではないかと感じています。世界でも有数の教育レベルを誇る日本なのに。」

日本のジェンダーギャップ水準は世界でも記録的に低く、100位までにも入っていない有様だ。世界経済フォーラム(WEF)が2020年に世界153か国を対象に行った男女格差の調査で日本は121位だった


国民の僕(しもべ)、だけど国民の声は聴かない?

一般のユーザーの憤慨は理解できる。森氏は世論に耳を傾ける気はないところを明示しているからだ。森氏はこれまでに、何が何でも五輪はやると断言し、大きな非難を浴びてきた。

「新型コロナウイルスがどういう形だろうと必ずやる」という森氏の提言は 「やるかやらないかの議論を超え、どうやってやるか新しいオリンピックを考えよう」というものだった。

日本国民への世論調査では、COVID-19のパンデミックが続いているうちは、この夏の五輪開催は中止ないしは延期を支持する人の数がますます増えている

これほど政府に対する日本国民の不満が大きい中では、本来なら役人は発言には相当慎重になるべきなのだが、森氏はこれだけ侮辱的なセリフを吐いたところで実際は辞任には追い込まれないだろう。

ネット上でこれだけ憤慨、激怒されているというのに、森氏は辞任の意向は皆無で謝罪で十分と考えている。

​こうした中、状況はヒートしつづけ、とうとう首相までもが口を挟まざるを得なくなった。ところが菅首相は衆議院予算委員会での質問で、「森さんの発言の詳細については承知しておりません」と答えて議員らを心底驚かせ、「スポーツ分野においても女性の社会参画は大事である。今の発言の中で、やはりこれはあってはならない発言だと思っています」と見解を述べるにとどまった。

この記事に示された見解はスプートニク編集部のものとは必ずしも一致していません。

タグ
日本, 五輪, 東京
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