07:02 2021年04月21日
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日本の自衛隊は、2021年9月から11月にかけて、沖縄県尖閣諸島への中国の力による現状変更の試みを牽制するため、大規模な日米共同訓練を実施する。

この共同訓練には日本の自衛隊員の56.6%にあたる14万人が参加することになっており、その中には、航空自衛隊、海上自衛隊の大部分と、陸上自衛隊から8万〜10万人が含まれている。自衛隊員の半数以上が参加することから、この共同訓練の目的は尖閣諸島の防衛をはるかに超えたものであると想定される。

航空自衛隊が尖閣を、その他の部隊は沖縄を防衛する

共同訓練の詳細な計画は公開されないものと見られる。しかし、訓練は東シナ海における有事の際のシナリオ、そしてこの軍事行動における日本の敵になると見られる2カ国、つまり中国および北朝鮮を想定したものである。中国と北朝鮮の軍事力は全体としては明らかである。そこで、日本の防衛大臣の発表に基づき、それらを分析することによって訓練の概要を予測することは可能である。

尖閣諸島は大きなものではない。8つの島の総面積はわずか7平米で、実質、これは海に浮かぶ岩である。そこで、大規模な陸上兵器を上陸させることは不可能であり、最大でも、2つの海兵部隊が上陸できる程度である。そこで、島上空を制した側が尖閣を掌握できることから、尖閣諸島をめぐる戦いは何よりも航空部隊の戦いであり、よって共同訓練に参加する大規模な部隊は尖閣諸島ではなく、他の場所を想定したものだとの結論を導き出すことができる。

訓練ではどのようなシナリオが想定されるのか?

軍事演習というものは、想定される軍事紛争における行動を取りまとめることを目的としている。もちろんその可能性がきわめて低い場合もある。日本が想定敵である北朝鮮は、尖閣諸島の領有権を主張していないことから、今回の合同訓練のシナリオでは中国が敵と想定されている。つまり、そのような軍事紛争が実際に起きたと仮定し、日本と米国は仮想敵国が現状変更を目的に狙ってくる領土を防衛するための計画をとりまとめる必要があるということになる。

そうした現状変更に際して、沖縄が占領される可能性がある。そうなると、日本と米国は東シナ海におけるもっとも重要な航空基地を失い、航空戦力は大幅に低下させ、戦闘行動半径は大きく北に逸れる。上空の支配権は中国の航空部隊に移り、そうなると、中国の海軍、陸軍が台湾を占領する可能性もある。そして沖縄も、より大規模な作戦に移行するきっかけとなるかもしれない。

中国は潜在的に、沖縄を占領するだけの軍事力を持っている。その内容は、海兵隊(およそ4万人)および水陸両用部隊(水陸両用歩兵隊員の数は最大7万人であると発表されている)で、中国人民解放軍は、難なく、占領作戦のために10万人規模の部隊を招集することができるのである。

沖縄の防衛には多くの部隊が必要となる。1945年の沖縄戦では、米国軍から13万8,000人、日本軍からは13万人の兵員が動員されたが、今の状況でも、10万人規模の部隊と兵器が必要となると見られる。

つまり、合同訓練のシナリオは沖縄での軍事行動を想定したものである可能性があり、尖閣をめぐる戦いはその前哨戦に過ぎないのである。

将官らにも訓練の必要がある

日本の防衛大臣の発言の意図は理解することができる。防衛省が、自衛隊が沖縄戦に備えたものだと公言すれば、人々の間に不安を呼ぶことになるからである。しかし、心配する理由はない。

第一に、自衛隊は、日本と米国が中国と直接、衝突する可能性は少ないことを想定しつつ、あらゆる状況に対処する用意がある。

次に、日本の自衛隊の軍事力を見せつけることにより、中国軍指導部の興奮を押しとどめることができるということである。軍事力の誇示は平和を維持するための良好な手段である。たとえば、ソ連軍は、1945年から1989年にかけて、米国の偵察隊を前に、ドイツで戦車を用いた大規模な攻撃訓練を行った。これは、ソ連と米国の間で緊張が高まっていたにもかかわらず、戦争を回避することができた大きな理由の一つである。

そして3つ目に、訓練は隊員や下士官だけでなく、本部の将官、指揮官たちにも必要なものである。大規模な連合部隊を指揮し、攻撃兵器、防衛兵器などを配置するなど、これらすべては実践に裏打ちされた然るべき熟練度が求められる。部隊の指揮を理論だけで学ぶことはできないのである。

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軍事演習, 武器・兵器, 軍事
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