15:07 2021年10月17日
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最近、日本および世界のメディアでは、ロシアは北極海航路の権利を有しているのかという議論が巻き起こっている。北極海航路はこのところ目覚ましい発展を遂げており、まもなく世界の主要な航路となる可能性があるが、ロシアにこの北極海航路を「私有化」する権利はないという見方が散見されるようになっている。果たしてこうした見解に論拠はあるのだろうか?「スプートニク」が検証する。

いくつもの海峡を通過する北極海航路

まず地理的な見地から見てみると、北極海航路はいくつかの海峡を通過する。ノーバヤ・ゼムリャ島の南に位置するカルスキエ・ボロタ海峡、セべルナヤ・ゼムリャ諸島の南に位置するビルキツキー海峡、ノボシビルスク諸島の南に位置するドミトリー・ラプテフ海峡である。これらの海峡は確実にロシアの海域に含まれており、ロシアはこれらの海峡における船舶航行の規定を定めている。

海洋法に関する国際連合条約では、船舶や航空機はこうした海峡、または上空を遅滞なく通過する権利を持つことが認められている。つまり、停止することなく、またロシアの主権を侵害しない形で通行することができるのである。力による現状変更は、国際海洋法の崩壊を意味する。

これに同意できない場合、4〜6メートルの厚さの多年氷を砕くことができるのであれば、ノボシビルスク諸島やセベルナヤ・ゼムリャ諸島、ノヴァヤ・ゼムリャ島の北方にあるより短く幅の広いルートを使用することができる。

原子力砕氷船団

北極海航路の発展を目指すロシアのいまの政策は、通年の航行を可能にするような近代的な輸送インフラの整備と海上の安全の確保することを目標としている。

2020年には1年のうちの10ヶ月、航行が可能となった。また2020年5月に、液化天然ガスを積載したLNGタンカー「クリストフ・ドマルジェリ」号が北極海航路を東周りで中国まで航行した。この海域のルートを航行できるのは普通、7月からである。

ロシアは北極海航路の権利を有しているのか?

計画では、2024年に、北極海航路の全行程で、通年の航行が行われ、原子力砕氷船の伴走がスタートすることになっている。北極の原子力砕氷船団には、アルクチカ級の「タイミル」号、「バイガチ」号、LK–69Ya級の「ヤマル」号、「50リェート・ポベドゥイ(先勝50年周年)」号、「アルクチカ」号が含まれている。

原子力砕氷船団には、今後数年のうちに、さらにいくつかの新たな砕氷船が加わることになっている。2021年末には、「シビーリ(シベリア)」号が就役するほか、「ウラル」号も進水に向けた最後の調整を行なっている。

さらに現在、「ヤクーチヤ」号と新型LK–110Ya級の「ロシア」号が建造中で、2030年までにはロシアの原子力艦隊には10隻の砕氷船が加わることになっている。

すべての国のためにインフラを発展させているロシア

さらに、北極圏では全地球測位システム(GPS)がうまく機能しないことから、ロシアは衛星測位システムおよび位置情報システムの発展にも力を注いでいる。ロシアの衛星測位システム「グロナス」はすでに北極海における正確な位置測定を行なっているが、2021年2月には、気象情報および災害情報の転送を行う衛星「アルクチカM」を構成する5基のうち最初の衛星が打ち上げられた。また石油企業「ガスプロムネフチ」社はデジタルでのロジスティクス管理システム「カピタン」を創設し、石油の輸出に利用している。

現在、アイスクラス級の船を所有するすべての船舶会社が、ロシアが整備したインフラを利用し、北極海航路に出ることができる。この点でロシアと争える国が現れることはない。唯一ロシアだけが保有する原子力砕氷船なくして、北極海を通年、航行することは不可能だからである。

さらに指摘しておくべきなのは、ロシアは北極圏に、通常の艦隊、潜水艦隊、航空部隊、ミサイル防衛システム、地上基地、特別部隊を有しており、北極海航路を軍事的な攻撃から守ることができるということである。

ロシアは現在、この有益な航路の利用と発展において、世界に互恵的な協力を呼びかけている。

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