宇宙は国際協力の舞台

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いまバイコヌール宇宙基地で、ミハイル・コルニエンコとスコット・ケリー、ふたりの宇宙飛行士が、ISSへの1年間のフライトに向けて、活発に準備を行っている。

ロシアおよび米国の宇宙飛行士を遠い宇宙へ送り込む宇宙船のスタートまで、あと数日。ロシアのメディアで宇宙開発計画についての記者会見が行われた。アンナ・オラロワ記者が取材した。

頑健な肉体、頑健な精神、ハイレベルな職業訓練。1961年にユーリイ・ガガーリンが初の宇宙飛行をなしとげた当時も、また今も、宇宙飛行士には極めて厳しい要求が突きつけられる。ミハイル・コルニエンコとスコット・ケリーの両氏はおよそ1年間、宇宙空間に滞在することになる。様々な宇宙研究を行いながらの一年だ。宇宙空間における宇宙飛行士の仕事について、ロケット建設事務局「エネルギヤ」第一副総裁でISSのロシア・セグメントの指揮をとる、ソビエト英雄賞2冠のウラジーミル・ソロヴィヨフ氏は次のように語った。

「1年間のフライトが3月27日に始まる計画だ。それを2016年3月3日に終える。1年とはいうが、1年には25日足りないわけで、若干鯖を読んでいる。しかし2016年3月3日を過ぎると、着陸場は50日間にわたり、日照が足りない期間がやってくる。この間は正式な着陸は我々は計画しないのである。ISSへの1年フライトの間、我々有人宇宙船「ソユーズ」を4隻、宇宙貨物船「プログレス」を4隻、打ち上げる計画だ。いまやロシアの「ソユーズ」は、収益性と技術的先進性において、中国や欧州の宇宙船にいささかも劣らない。しかも、高度な安全性を誇っている」

ミハイル・コルニエンコとスコット・ケリーの両飛行士とともに、3月27日、ロシアのゲンナージイ・パダルカ飛行士が宇宙へ飛び発つ。パダルカ氏は宇宙で半年を過ごす。ただし、宇宙空間滞在の累計日数では、パダルカ氏はこれまでの記録保持者・宇宙飛行士訓練センター所長セルゲイ・クリカリョフ氏を凌ぐことになる。パダルカ氏とコルニエンコ氏は7月、船外作業を行う。主に学術研究のためだ。たとえば、舷窓のガラスの外側を浄化する、非常に面白い実験が行われる。ソロヴィヨフ氏はこれを次のように語っている。

「ロシアの科学者らが無重力空間で表面を綺麗にするための特殊な製剤を開発した。将来の長期飛行には必要な技術となるだろう」

ロシアのISS乗組員にとって、来たる一年は退屈なものとはならないだろう。地球の遠隔地観測に関する実験もあるし、宇宙の気候に関する調査もあるし、宇宙物理学上の実験もある。研究の方向性にも新しいものが出現している。たとえば、露米共同の医療実験。ロスコスモスとNASAが共同でプログラムを策定したものである。露米の宇宙飛行士らは63種類の医学実験をおおなう。うち8種類が新しいものである。飛行士の動脈および静脈の圧力の測定も行われる。ロシア科学アカデミー医学生物学問題研究所副所長のワレーリイ・ボゴモロフ氏は次のように語る。

「深部宇宙開発、それはフライトだけでなく、月や小惑星、惑星の開発でもある。ロシアの宇宙飛行学および宇宙医学部門はこれら問題にかなり早くから取り組んでいる。人類が異重力の惑星で活動するためには、特別な装備を拵えるだけではなくて、人体のたえうる限界というものを完全に見通せていなければならない。露米飛行士の1年間フライトはこの道における最初の重要な実験となる。ミハイル・コルニエンコとスコット・ケリーは飛行前も飛行後も、MRI等機器や特別プログラムによる全面的検査を受ける」

ミハイル・コルニエンコとスコット・ケリーの両飛行士による1年間フライトは宇宙における国際協力の重要な範例となる。準備の各段階に日本のJAXAも欧州宇宙局も、カナダの宇宙局も参加する。ロスコスモス報道官のイーゴリ・ブレンコフ氏は国際協力の課題について次のように語る。

「深部宇宙開発のような大きな課題を一カ国でこなすことは不可能だ。深部有人探査はロシアの参加なくしてはあり得ない。ロシアの宇宙飛行士たちの培った経験、また船内・船外の生命維持に関する技術は、かけがえなく貴重なものであり、世界に類例をもたないものなのである。ロシアはISSにおける活動を2024年まで延長させる、と先日発表があった。すると我々にはすぐさま、共同プロジェクトの打診が殺到したのである」

欧米の対ロ制裁にも関わらず、宇宙が国際協力の舞台になっている。宇宙から見れば我々はひとつの同じ家に住んでいるのである。

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