17:14 2020年09月29日
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神経細胞から排出されるゴミを掃除するシステムは、脳の記憶作業に大きく関わっている。このシステムが既存の薬によって調整できることが、ロシアのチュメニ国立大学とシンガポール国立大学の研究者らによって明らかになった。研究者らによると、この薬はアルツハイマー病の治療に役立つという。

この研究結果は、科学誌「FASEB」に掲載されている。


アルツハイマー病は、神経細胞と思考能力とのつながりが徐々に壊されていく、不可逆的に進行する記憶障害。WHOによると、2019年には世界で約5000万人の認知症患者がおり、そのうちの60〜70%がアルツハイマー型認知症によるもの。患者らは、車の運転や食事の準備、請求書の支払いなど最も簡単な日常業務をこなすことができないという問題を抱えている。


世界的に有名な脳の記憶領域に関する研究者、シンガポール国立大学のサジクマール・スレードハラン・シュリダラン教授とロシアの研究者らは、神経細胞が行うエネルギー代謝によって神経細胞は常に生物学的なゴミを生産しており、そのゴミを排除するための安定的なシステムが必要であることを発見した。神経細胞から老廃物を取り除かなければ老廃物はたまり続け、神経細胞にとって毒となる存在になり、脳の働きの不調につながってしまうという。

ユビキチン・プロテアソームシステム(UPS)は、不要なタンパク質や欠陥のあるタンパク質を破壊するタンパク質複合体であり、神経細胞が生成する廃棄物を処理する主要なシステムの一つとみられている。このシステムは、タンパク質をリサイクルし新たなタンパク質を生成する「生物的物質の加工工場」としての役割を果たしている。

このUPSが故障すると、神経細胞は「ゴミ箱」になってしまう。ゴミだらけの神経細胞に記憶する際に必要なタンパク質が不足してしまうと、神経細胞同士との接続が失われてしまう。そうなるとまず、新しい記憶を保存する脳の重要な一部である海馬に損傷が生じる。

FASEB誌で報告されたこの研究によると、UPSに有効な薬を投与することで、アルツハイマー病による記憶喪失の症状を回復させることができるという。

UPSに効果をもたらすその薬は、がん治療の薬剤としてすでに承認されている。現在行われている投与濃度で確認される副作用はないという。

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