ロスコスモス ソ連と米国の月をめぐる競争に関する機密文書を解除

© 写真 : Roscosmosルノホート1号
ルノホート1号 - Sputnik 日本
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ソ連における月をめぐる競争の重要な瞬間の一つは、ある一つの質問に込められていた。「米国より先に月面の土壌を持ち帰ることができない場合、ソ連は打ち上げを中止する必要はないのか?」この言葉は、ロシア国営宇宙開発企業「ロスコスモス」が機密解除した文書の中に記されている。

月の土壌を地球へ

ロスコスモスのウェブサイトには、1969年5月8日に行われたソ連の一般機械製作省の理事会の議事録が掲載されている。この会議には、同省のセルゲイ・アファナシエフ大臣と、ラボーチキン設計局のゲオルギー・ババキン主任技師が出席していた。

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ソ連は当時、地球に月の土壌を持ち帰るミッションを担う自動回収機E-8-5 (ルノホート1号)を打ち上げる準備を行っていた。一方、米国は人類史上初の月への有人着陸を目指すアポロ11号の打ち上げ態勢を整えていた。

議事録によると、アファナシエフ大臣はババキン氏に「もし米国人が6月17日に『アポロ11号』で(月に)着陸し、土壌を回収して我々に送り届けるのならば、その時あなたの提案はどうなるのだ?もし6月の『Е-8-5』の打ち上げが失敗したら、E-8-5計画はどうなる?」と尋ねている。

 

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ルノホート1号

 


「不名誉なことになるかもしれない」

これに対しババキン氏は、とにかくE-8-5の打ち上げが必要だと考えていると答えている。

ババキン氏は、「ソ連は自動装置の道を行くと報じられています。『米国』の後に回収機が『土壌』を持ち帰ったとしても特に問題はないでしょう」と述べている。

 

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その答えに対しアファナシエフ大臣は、E-8-5の打ち上げには「特別な政治的な重要性」が伴っていると指摘。「もし(E-8-5)が着陸し、土壌の代わりに月の大気を収集し始めていることが判明したら、これは不名誉なことになるだろう」と返している。


果たしてЕ-8-5の打ち上げは?

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1969年6月14日、Е-8-5は打上げ用ロケット「プロトンK」とともにソ連のバイコヌール宇宙基地から発射されたが、上段ロケット「ブロックD」の故障により失敗に終わった。その1ヶ月後の7月13日にソ連は「ルナ15号」の打ち上げに成功したが、「アポロ11号」による人類史上初の月面着陸が行われた7月21日、「ルナ15号」は着陸に失敗して墜落した。

アポロ計画により、米国は1969年から1972年にかけて月面着陸を6回行い、NASA(米航空宇宙局)の宇宙飛行士12人が月面に降り立った。米国は月の土壌を合計で391キロを地球に持ち帰った。

1970年から1976年にかけて、ソ連の「ルナ16号」、「ルナ20号」、「ルナ24号」が月の土壌326グラムを地球に持ち帰っている。この土壌は、ロシア科学アカデミーの地球化学・分析化学研究所に保管されている。またこの研究所には米国の「アポロ14号」、「アポロ16号」が持ち帰った月の土壌14グラムも収められている。

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