17:47 2021年09月20日
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研究者らは、人間は150歳以上生きることはできないとしている。これは身体の老化スピードによるもので、これに影響を与えることは不可能だという。しかし生物学的な時間を遅らせる方法はある。

ガラスの天井

世界最高齢者は、日本の田中力子さん、118歳。田中さんは現在、福岡県福岡市の老人ホームで生活しているが、健康上の問題はほとんどないという。しかし、世界の長寿記録で田中力子さんは3番目で、その上には米国人女性のサラ・ナウスさん(119歳で死去)、フランス人女性のジャンヌ・カルマンさん(122歳で死去)がいる。

国際的な老年学研究者チームの試算によれば、人間の寿命の限界は120〜150歳となっている。研究者らは、人間の身体の年齢別の変化モデルを作成した。基礎となっているのは、生物学的指標(バイオマーカー)、つまり血液の構成要素(赤血球、血小板、白血球)の濃度である。

研究者らは、およそ50万人(英国バイオバンクと米国民健康栄養検査NHANESのデータを使用)を対象に、この生物学的指標および年齢、健康に関するその他の情報を分析し、DOSI(動的生体状態指標)を特定した。

DOSIは通常、生まれてから20歳までは上昇し、50歳前後まで変化せず、その後、また上昇する。また病気をする頻度が多ければ多いほど、この指標も高くなる。そこで、研究論文の執筆者らは、指標は人間の老化スピードを反映したものだとの結論を導き出した。

DOSIは病気やストレスの影響を受けるが、通常、その後、年齢相応の数値に戻る。

研究者らは、この数値が元のレベルに戻る速度に注目した。健康なロシア人400人から抽出した人を対象にDOSIの数値を調査したところ、この速度は年齢とともに低下し、年齢が高くなればなるほど、数値が安定するのにより多くの時間を要することが分かった。つまり、年齢とともに、体内および体外からのストレスに対処するのが困難となり、やがてそれに対処できなくなったときに死が訪れるのである。研究者らの試算によれば、生命の限界は120年だという。

また研究者らは、運動量(フィットネス・トラッカー=活動量計を用いて)を中心としたその他の指標を考慮に入れた場合、寿命の限度は150歳にまで上がるとしている。

老化の速度は変わらない

人間と霊長類の死亡率の分析を行ったデンマーク、米国、英国の研究者らも同様の結論に達した。人間も、動物と同様、一定のスピードで老化し、基本的にそのプロセスには影響を及ぼすことは不可能であるとの結論を導き出した。

研究者らは異なる大陸に生息する6つの霊長類と、人間の9つの個体群の寿命に関するデータの分析を行った。サンプルとして用いられたのは、17世紀から20世紀に生存していた種と、2つの現代の狩猟採集民の群である。その結果、平均以上に長生きしているグループの人たちは、だいたい同じ年齢で死亡していることが分かった。これは、寿命の延伸が、早かれ遅かれ、霊長類(ヒトを含め)の生物学的な寿命の限界に達したということである。

時間を逆戻りさせる

一方、今から2年前、米国の研究者らは、老化のエピジェネティクス(DNAの配列変化によらない遺伝子発現を制御・伝達するシステム)的な要素に影響を与えることができたとの研究成果を発表した。もっともこれは偶然得られた結果であった。研究者らは胸腺―胸腔にあり、T細胞の文化、成熟など免疫系に関与する一次リンパ器官で、年齢とともに脂肪組織に変わる―の機能を高めようとした。この研究では51歳から64歳までの9人のボランティアの被験者に1年間、成長ホルモン剤と糖尿病治療薬を混ぜたものを与えた。

その結果、予想通り、被験者の血中には、胸腺で作られるTリンパ球の数が増加した。そして同時に、実験の期間、参加者は平均2歳若返っていることが分かった。これはDNAメチル化のレベルで測定するエピジェネティクス的年齢である。DNAメチル化のレベルは高ければ高いほど、死に近づいていることを意味する。研究者らによれば、実験開始からの9ヶ月間に老化はスピードダウンし、若返りがスピードアップした。そして、実験終了の半年後も、参加者らは新たな生物学的年齢を維持していると報告されている。

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