「心底驚かされた」というオーサー監督がメドベージェワに見抜いた資質

© AP Photo / Bernat Armangueオーサー監督
オーサー監督 - Sputnik 日本
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エフゲニア・メドベージェワ選手が11年続いたトゥトベリッゼ監督との師弟関係を解消して、羽生結弦選手を育てたカナダ人のブライアン・オーサー監督にもとに移るというニュースが広まると、世間の目は見事メドベージェワのハートを射止めたオーサー監督に集中した。

スプートニク日本

韓国のキム・ユナを金メダルに導き、羽生を2度、金メダル受賞台に立たせ、スペインのハビエルに銅をとらせた男、ブライアン・オーサー監督。世界で一番忙しいフィギュアスケートの監督の異名を持つ。

そのオーサー監督がメドベージェワとの会談について、また協力関係の今後のビジョンについてアイスネットワークからの取材に答え、多くを語った。

「心底驚かされしました。こんなことがありうるなど、信じられなかった。ただ、メドベージェワが会談したいといったとき、その理由は予想はしていましたが。」

運命の会談は4月末、ソウルで行われたアイスショー「LG ThinQ アイスファンタジア」で成立した。ショーにはメドベージェワは母親のジャンナさんと訪れており、ショーの組織を担当していたオーサー監督への会談を申し入れ、自分の意思を伝えた。

「彼女は自分のキャリアの中に変化を起こしたいと言いました。でも何が原因でこういう手段をとることになったのかは語りませんでした。この瞬間、私は本当に彼女に対する尊敬の念を抱きましたよ。だって前の監督のグループに対して、悪い発言は彼女の口から一切出ませんでしたから。」

オーサー監督はメドベージェワと共に作業を行う可能性が現れたことに鼓舞されたという。最初の会談を終えたオーサー監督の頭にはすでに、メドベージェワに何をしなければいけないのかの像が描けていた。

「今、彼女に一番大事なのは、自分のスケートについて考えていることを洗いざらい語ることです。ですから私は彼女に発言の権利を与えようと思っています。」

ソウルの会談の続いて行われたのは、演技のための音楽、メドベージェワが伸ばしたいと望む方向性についての意見交換だった。

「彼女は一度もこうした贅沢を味わったことがなかったのです。今までの彼女にはどんなコンポジションで、どんな要素をどう組み立ててて演技するか、すべて指示されていたのですから。」

平昌五輪を銀メダルで終わらせたメドベージェワの狙いは、絶対に世界最高峰をおいて他はなかった。

「我々は五輪の金メダルは常に念頭においておこうという共通の見解に達しました。エフゲニアが何を目指しているのか、誰にも聞こえるよう公然ということができるというのは素晴らしいことです。ですが、だからといって出場するすべての大会を勝ち抜かねばならないということではありません。こういったことはいつも一致するとは限らないのです。」

オーサー監督は自分なりのビジョンをこう説明した。

絶対に金メダルを取るという決意の他にオーサー監督を心酔させたのは、メドベージェワがフィギュアスケートに寄せるパッションの強さだった。

ただし、メドベージェワの怪我は完治していない。このためオーサー監督はすぐにでもトレーニングを開始しようとはしていない。

「私はすぐに彼女に言いました。新たなプログラムに取り掛かる前に完治しなければならないよと。来シーズンまでまだ時間はありますから、トロントで最初の数週間、リンクでのトレーニングをしなかったとしても、何も恐れることはありません。」

ソウルでの会談まで、オーサー監督は面と向かってメドベージェワと話したことはなく、彼女の滑りを第3者として観察するのみだったという。

「彼女は稀に見る強靭かつ粘り強いライバルです。私の教え子のキム・ユナに似ている。」

まさにこの資質が見抜けたからこそ、オーサー監督はメドベージェワなら次の五輪で金は狙えると思えたのだと語る。

「エフゲニアは大きな勝利を何度も勝ち取ってきました。それでもこれは氷山の一角でしかないと私は感じています。スポーツ選手として全面的に変わることが強いられるでしょう。でも彼女はこれを覚悟しているのです。」

メドベージェワがトゥトベリーゼ門下を出た主たる原因についてこれまで多くの専門家の口から、メドベージェワが自分にとって新たな条件に合わせることが難しかったからだろうという発言が漏れていた。オーサー監督だってメドベージェワとの作業で困難に突き当たることは承知の上だという。

「作業が楽には進まないだろうことは私たち両方ともがよくよく分かっています。彼女の前のコーチのほうが私などよりずっとよく彼女のことを知っていますからね。それでもたくさん話し合い、難しいことのすべてを乗り越えていきましょう。彼女が何か新たなことを求め、地球の反対側に来る決意を決めたということがすでに大きな一歩であり、これは尊敬に値します。」

カナダではオーサー監督の他にトレーシー・ウィルソン監督、振付のデヴィッド・ウィルソン氏がメドベージェワを待っている。

ロシアのフィギュア界の中ではメドベージェワに対する愛情が強いだけに、彼女のとった苦渋の選択を支持したいという声が強い。メドベージェワの移籍の発言にも今まで自分を育て上げた人々への感謝しか表されていない。一つの時代は終わった。今度は私たちは彼女を活躍をロシアでではない、カナダから見守ることになる。

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