2013.07.16 , 08:20

プーチン大統領のサハリン訪問を恐れる必要はなし

プーチン大統領のサハリン訪問を恐れる必要はなし

来週、ウラジーミル・プーチン大統領は、サハリンを訪問する。このプランは、日本で大きな注目を集めないではいられなかった。共同通信は、プーチン大統領は南クリルにも立ち寄ると伝えた。しかし間もなく、他ならぬ共同通信自身も、そしてロシア大統領府のドミトリイ・ペスコフ報道官もその情報を否定した。

 ペスコフ報道官は、プーチン大統領の訪問中「地域の総合的発展の諸問題が討議されるだろう」と伝え、南クリルを個別に訪問する計画はないと明言した。

 多分、日本では多くの人が、この発表を耳にした瞬間、胸をなでおろしたに違いない。ほぼ3年前、当時のドミトリイ・メドヴェージェフ大統領はクリルを訪れたが、この「事件」は日本で大変神経質かつ騒然たる反応を呼び起こした。

 日本問題の専門家ヴィクトル・パヴリャテンコ氏は、当時を思い起こし、次のように話している―

  「日本の反応は、一つの根拠によって立つものでした。それは、これらの島々は、日本の領土であったし今もそうであり、そうであり続けるべきだという絶対的な確信です。第二次世界大戦の結果や戦後の状況の進展の結果が無視されています。そうした日本の立場は、中国との尖閣諸島、南北朝鮮との竹島問題にも見られます。」

    日本のこのような柔軟的を欠く立場は、領土問題の解決を助ける事はなく、隣国との関係を害するだけだ。

 ここでロシアの指導者達による訪問に話を戻すと、彼らは、自分達の領土のどこへでも、都合の良い時に、訪れる事ができる。ロシアを代表する日本専門家で駐日大使を務めた経験を持つアレクサンドル・パノフ氏は「この問題を騒がしく取り上げる事は、全く建設的でない」としながらも「それが、領土問題に関するロ日対話を邪魔するものであってはならない」との確信を述べている―

  「モスクワで先頃、プーチン・安倍会談が行われ、そこでは平和条約交渉を再開する事で合意がなされました。ロ日のどちらの側も、この交渉をめぐる雰囲気を感情的で興奮した、ましてネガティヴなものにしたいとは思っていません。まさにそれゆえに、日本外務省や首相官房の側から、プーチン大統領のクナシリ訪問に関するうわさについてのいかなるコメントも出されなかったのです。出したのはマスコミであり、彼らは彼らであり、そうした情報が好きなのです。

    マスコミが巻き起こす影響を考えに入れるならば、領土のようなデリケートな問題に関する 交渉は、非公開で行われるべきでしょう。ロシアと中国、さらにはノルウェーとの間の交渉は、そのようになされました。そして、沖縄をめぐる日米交渉も非公開であり、非公式な形でさえありました。合意達成後、彼らは公けに発表し、人々はそれを論議し、賛成や反対の意見表明をしたのです。しかし平和条約や南クリルをめぐるロ日交渉の場合、日本の新聞雑誌は、何度も所謂『すっぱ抜き』をし、交渉を決裂のきわに追い込んできました。」

    このように指摘した、パノフ氏は、さらに次のように続けた―

  「残念ながら、日本では、交渉の過程あるいは新しい提案をマスコミに漏らすという傾向があります。 これまでの事を見る限り、そうした漏洩は否定的効果しかもたらしませんでした。なぜなら、そうした漏洩をまず利用するのは、そもそも領土問題に関するロ日間の合意に反対する人々だからです。そうした勢力は、日本だけではなく、ロシアにも、さらには第三国にも存在しています。これが、デリケートな問題に関する交渉は非公開で行うべきだという、さらにもう一つの根拠となっています。

 もちろん、通常、交渉に参加するどちらの側も、自分達の国益を損なうような譲歩をしたりはしません。しかし、お互い何らかの歩み寄りをする可能性はあります。そのために、外交官にも又政治家にも、少なくない勇気が求められます。2001年イルクーツクでのプーチン・森会談で、双方は、南クリルの4島同時返還という強硬な要求を棚上げする事で合意に達しましたが、その後、森氏も交渉に参加した日本の外交官達も、国益を損なった裏切り者として非難されました。森氏は首相を辞任し、日本政府は再び従来の強硬路線に戻り、その結果、平和条約と南クリルに関するロ日交渉は、10年以上に渡り凍結してしまいました。そして今、日本側の立場が再びより柔軟になるのではないかという希望が見えています。しかし、交渉が成功のチャンスを持つためには、マスコミが『情報を投げ込む事』で交渉に影響がでないようにすべきだと思います。」

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