23:41 2020年08月13日
日本
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日本政府は、世論の圧力を受けて国内の観光需要喚起策「GoToキャンペーン」から感染者が急増中の東京を除外した。それにも関わらず、日本の世論は感染者数の増加からキャンペーンの中止に傾いている。旅行代理店や宿泊施設、旅行者に地元住民、この誰もが納得する妥協点にたどり着くことはできるのだろうか?

経済か感染対策かのジレンマ?

英キングス・カレッジ・ロンドンの公衆衛生学教授で世界保健機関(WHO)テドロス・アダノム事務局長上級顧問も務める渋谷健司氏は、日本は今厳しい選択のジレンマに直面していると分析している。

「東京をはじめ大都市では緊急事態宣言解除に伴う再燃が起こっており、感染が急速に拡大しております。GoToキャンペーンは苦境に喘ぐ旅行業会を支援し、経済を活性化させるための施策ですが、同時に、人の移動に伴い、さらにウイルスが拡散することが予想されます。まさに、経済か感染対策かのジレンマに陥っている状況です。」

このジレンマにはひとつ逆説的なところがある。5月には日本政府は新型コロナウイルス対策に対してあまりに慎重な姿勢であり、中でも特に緊急事態宣言の延長を決定したことで国の経済と国民生活に悪影響を与えたとして盛んに叩かれた。ところが政府が感染予防対策で打撃を受けた企業の支援に乗り出したとたん、今度は、世論調査では65%以上が緊急事態宣言の再発令に賛成している。日本の国民は、感染状況はコントロールされ、医療崩壊はなく、感染者数の増加はウイルス検査数が増えたことによるという当局の発表に納得していない。

日本政府が緊急事態宣言を解除された時点では「経済」か「命」かの選択を迫るのではなく、経済を再開させた上でウイルスとの安全な共存方法の模索が必要という見解で一致がみられていたかのうようだった。しかし今、その方策よりもウイルスへの恐怖の方が勝っているような印象を受ける。

官邸と東京都の対立 感染防止策のリスク

渋谷氏は、ウイルス拡散防止のために国民が政府を信頼し、一致団結して努力することが一番必要な時に、このような対立はマイナスになりかねないとして、次のように指摘している。

「感染リスクを考慮することは大切ですが、経済を保つためにGo Toをやるならば、東京発着は対象外という提案(不公平だし憲法違反では)や、業者に頑張ってもらって感染防止策を取ってもらうという、いつもの無責任な施策では、結局コロナは止められず経済的にも効果が乏しい最悪の結果になりそうです。

さらに、東京を対象外にすることは、ウイルス拡散の問題と同時に、官邸と東京都が政治的に対立していることも要因です。一致してウイルスを封じ込めなければならない時に、こうした状況なのは残念です。」

日本当局は、Go Toトラベルから東京を除外したことで損害が発生した旅行会社に補償金を支払うことを決定したが、この措置がもたらしたのは、当初想定されていたような効果ではなく、追加のコストだったようだ。

旅行と感染対策 妥協点はあるか?

観光も伸ばしたい、感染も抑え込みたい。その妥協点について渋谷氏は次のように述べている。

「自粛回避のためにも、まずは徹底して再燃の押さえ込みを図るべきでしょう。その上で、例えば、海外渡航と同じで地域を越えた旅行には、検査を旅行保険とセットにするとか、検査を含めた旅行価格にするなどを検討すべきでしょう。画一的な自粛ではなく、ここの状況に合わせた感染リスク管理が大切だと考えます。」

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観光, 旅行, 東京, 日本
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