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    高齢化政策のパイオニアになりつつある日本

    高齢化政策のパイオニアになりつつある日本

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    リュドミラ サーキャン
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    世界における労働力人口の増加ペースが鈍化している。2016年は、過去20年間の平均成長率が1.6パーセントであるのに対し、わずか1パーセントだった。これは労働力人口に対して年金受給者や子供の人口増加が上回る人口負荷のみならず、労働力人口そのものの高齢化を引き起こす。モルガン・スタンレーのアナリストらによると、世界人口に占める55歳から64歳の労働力人口の割合は現在13パーセント、今後10年間で15パーセントにまで増加し、経済大国の米国、日本、中国、英国、またEUではこの割合が今後10年で現在の17パーセントから21パーセントになるとみられている。これらの国にとって高齢化問題はより深刻だ。

    平均寿命、高齢者人口、社会の高齢化のスピードという3つの要素の組み合わせにより、日本は高齢化社会政策分野におけるパイオニアになりつつある。日本では質の高い医療や低い出生率を背景に平均寿命が延び続けているが、税金を払っている労働力人口の割合と同じように、人口が容赦なく減少している。一方で、社会的ケアや支出予算の追加を必要とする高齢者の数は増加している。2016年、日本の65歳以上の人口が総人口に占める割合は27パーセントで過去最高となった。今後もこのような傾向が続いた場合、数十年後には日本の高齢者人口が占める割合は約40パーセントとなり、市場ではおよそ850万人の労働力が不足することになる。

    しかし日本では、政府や社会が日本老年学会の提案を支持した場合、高齢者の定義が現在の65歳以上から75歳以上に10歳引き上げられる可能性がある。日本老年学会によると、日本では今、高齢者と呼ばれる人は生物学的に5歳から10歳若返っているという。だが重要なのは生物学的ではなく、精神的な若返りだ。今の日本の高齢者たちは65歳になっても隠居を望まず、積極的に働く生活を続ける気構えがある。NHKによると、日本老年学会のワーキンググループの座長を務める東京大学名誉教授の大内尉義医師は、「若い労働者が減るなか、現在、高齢者とされている人たちの意識を変えて、社会を支える側に回ってもらう必要があるのではないか」と語った。

    市場は現在の状況にすでに反応している。例えば、すべり軸受けの製造を行っている「イソダメタル」は、従業員たちに年金受給開始年齢以降も働き続けることを可能としている。同社は、海上保安庁や自衛隊の潜水艦を含む船舶用の部品を製造している。上層部は65歳以上の従業員と1年間の雇用契約を積極的に結んでおり、正社員の約4分の1が65歳以上だという。

    もう一つの例は、プレス板金部品の総合メーカー、加藤製作所だ。同社は、土日休日の工場稼働に伴い、高齢者を活用することにしたという。日本ではさまざまな分野で65歳以上の高齢者を積極的に採用する企業が増えている。

    (日本に限らず)労働力不足という意味でもっとも「芳しくない」分野は農業だ。公式データによると、2015年、アグリビジネスの従事者200万人超のうち60パーセント以上が65歳だった。これを受けて日本政府は秋田県、愛知県、茨城県、長崎県にある経済特区の農業セクターに熟練した外国人を誘致する問題に取り組んでいる。希望者は農業分野の知識を有し、日本語でコミュニケーションがとれなければならない。政府は新システムの詳細について議論しているが、専門家らは日本のこのような選択基準では、これが農業分野ということもあり、著しい数の外国人労働者を誘致するのは難しいのではないかとの大きな懸念を表している。

    日本では以前から外国人労働者の誘致に関する問題が議論されている。安倍首相は今のところ外国人労働者ではなく、出生率向上と女性および高齢者の雇用に期待している。安倍首相と同じ自民党の著名な政治家、河野太郎氏は数年前、総合的な移民政策を策定するよう政府に提案し、「もし奇跡的に明日出生率を 上げることができたとしても、新生児が大人になるまで20年かかる」と述べた。

    一方で、高度な技術や知識を持った外国人専門家のために特別な条件がつくられている。現行の規則によると、高技能の熟練外国人は、通常は10年以上日本に在留する必要があるところを5年の在留で永住権を申請することができる。日本の法務省の報道官によると、ハイレベルな専門家のために最も迅速な「グリーンカード(永住権)」発行システムの一つをつくるために、日本政府はこの期間を3年、あるいはさらに1年に短縮する可能性を検討しているという。これに関する法改正は2017年3月までに行われる見込み。

    そして労働力不足を補うためのもう一つの手段は、ロボット化だ。だがこれは別の大きなテーマである。

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