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    福島、事故から4年の姿

    福島の放射性物質:パニックは放射能より危険

    © 写真: Arkadiusz Podniesinski/REX
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    4月末に、福島第一原発からそう遠くない場所、福島県浪江町の山林で急に起きた火災はようやく鎮火した。当局は、この火災によって放射性物質の拡散はなく、放射線監視装置(モニタリングポスト)の数値が上がっているということはないと保証している。にもかかわらず、放射能に汚染された地域で火事があったということは、直感的に、危険性の感覚を感じさせる。

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    ウクライナのチェルノブイリ原発事故後も実は似たような状況があった。2015年の春から夏にかけてチェルノブイリ付近では複数回の火事が起こった。同年の10月12日、産経新聞は「チェルノブイリで第2の放射能汚染の危険 森林火災で大気中に拡散し…」と題した記事を発表した。そこには次のようなことが書かれている。

    「原発周辺地域の除染は徹底されておらず、土壌や草木に残る放射性物質が火災の際の強風にあおられ、大気中に拡散したものとみられる。7月の火災で、周囲に設置されたモニタリングポスト1カ所で基準値の10倍に増大したセシウム137を検出した。原発事故で放出された放射性物質である。地元メディアによれば、ウクライナ当局は「健康被害はない」ことを強調し、関連する他の詳細な情報は明らかにしなかった」

    この産経新聞の記事は「火事は福島第一原発周辺でも発生する恐れがあり、今回の出来事は、日本政府に対しても大きな教訓を与えそうだ」と締めくくられていた。まさにその通りになってしまったわけだ。

    福島の火事に関するリスクについての報道の反響は、様々だった。放射性物質飛散の懸念を示した和歌山県田辺市の新聞社「紀伊民報」は、このテーマについての記事を発表し、不安をあおったとして謝罪を余儀なくされた。スプートニクも、毎日新聞が報じた放射性セシウム137の濃度上昇についてのニュースを引用して報じたほか、放射性物質拡散の危険性について指摘した「グリンピース・ロシア」のアントン・ベネスラヴスキー氏のコメントをご紹介した。彼は、チェルブイリ原発事故によって汚染された山林火災の消火活動に参加した人物である。この記事は一部の読者の方々の不安をかきたててしまったため、スプートニクは、直接ベネスラヴスキー氏に、より詳しい話を聞くことにした。

    ベネスラヴスキー氏「私たちが消火活動にあたっていた場所は1時間あたり40、60、あるいは100のミクロレントゲンの放射があった。この線量の数字自体はそんなに危ないものではない。特に、防護装備を用いている場合には。しかし、土壌に含まれている放射性物質を帯びた埃は、火災の際に空気中に舞い上がり、それが呼吸や飲食物を通して体内に入ると、もしかすると健康に深刻な害を及ぼすかもしれない。研究結果によれば、こういう埃が遠くに飛んでいくことはあり得ないということだ。しかし非常に大規模な火災の場合には、理論的には、より広範な放射性物質の飛散があるかもしれない。しかしながら基本的に、危険性はまさに火事が起きている現場にある。防護服などの装備はこのリスクを下げはするが、ゼロにはしない。更に、放射線と違って、埃の有無を検出することは非常に難しい。福島とその周辺地域に関しては、かなり高い確率で予想すると、ブリャンスク州(チェルノブイリのある場所)で起こったのと同じ現象、つまり火事現場からそう遠くない場所へ、放射性物質の拡散が起きたと思う。そしてそれは、消火にあたった消防士や自衛隊員の人々に健康リスクがあるということを意味する」

    林学科学研究所・放射線森林生態研究室の室長であり、福島原発の事故処理に関するロスアトムのワーキングループのメンバーでもあるアンドレイ・ラズダイヴォジン氏は、原子力に関する事故というのはすべてにおいて、情報の要素が、放射線そのものと同じくらい重要であると指摘している。彼は「わかりやすくて、よく考え抜かれた情報が必要であり、重要である。なぜならパニックというのは、ときどき放射能よりも害を与えるものだから」と話す。またラズダイヴォジン氏はスプートニクとのインタビューにおいて次のように状況を説明した。「汚染地域で起こるどんな火事も、リスク要因だ。火事の危険性は、セシウム137の密度による。もし汚染密度がそんなに高くないなら、その火事からの放射性物質による危険性はない。火事で汚染物質が空気中に舞い上がったとしても、原則的に、最高で数百メートル先に積もるだろう。福島がチェルノブイリと違うのは、原発事故で飛散した放射性物質が、海洋と、現場から30キロ以内の場所に落ち積もったことだ。いつも本当のリスクをかぶるのは消火にあたる人たちだ。このような仕事においては放射線の線量がコントロールされ、勤務時間の制限があり、放射線をあびないように予防措置がとられる。だから原則として火事の間に作業をしても非常に深刻な害を被ることはないはずだ。福島の森林の多さは、もちろんそれだけで、問題だ。もしそれが農地であれば土壌を運び出す等、様々な方法を使って農業のできる状態に土地を回復させることはできるが、林となると、大変難しい。当初、日本は汚染された地域を全て回復させたいと熱望していたが、今のところはその課題は盛り上がっていないようだ」

    とにもかくにも、チェルノブイリ原発事故の直後、事故の現況について住民たちに知らされなかったことはたくさんの根拠のないうわさを呼んだ。ロシア当局はこの件に学び、教訓とした。福島の事故から6年、日本の当局も情報公開の重要性を理解しているはずだ。

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