11:44 2017年12月12日
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    稲田朋美

    稲田氏は下降する気球から投げ捨てられた荷のようなもの

    © AFP 2017/ Toshifumi KITAMURA
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    ドミトリー ヴェルホトゥロフ
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    気球が上昇する力を失って地上に降下しようとするとき、乗員は気球を軽くして高度を保つために、荷を投げ捨てる。稲田朋美氏の防衛相辞任劇を説明するとき、この理論が適用できるかもしれない。安倍内閣は急激に国民の信頼を失っており、降下スピードをやわらげ、行動する時間を稼ぐために、お気に入りの存在を犠牲にしなければならなくなっているのだ。

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    形式的には、稲田氏は南スーダンの状況と、南スーダンでの自衛隊の国連平和維持活動について正確でない情報を伝えてしまったから、ということになっている。稲田氏は国連平和維持活動に従事している自衛隊員が南スーダンの首都、ジュバにおいて大規模な武力衝突を目にしていた頃、南スーダンは平常な状態だと発表していた。

    筆者にとっては、この点を野党が批判するのは公正でないように思える。第一に、国連平和維持活動部隊は、内戦状態の国に派遣されており、戦闘行為を行わない隊員であったとしても、そこでのリスクは通常よりも大きい。そのような戦闘行為が行われているところに隊員を派遣しておきながら完全な安全を要求するのは、控えめに言ってナンセンスである。

    第二に、南スーダンの状況の先鋭化は2013年12月に始まっており、その頃既に、大統領のサルバ・キール派と副大統領リエック・マチャル派に分かれて、大砲を用いた戦闘が行われていた。2014年には内戦は深刻なものになり、一般市民が迫害され、病院や食糧庫、国連の施設までが攻撃される事例が見受けられた。2016年6月にはジュバで戦車やヘリを使った本格的な戦闘が行われた。

    こういったことについては世界中のメディアが報じており、言うまでもなく野党もこれらの情報を得られたはずだ。南スーダンにおける国連の報告書や資料を読むこともできた。それら資料は、南スーダンの状況の悪化について詳しく説明している。この意味において、日本防衛省の報告というのは、何かを決定的にする意味合いをもっていなかったのである。

    戦争の歴史を紐解くと、戦地にいる軍が正確ではない報告、あるいはまったく正確ではない報告を出すことは、非常によくあることである。その理由はたくさんある。

    また別の話として、南スーダンの現況について公式的に発表してこなかったことと、日報を破棄しようとしたことは、安倍政権に対する信頼が急降下する中で、非常に痛いポイントである。つまり問題は、まさに信頼がないということなのだ。不正確な情報の存在が日の目にさらされたことで、まずます信頼不在は大きく深くなる。

    稲田氏の行動は非難すべきことだったかもしれないが、日本の防衛に損害をもたらしたわけでもないし、日本のイメージを悪くしたわけでもない。国連平和維持活動のミッションは犠牲者を出すことなく終了した。しかし口頭での叱責ではなく、安倍首相の謝罪と共に、辞任することになった。稲田氏の辞任は、安倍内閣の状況が悪くなるいっぽうだということを物語っており、もしかすると彼自身も自分に対する国民の信頼失墜のせいで、辞任の崖っぷちに立たされているのかもしれない。

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