18:22 2018年09月23日
トランプ氏

米国の無秩序な政策の結果、日韓両国は核武装に動くか?

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シンガポールの著名な外交官であるビラハリ・カウシカン元外務次官は、米紙ワシントン・ポストに寄稿した論文の中で、朝鮮半島情勢が更なる展開を見せたときに考えられる結果の一つとして、日本と韓国両国の核武装という潜在的可能性に言及した。また日本にとっては、公的には朝鮮民主主義人民共和国に対抗するために核兵器を持つことが、中国の抑止目的にも繋がると指摘する。「スプートニク」ではロシアの軍事専門家ワシーリィ・カーシン氏にカウシカン氏の論文に対する見解を求めた。以下、カーシン氏の考えを引用する。

スプートニク日本

アジア地域の国々で核兵器が拡散する可能性は、朝鮮半島の核・ミサイル問題が取り沙汰されるようになった初期から言われていたことだ。各国が核を持つという事態発展のシナリオは、北朝鮮の核兵器保有がまだ疑惑の域を超えておらず、同国の大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発計画などは真面目な議論の対象にもなっていなかった時期から既に存在していた。今や北朝鮮が核攻撃で米本土西海岸のロサンゼルスも標的にできる可能性を手に入れようとしているとき、この筋書きはより緊急性を帯びてくるだろう。

現在の情勢緊迫化をもたらした背景には、米国が過去10年にわたり続けてきた対北朝鮮「戦略的忍耐」政策がある。この政策の根底にあるのは、北朝鮮政権は国内に蓄積した諸問題の圧力によって早い段階でいずれ崩壊し、政府の核兵器開発問題も自然消滅するという信念だ。これが失策であったことをティラーソン米国務長官は今年4月に認めたものの、新たな対北戦略は構築されなかった。現在の米国の制裁と軍事的脅威による働きかけは、北朝鮮政府を核保有へと駆り立てるだけで、その政策は矛盾していると言えるだろう。

米国の雄弁な外交政策は、ことこの数ヶ月間の朝鮮半島核問題においては、外交発展国のものとはますます似つかわしくないものになりつつある。しまいには、敵に壊滅的攻撃を与えて地上から消し去るという北朝鮮側の脅迫発言と鏡写しになる始末だ。

トランプ米大統領が演説で北朝鮮に向けて軍事的脅威を表明する一方、ホワイトハウスの高官たちは、マティス国防長官も含め、北朝鮮攻撃は日本と韓国の両国に破滅的な結果をもたらす恐れがあると認めている。またトランプ氏は、北朝鮮を対話に引き出そうとしながらも、同国指導者の金正恩氏を公然と侮辱する。誹謗の言葉が対話への道を閉ざしかねないと専門家から指摘されているにも関わらず、米大統領はこれを幾度となく繰り返している。

北朝鮮情勢の緊張が高まる中、トランプ氏は10月13日、オバマ前政権の遺産(レガシー)だったイランとの2015年核合意を見直す姿勢を表明した。これは北朝鮮に対し、米政府と交わすあらゆる取引が次政権では反故になる可能性を自ら露呈する結果ともなった。

米政府内のこれらの混乱は、同国による安全保障の有効性を損なわずにはいられないだろう。米国が行なっていることは全て、重要な同盟国に核武装による自衛という選択肢を取らせるよう仕向けているかのようだ。

仮にこのシナリオが成立した場合を考えてみよう。北東アジア地域を構成するのは5つの核保有国(ロシア、中国、北朝鮮、日本、韓国)となり、同地域で今まで米国が演じてきた役割は不要となる。核保有国間に築かれた新たな勢力関係の中で、米国の安全保障はどの国にとっても全くの無用とはならないにしても、従来ほどの影響力は失われてしまうだろう。日本や韓国は同盟国であり続けるだろうが、米国が占めてきた優位性は損なわれる。経済面においても、各国は米国との関係よりも地域内の国々との関係を重要視するようになると考えられる。この重要な地域で米国が影響力を失った結果、最終的には世界全体における同盟体制の弱体化にも繋がるだろう。果たして現在の米政権は、このような事態の発展を予見しているのだろうか。そしてこれを未然に防ぐ意志があるのだろうか。

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戦争・紛争・対立・外交, 核問題, ドナルド・トランプ
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