「月に住むことができれば、火星への計画を立てることができる」
ロシアは月探査計画を中国とNASAと話し合っており、宇宙協力に関して日本とも対話を行っている。ロシア科学アカデミー宇宙研究所のレフ・ゼリョヌィ科学ディレクターが京都で開催された国際科学技術フォーラムの前日に語った。

60年前の1959年9月14日、ソビエトの宇宙船「ルナ2」が世界で初めて月面に到達した。10年後の1969年7月、アメリカの宇宙飛行士ニール・アームストロングが月面に人類最初の一歩を踏み出した。その後、両国は月探査計画を「冷却」させたが、21世紀になって「月探査レース」の新たなラウンドが始まった。参加するのはロシア、アメリカ、EU、中国、インド、日本、イスラエル、オーストラリアだ。

どうして今、新たな月探査レースが始まったのか?
スプートニクはロシア科学アカデミー宇宙研究所の上級研究者であるナタン・アイスモント氏にこの質問をぶつけた。
ソビエトオートステーション「ルナ2」 (写真:Sputnik / Mikhail Filimonov)


「最初の「月探査レース」は政治的側面が強かった。2つの大国(ソ連とアメリカ)と2つの体制の競争だったのです。また、当時は明らかに、月面探査の可能性と必要性よりが追いついていませんでした。今は、信頼性と安全性の面ではるかに高度な新しい技術が登場しています。これが月に対する新たな関心のきっかけになりました。」
月面の米国宇宙飛行士バズ・オルドリン氏 (写真:NASA)
地球人にどうして月が必要か?
国際天文学連合のメンバーでもある国立モスクワ大学のウラジミール・リプノフ教授はスプートニクのインタビューで、月は人類が自らを救うチャンスなのだと言う。
「小惑星との衝突、温暖化や地球規模の環境問題、核戦争など、人類の存続を脅かすファクターは枚挙にいとまがありません。人類という種の存続という観点から見ると、人間は地球外、特に月に住むことを学ぶ必要があります。月に住むことができれば、火星への計画を立てることができます。月は、他の惑星へ行くための一種のジャンプ台なのです。月は新たなエネルギー源開発のチャンスを与えてくれます。月を研究することは、地球の起源を理解するのに役立ちます。」
各国の月探査計画
NASAのアーティストが示した月面基地
今年、インドとイスラエルの宇宙探査機が月面着陸に失敗したが、両国も月探査レースから脱落するつもりはない。
インドの宇宙探査機「チャンドラヤーン2号」の打ち上げ (写真:AP Photo / Indian Space Research Organization)
スペースX社が開発した有人宇宙船「ドラゴンV2」(写真:SpaceX)
一緒にやるか、単独でやるか?
月探査レースの参加国は単独で進んでいくのだろうか、あるいはアライアンスを組むのだろうか?
「宇宙で競争があることは良いことです。スポーツと同じで、刺激になり、熱中するからです。けれど、複合的で基盤となる成果を望むのであれば、協力が不可欠です。なぜなら、全てにおいて完璧を成し遂げた国はひとつもないからです。電子機器が優れている国もあれば、航空機に優れている国もあります。協力の手本はISSです。おそらく、月の開発はどこか一国でも技術的には可能でしょう。しかし、その代価を考えてみてください。月面開発を戦略的に見るのであれば、協力するのが自然です。」

ナタン・エイスモント氏
最初の月探査レースの参加者だったソ連とアメリカは、このレースに勝った方が月を自国の所有物だと宣言するのではないかと危惧していた。それがきっかけで、ほぼすべての国連加盟国が署名する協定が結ばれた。この協定によると、どの国も月を自国の所有物とすることはできないが、月を自らの目的で使用することができる。幸い、この協定は月の軍事開発を禁止している。