09:19 2021年08月04日
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スマートフォンやコンピュータの誕生、座ったままの活動、加えて新型コロナのパンデミックは、現代の生活習慣を大きく変えた。そしてこうした状況によるもっとも大きな被害を受けているのが子どもたちである。スポーツ庁の調査では、日本の児童の運動能力が、前世代の同じ年齢の子どもたちに比べ、はるかに劣っていることがわかった。この問題がいかに深刻なものなのか、またどうすればこうした状況を改善できるのかについて、「スプートニク」が分析した。

スクリーンタイムは5時間以上―状況はますます悪化している

日本のスポーツ庁が2019年の全国体力・運動能力・運動週間等調査の結果を発表した。それによれば、総合的な体力合計点は小学生も中学生も低下していることが分かった。とりわけ、女子よりも男子が大きく低下しており、特に小学生男子は2008年に調査を開始し以来、最低となった。

同庁は体力低下の要因として、運動時間の減少や肥満の児童や生徒の増加、朝食を食べない児童の増加のほか、テレビやゲーム、スマートフォンなどの画面を見る「スクリーンタイム」の増加を挙げている。

スクリーンタイムの状況をみると、平日に「5時間以上」と答えた子どもが、小5男子が15.4%、女子が9.2%、中2男子は11.8%、女子は10.1%に達した。

また子どもの肥満率は、小5で男子が11.1%、女子が8.1%、中2は男子が8.6%、女子が6.6%。いずれも前年度より0.3~0.7ポイント高く、これらの子どもは体力合計点が低い傾向が見られた。

どうすれば状況を改善できるのか?

世界保健機関(WHO)、欧州地域事務局が取りまとめた2015〜2020年の青少年の健康保護戦略では、青少年の生活の質の向上は、各国の国家戦略の優先課題として扱うべき問題だとされている。きれいな水、高品質な食べ物、良好な環境などといった基本的なもののほか、WHOは青少年保護に向けた必要な措置のリストに、青少年の健康的な生活習慣の維持、保健部門への経費削減という長期的効果に向けた疾病予防を含めている。

子どもたちの体力低下という問題を解決するにはどうすれば良いのか、またなぜスクリーンタイム増加の問題が地域の問題の枠を超えるようになっているのか、「スプートニク」はモスクワ市の功労教師で、ケトルベルスポーツと拳闘のスポーツマスターであるマクシム・エリセーエフ氏にお話を伺った。

「何よりも、スマートフォンの登場は子どものコミュニケーション文化に影響を与えました。それが否定的な影響であることは明らかです。今の児童たちの脳に入ってくる情報量は数倍に増えました。反対に、コミュニケーションの量は危機的に減少しています。コミュニケーションを図るのはソーシャルネットワーク上だけなのです。子どもは誰にも電話をかけず、文章も書かず、ただ顔文字を送り合っています。さらにソーシャルネットワークは、コミュニケーションという機能を満たしつつ、その年齢では処理できないほどの不必要な情報を子どもの頭に詰め込みます。くわえて、わたしは、スマホの登場による青少年の発達に関する問題はもう1つあると考えています。かつてわたしたちは麻薬依存やアルコール依存を恐ろしいものだと認識していましたが、現在はさらにゲーム依存という問題が出てきています。子どもたちは誰かと一緒に遊んだり、人と交流したりしないため、同級生と顔を合わせてもお互いにうまく話ができません。一番の関心はバーチャル世界にあり、リアルな世界で社会に示せるものがないのです。これは一定の国や地域の問題ではなく、全世界的な問題です。ですから、わたしは子どもにスマホやゲーム機を与えるのには反対の立場を取っています。スマホやゲーム機によって、アクティブな生活を送ることへの興味を失ってしまうからです。運動やスポーツはもちろん、アクティブな生活習慣、友達と外で遊ぶことなど、何らかの行動を促すような物事への関心も含めてです。子どもというものは、友人たちと一緒に遊ぶとき、バーチャル世界ではなく、スポーツや創作、実生活において、以前よりうまくできるようになったことを皆に見せたがるものなのです」。

マクシム・エリセーエフ氏によれば、子どもの集団の中でどういった子どもの占める割合が大きいかというのは非常に重要なことだという。ソーシャルネットワークやコンピューターゲームなどのバーチャル世界で費やす時間が長い子どもが多数を占める集団では、そうした子どもが互いを支え合い、体力や発達という異なる価値感にともに対立してしまうのだという。そこで、学校や親が一緒になってコンピューター依存をなくすための総合的な共同措置をとることがきわめて重要だとエリセーエフ氏は指摘している。

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日本, 子供, スマホ
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