訪露前日、河野太郎外相独占インタビュー「この時期の外相拝命、幸運な巡り合わせ」

© REUTERS / Rolex Dela Pena日本の河野太郎外相
日本の河野太郎外相 - Sputnik 日本
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河野太郎外相が明日23日から26日までロシアを訪問する。河野氏は外務大臣としてのロシア初訪問を前に、スプートニクの独占インタビューに答えた。日露関係、緊迫する北朝鮮問題、係争地域での日露共同経済活動、そして祖父の代から伝わるペーパーナイフについて話を聞いた。河野氏は、平和条約がない現状を打破すべく、重要課題に取り組む決意を明らかにした。

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スプートニク:現時点の日露関係の評価はいかがですか。未だ眠っている可能性があるとすれば、特にどのような分野の発展が期待できるでしょうか。

河野外相:日露はアジア太平洋地域の重要なパートナーです。地域の大国である両国が安定した関係を築き、協力を深めることは、地域の安定と発展にとっても極めて重要です。

しかし、残念ながら現在このような視点から、日露両国の潜在力が活かしきれているとは言えません。たとえば、日露間の貿易額(16年164億ドル)は日中の17分の1と、両国間の経済関係としては不十分です。そして、そもそも日露両国の間では、戦後70年以上経っても平和条約が締結されていないという異常な状況にあります。

私はこの状況を打開したいと考えています。日露関係は、無限の可能性を秘めた二国間関係です。二国間関係の潜在力を現実のものとし、日本とロシアが真の戦略的な関係を構築することは、アジア太平洋地域だけでなく、国際社会全体の利益です。勿論、70年以上両国間で未解決の根本の問題の解決なしには、その潜在力は決して開花しません。日露両国民が協力して大きな夢を描き、それを開花させようではありませんか。

そのための経済面での一つの「青写真」は、昨年安倍総理が提案した8項目の「協力プラン」です。日本の技術と経験を生かし、ロシア国民の皆さんが生活環境の改善を直接実感できるような「協力プラン」の進展は、ロシアと日本に真に「ウィン・ウィン」な関係をもたらします。特に、地理的にも近い極東地域をアジア太平洋に向けた輸出拠点にし、農林水産業の振興やインフラ整備を共に進めていきたいと考えています。今回訪露し、私とシュヴァロフ第一副首相が共同議長を務める貿易経済日露政府間委員会でも、両国でこの流れを加速させたいと思います。

日露の関係にとって最も重要なのは、平和条約の問題です。今から61年前、政治家だった私の祖父一郎は、日本政府の全権代表の一人として日ソ共同宣言に署名しました。これにより二国間の外交関係は回復しましたが、平和条約の締結が最も重要な宿題として残されました。私は、祖父の世代から引き継いだこの課題を克服し、日露関係の無限の可能性を切り拓くため、ラヴロフ外相と共に仕事をできることを楽しみにしています。

来年は「ロシアにおける日本年」「日本におけるロシア年」です。又、来年のロシアにおけるサッカーW杯には、日本も参加し、両国の若者の大きな交流が行われるでしょう。この相互交流年を通じて、幅広い分野で国民間の相互の理解や関心が高まり、日露経済関係の発展、平和条約締結に向けた政府間の交渉への両国の国民的な支持が更に広がるものと期待しています。

スプートニク:大臣の祖父河野一郎氏は、ソ連との交渉で大変大きな役割を果たされました。河野大臣ご自身は、日露外交にどのような思い入れがありますか。ソ連との交渉中にフルシチョフ共産党第一書記からプレゼントされたペーパーナイフは、大臣のご家族の中でどのように伝えられていますか。

河野外相:戦後、多くの先達が日露外交のために多大な努力を積み重ねてきました。私の祖父一郎もその一人です。今から61年前、祖父は、日本政府全権代表団の一員として訪露し、フルシチョフ共産党第一書記やブルガーニン首相と何度も協議を行いました。その際、祖父がフルシチョフ書記から受け取ったペーパーナイフは今でも河野家に保管されています。私が外務大臣に就任することが決まった時に思い浮かんだのがこのペーパーナイフです。祖父の世代の功績を受け継ぎつつ、私自身平和条約締結という残された重要な課題に取り組む決意を強くしています。

今、両国の強力な指導者である安倍総理とプーチン大統領の下で、日露関係は大きなモメンタムを得ています。この重要な時に外務大臣を拝命したことは、私にとって幸運な巡り合わせだと感じています。このチャンスを最大限に活かして、これから日露関係の無限の可能性を切り拓くことに貢献したいと考えています。

スプートニク:北朝鮮の脅威が今までにないレベルに至っている中、ロシアの役割、およびロシアとの協力の可能性に関する見解はいかがですか。

河野外相:北朝鮮による核実験や日本上空を通過する形での弾道ミサイル発射は、日露を含めた国際社会に対する、これまでにない重大かつ差し迫った脅威であり、断じて容認できません。日本としては、ロシアを含む国際社会と連携しながら、あらゆる手段を通じ北朝鮮に対する圧力を最大限まで高め、北朝鮮の政策を変えさせなければならないと考えています。

北朝鮮問題への対応に当たっては、安保理常任理事国であり、六者会合のメンバー国でもあるロシアの役割は重要です。11月10日のAPEC首脳会議の際に行った日露首脳会談でも、安倍総理からは、安保理決議の完全な履行が不可欠であることを強調し、また、北朝鮮による日本人拉致問題へのロシアの理解と協力を求め、今後ともプーチン大統領と緊密に連携していくことを確認しました。

北朝鮮が核・ミサイル開発を執拗に追求する中で、日露共通の目標である朝鮮半島の非核化に向け、国際社会全体で結束して、諸懸案の解決に向けた具体的な行動を強く求めていかなければなりません。そのためには、日露の緊密な連携が不可欠です。

スプートニク:国後、択捉、色丹、歯舞での共同経済活動に関し、日本にとって一番魅力的な分野は何ですか。共同経済活動は平和条約締結につながるとお考えですか。

河野外相:豊かな自然、地理的環境といった四島が持つ潜在力は日露双方に魅力的なものです。こうした点も踏まえつつ、今回双方で、両国の法的立場を損なうことなく、四島において行う共同経済活動について、早期に取り組むプロジェクトの候補5件が特定されました。すなわち、①海産物の共同増養殖プロジェクト、②温室野菜栽培プロジェクト、③島の特性に応じたツアーの開発、④風力発電の導入、⑤ゴミの減容対策です。10月下旬には、5件のプロジェクト候補の具体化を進めるため、第2回目の四島での現地調査を実施しました。50人以上の日本の官民の専門家が四島現地に行き、ロシアの地元の人々と様々な土地を訪れました。これは未だかつてなかった出来事です。これらのプロジェクトはいずれも、日露双方の知見を活用して四島に住む人々の生活を改善し、人的交流の活性化をもたらすものです。

この様に日本人とロシア人が共に四島の未来像を描くことは、相互の理解と信頼を深めることにつながります。これは、平和条約締結にとって大きなプラスになると確信しています。未来志向の発想の「新しいアプローチ」の中で、平和条約締結に向けた突破口を共に見出していきたいと思います。

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