ロシア女子フィギュア現象
13歳のアレクサンドラ・トルソワがソフィアで開催のフィギュア世界ジュニア選手権で史上初めて2種類の4回転ジャンプを跳ぶと、世界中のマスコミがロシア女子フィギュア現象について書きたてるようになった。
今回の世界ジュニア選手権でロシアが成功を収めたのは女子だけではなかった。トルソワの金に続いて銀メダルもロシアのアリョーナ・コストルナヤが勝ち取り、男子はロシアのアレクセイ・エロホフ、ペアのダリヤ・パヴリュチェンコ、デニス・ホディキン組、アイスダンスのアナスタシヤ・スコプツォワ、キリル・アリョシン組の全員が金メダルに輝いた。本大会で授与された12のメダルのうち9個はロシアが勝ち取っている。
アリョーナ・コストルナヤ、アレクサンドラ・トルソワ、アナスタシヤ・タラカーノワ
トルソワに話を戻すと、ジャンプは彼女の得意技で、12歳の時に自分に誓ったのだそうだ。「何か世界1になることをやってみよう」と。ジュニア世界選手権で輝かしい勝利を収めた後の彼女は金メダルそのものよりジャンプをうまく跳べたことのほうがずっと嬉しかったと話している。「勝ってとてもうれしい。でももっと嬉しいのは4回転を2回跳んで着地できたこと。だってこれを目指して準備を重ねて、成し遂げたんだもの。」

フィギュアファン、専門家らの関心の的は13歳の幼い選手が成長した時に、身体に影響をきたさず、女子シングルにとっては過渡期の最も難しい時を克服できるだろうかということに集中している。トルソワはあと1年半もすればシニアの大会に出場でき、現在の五輪チャンピオンのアリーナ・ザギトワやエフゲニア・メドベージェワらとしのぎを削ることになるからだ。トルソワもザギトワもメドベージェワもみんな、エテリ・トゥトゥベリッゼ監督の門下生。ところで彼女たちだけではない、なぜトゥトゥベリッゼ監督の「補欠ベンチ」には空席ができないのだろうか。

数名の名を挙げるとすると、2017年グランプリ・ジュニア・ファイナルの銅メダリスト、アナスタシヤ・タラカーノワ(13)。アンナ・シェルバコワ(13)。シェルバコワは前シーズンは怪我のために一時期は大会に出られなかったものの、ロシア杯ファイナルでアレクサンドラ・トルソワを打ち負かしている。14歳のアリョーナ・コストルナヤはジュニアでのメダルの他にシニアでも2017年ロシア杯で銅メダルを獲得した。15歳のダリヤ・パネンコワもグランプリの数ステップでメダルを勝ち取ったが、2017年ジュニアシリーズのファイナルでは5位にとどまった。
トゥトゥベリッゼ監督自身は門下生がこれだけの成功を収めたのは、厳格な規律を生徒らに要求する一方で、困難を克服することでそれが子どもたちに満足感をもたらすように仕向けているという。ロシアのあるスポーツチャンネルからの取材にトゥトゥベリッゼ監督は次のように語っている。
これらの女の子たちは今難しい時期にあります。彼女たちは自分を超え、自分の性格を前に出していかなければなりません。転ぶことは避けられませんよ。怪我のリスクはものすごく大きい。私だって監督として彼女たちのことを考えたら恐ろしい。恐怖が2倍になることもありますよ。でも克服しつづけるしか道はありません。この他にとても重要なのが、もし試合でうまくいかなかった場合、そのわけがどこにあったのか、なんとしても探さねばならないということです。原因を他の人に探してはならない。監督が選手の状態を整えらえなかった。親がちゃんと食べさせなかった。誰か脇で大声で叫んだので、それで選手が精神統一できなかった。こういうことに失敗の原因があると思うのであれば、あなたは状況に負けたんです。そうではなく、自分の中に理由を見つけることができるならば、次は最良の結果を出すことができる。なぜならその理由を自分で直そうとするからなんです。
エテリ・トゥトゥベリッゼ
これら、若い選手たちの将来はどうなっていくのだろう? 闘いを続けるのは誰か、ダメになってしまう人はいるだろうか? スプートニクはこの問いを元フィギュア選手で現在、アイスショーのプロデューサーを務めるイリヤ・アヴェルブフ氏にぶつけてみた。
将来を予測するのはものすごく難しい。だってジャンプの高さやプログラムの複雑さは、今の有名な選手のものも、またそれほど有名ではない選手のも限界を超えていますよ。競争はものすごく激しく、彼女たちはみるみる間に、今、ザギトワがこなすものよりずっと複雑な要素をこなしているんです。それでも何が起きるかわからない。怪我をしたり、大人になる過渡期をうまく渡れなかったり…。エフゲニア・メドベージェワはキャリアを続けていくと思いますね。彼女は正真正銘の闘士です。まぁ、どうなるか見てみましょう。まだまだ大人への道は遠いです。今は一つの伝説が生まれても、その脇で別の伝説が現れてしまい、熟す間がないんです。これは正しい状況とは到底言えません。
イリヤ・アヴェルブフ
世界選手権でロシア初の金メダリストで現在監督を務めるマリヤ・ブティルスカヤ氏の見解は次のようなものだ。
多くは生理学的要素によるのです。細身をキープできても、身長のほうはいつもいつも止まっていてくれるわけではない。これは身をもって知っていますが、複雑な要素をこなすためには体重100グラムで大きな差がつくんです。それぞれに華の時期は異なりますが、彼女らはまだ若い、先がありますよ。若いからだというのはどんどん耕していけるんです。カギになるのは心的状態。まだこの先に進もうとするか、ということにつきるんです。チャンスは文句なしに全員にある。次の五輪まであと4年。しっかり作り上げ、それだけの価値のある自分であることを証明しなければなりません。今は全員が同等の条件にあるんです。
マリヤ・ブティルスカヤ
面白いのは トゥトゥベリッゼ監督のところはほぼ全員が日本大好き少女ばかりということだ。 トルソワはインスタグラムに「日本とロシアのスケート選手たちが仲良くするということは、宇宙が存在するっていう証拠だとおもうの」と書き込んでいる。トルソワも、彼女より年上の少女たち、ライバル同士のメドベージェワとザギトワと同じように日本にファンを獲得していくだろう。それでもそのためには相当な努力が要される。
2022年の冬季五輪は初めて北京で行われる。だがそれまでにジュニアの選手らは様々な大会で私たちの目をたくさん喜ばせてくれるはずだ。フィギュアスケート人気は世界中でますまず高まっているのだから、なおさらだ。


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