「歴史による戦争」 韓国は佐渡金山の世界遺産登録を阻止することができるのか?

© AP Photo / Jacques Brinonユネスコ
ユネスコ - Sputnik 日本, 1920, 26.01.2022
佐渡島の金山を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録しようとする日本の動きに韓国が反発している問題で、日本は韓国側の抗議を無視して、推薦書を提出する意向である。最近、衆議院の予算委員会で発言した林芳正外務大臣は、佐渡金山の推薦については、外交的配慮を行うことなく決定すると述べた。

何が争点なのか

佐渡金山では、20世紀に朝鮮半島出身者が働いていたことから、韓国は「強制労働被害の現場」などと主張し、以前から、この佐渡金山の世界遺産の候補に挙げることに反対の立場を示していた。2023年の世界遺産登録を目指すには、2022年2月1日までにユネスコに推薦書を提出しなければならず、これを見送った場合には、2024年以降に登録審査を受けることとなる。
新潟県と佐渡市は、佐渡島の金鉱山、銀鉱山を世界遺産にふさわしい「顕著な普遍的価値」を持っているとして、2007年に初めて国内推薦の候補として名乗りをあげた。佐渡金山には、400年以上にわたる様々な時代の坑道、採掘跡、産業遺構が保存されており、採掘技術の発展の歴史を見ることができる世界で唯一の場所である。現在、佐渡金山は人気の観光スポットとなっている。そして2021年12月、日本文化庁がユネスコの世界遺産の推薦候補に選定した。
日本と韓国は、明治日本の産業革命遺産に関する総合的な情報発信の場として東京に開設された産業遺産情報センターをめぐっても対立している。このセンターの開設を前に、日本政府は朝鮮人労働者についても、労働者らが「意思に反して連れて来られ、過酷な条件の下で労働を強いられた」という理解に基づいた上で情報発信していくと約束した。しかし、2020年に情報センターが開所した後、センターを訪れ、展示品を調査したユネスコ世界遺産委員会の専門家チームは、徴用された朝鮮人労働者に関する説明に不備があると結論づけ、日本が約束を守らなかったとして強い遺憾の意を表した。また2021年7月、委員会は、日本の世界遺産の一つである長崎近郊の端島炭坑(軍艦島)での朝鮮人労働者の強制労働に関する説明を十分に行なっていないとする決議を全会一致で採択した。
佐渡金山 - Sputnik 日本, 1920, 26.01.2022
佐渡金山

世界遺産登録への反対が可能に

一方、2021年4月、ユネスコの執行委員会は、歴史的な資料を後世に引き継ぐことを目指す「世界の記憶」について、選定方法の見直しを図ると決定した。これは2015年に、1937年の南京大虐殺に関連する記録が、そして2016年にはいわゆる「従軍慰安婦安婦」に関する資料が世界遺産に登録された際のプロセスが不透明であるとして日本政府がこれを非難したことに端を発する。
慰安婦 - Sputnik 日本, 1920, 11.01.2018
慰安されない慰安婦
これを受けユネスコでは、加盟国の反対があれば、「世界の記憶」には登録しないという新たなしくみが作られた。つまり、今後、ユネスコはどの国も反発のないものしか「世界の記憶」に残さないことになったのである。
極東研究所日本研究センターのオレグ・カザコフ主任研究員は、こうした状況を「歴史による戦争」と名付け、次のように述べている。

「様々な国が、歴史の解釈を、政治上の利益のために用いるようになってきています。最近はこれが双曲線的な形になりつつあります。これは日本と韓国についてだけではありません。おそらく、どの国にも『暗い過去』、忘れたいと思うような過ちはあるものです。しかし、あるとき、どこかの国が、『埃の積もった箱』の中から過去の事象を引っ張り出し、何らかの目的でそれを騒ぎ立てるのです。たとえば、靖国神社を日本の政治家が参拝するたびに、主に中国政府や韓国政府が抗議を申し立てています。しかし、靖国には国際軍事裁判で戦犯と認められた司令官だけが葬られているわけではありません。あるいはロシア政府の関係者が南クリル諸島を訪れた際には、日本政府は必ずこれに反発しています。しかし果たしてこのようなことを、過去を理由に隣国と争うための口実にしていいのでしょうか。このようなことが、相互に有益な善隣関係の構築より重要なことなのでしょうか」。

2021年、日本国内の世界遺産登録件数は25に達した。世界全体では、1154件(うち897件が文化遺産、218件が自然遺産、39件が複合遺産)の世界遺産が登録されている。
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