16:09 2021年07月24日
新型コロナウイルス
短縮 URL
筆者 :
0 10
でフォローする

まもなく日本では、ファイザー社のワクチン接種の第一段階がスタートする。製薬業界の重要なニュースを扱うアンサーズニュースのサイトによれば、日本政府はすでに、ファイザーのワクチン以外にも、モデルナ、アストラゼネカとの間で、ワクチン供給の契約を結んでいる。

現在すでに、さまざまな技術を使った新型コロナワクチンが短期間で開発されているがが、日本政府が最初に選んだのは米国ファイザーのワクチンである。このワクチンは革新的なものの一つである。

「スプートニク」はすでに製造されたワクチンについて、これらをなんらかの特徴によって大別することができるのかどうか、またそれがワクチンの有効性になんらかの影響があるのかどうか、専門家にお話を伺った。

新型コロナワクチンの目的は、コロナウイルスのスパイクタンパク質をヒトの体内に接種し、免疫細胞に察知させて抗体を作り、本物のウイルスの侵入をブロックするというものである。

しかし、その「結合」の方法には、それぞれのワクチンで違いがある。

ワクチンの「違い」は次の3つの要素による。使用するウイルスの量(全体なのか断片なのか)、生ワクチンか不活化ワクチンか、そしてスパイクタンパク質の体内にどう導入するかである。これについて、生物学博士で、ロモノソフ記念モスクワ大学、生物学部細菌学学科の副学科長であるニコライ・ニキーチン氏に伺った。

米国のmRNAワクチン

米国のmRNAワクチン(ファイザー社とモデルナ社)の革新性は、コロナウイルスのスパイクタンパク質の人体への導入の方法にある。またここで重要なのは、プロセスにウイルスそのものが関与していない点である。ニキーチン氏はこれについて、ウイルスは単に必要ではないからだと指摘している。「米国のmRNAワクチン(リボ核酸を基礎としたもの)は、アデノウイルスワクチンとは異なり、ウイルスそのものやその断片ではなく、mRNAの分子を含んでいます。この分子にスパイクタンパク質の遺伝子情報を(シーケンシング、つまりDNAを構成するヌクレオチドの結合順序の決定に基づいて)記録させるのです。ワクチンにはmRNA以外に、mRNAを保護する脂質シェルというものが含まれています。このシェルは人体の細胞壁に付着するのを助けてくれるものでもあります。mRNA分子はこの脂質シェルによって、細胞内へと侵入し、スパイクタンパク質を形成します」。

スプートニクVにドイツが関心示す EUでの「大惨事」の影響受け=英週刊誌
© Sputnik / Press service of the Ministry of Health of the Russian Federation
スパイクタンパク質は抗原のような働きをする。体内の免疫系がこれを認識し、記憶する準備を行い、免疫を作る。そうすると、体内に病原体が侵入しても、免疫系はこれをすでに記憶していることから、感染を防ぎ、病気を起こさせないようにすることができるのである。

一方、オックスフォード大学では、アストラゼネカ社のワクチンの製造にあたり、増殖しないよう組み換えられたサルアデノウイルスを研究的に使用した。このアデノウイルスに、スパイクタンパク質の産生に必要な遺伝子を「挿入」し、改変型ウイルスを作製したのである。つまり、無害のアデノウイルスが人体を守るためのウイルス担体となっている。

サルアデノウイルスを使用する利点は、ワクチンの有効性を低下させる可能性があるサルアデノウイルスに対する免疫がヒトにはないということである。

普通の冷蔵庫で保管できるワクチン?

しかし、どのワクチンを使うかを判断するにあたり、革新的なワクチンと従来型のワクチンのどちらかを選択する必要に迫られる国もある。そして、ワクチン「競争」と新型コロナに対する「勝利」(できるだけ多くの人にワクチンを接種しようとすること)においては、必ずしも革新的なものが有利とは言えない。

ファイザー社のワクチンには革新的な技術が用いられているが、輸送が難しく、また超低温で保管する必要がある。一方、アストラゼネカ社のワクチンは一般的な冷蔵庫で保管可能である。ロシア製のワクチン「スプートニクV」もプラス2℃から8℃で輸送と保管ができる。

不活性化ワクチンで予防できるのか?

新型コロナが感染拡大する中、医学界は、短い期間でコロナワクチンを製造するという課題を突きつけられている。そこでロシアの細菌学者の中には、革新的な方法ではなく、「おなじみの」方法を取るという決断を下す研究者もいる。

ロシアのワクチン「コヴィワク」は、すでに医学界でもよく知られる従来の不活化ワクチンである。これについてニキーチン氏は次のように説明している。「チュマコフセンターのワクチンには米国製のワクチンのようなmRNA分子ではなく、コロナウイルス全体が用いられています。ウイルスに化学物質を加えたり、加温処理を行うことで、不活性化し、感染性や病原性を消失させるのですが、構造はそのままで、感染能力だけが失われます。不活化したウイルスを体内に導入すると、免疫系が刺激され、コロナウイルスの抗体が生成されます。不活化、つまり従来型のワクチンの有効性はこれまでにも実証されてきており、ポリオ、狂犬病、その他の感染症の予防にも広く用いられています。

ヴェクトル:量が少なくても有効性は劣らない?

一方、「ヴェクトル」センターで開発されたロシアのワクチン「エピワク」はこれとはまったく違う原理を持つもので、ウイルス全体ではなく、一部分だけを用いている。これについてにニキーチン氏は次のように述べている。「エピワク」はペプチド(ウイルスタンパク質の短い部分)ワクチンです。ウイルスは体内にスパイクタンパク質の小さな部分であるペプチドの形で送り届けられます。量も少なく、大きさも小さいですが、それでも十分な免疫反応を誘発し、抗体の生成を起こすことができました」。

「スプートニクV」:軽い風邪でコロナの「重症」を予防する?

ロシアのコロナ対策において、最初に登場したワクチンが「スプートニクV」である。「スプートニクV」は、一般的な風邪が、鼻水などの不快な症状を起こすだけでなく、ウイルスの感染予防に役立つことを(オックスフォード大学の研究者同様に)証明した。

というのも、ロシアのワクチン「スプートニクV」の開発では、サルアデノウイルスではなく、普通のヒトアデノウイルスがベースとなっているのである。これについてニキーチン氏は次のように述べている。「アデノウイルスはヒトに軽い風邪の症状しか引き起こしません。国立ガマレヤ疫学・微生物学研究所の研究者たちは、アデノウイルスのゲノムの一部をスパイクタンパク質の遺伝子と組み替えることにしました。組み換えアデノウイルスが細胞内に侵入すると、アデノウイルスのタンパク質ではなく、コロナウイルスのスパイクタンパク質が生成され始めます。それでヒトの免疫系は新たな「仲間」を記憶し、感染予防のメカニズムを作り出すのです」。

ロシアの直接投資基金は2月に「スプートニクV」の欧州連合での登録申請を行った。

以上のように、ワクチンがどのような仕組みで働くのかはそれほど重要ではない。コロナワクチンの最終的な目的は体内にコロナウイルスのスパイクタンパク質そのもの、あるいは遺伝子コードを導入し、細胞内で生成させることなのである。そして重要なのは、ワクチンがすべての人に無料で保証されることである。


スプートニクは新型コロナウイルスに関する信憑性の高い最新情報をお届けしています。特設ページをご覧ください。 
コメント・ガイドディスカッション
スプートニク経由でコメントFacebook経由でコメント
  • コメント