07:35 2020年10月26日
ルポルタージュ
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シリア上空でロシアのスホイ24がトルコの戦闘機F16によって撃墜された後、世界は一気に緊張し、ロシアとトルコの間で戦争が勃発するのではないかと息を殺して見守った。この状況を緩和しようと安倍首相はパリでの国連の気候変動会議でトルコのエルドアン大統領と会談し、ロシアとトルコの間の関係正常化に助力する構えを表している。

モスクワ国際関係大学、国際調査研究所の上級研究員、アンドレイ・イヴァノフ氏は、この件に関して次のような考察を表している。

「まず、露土関係に起こった危機の調整に日本がまさに何を持って助力できるのかという問いに答える前に指摘して起かねばならないのは、エルドアン氏はパリのサミットの場を対露関係正常化における第一歩を踏み出すために利用しなかったという点だ。エルドアン氏はロシア機破壊に対する謝罪を行なわなかった。それどころかパリでエルドアン氏はまたしても、トルコは全て正しく行動した、なぜならロシアの爆撃機はあたかもトルコの領空を侵犯したからだと繰り返した。思い起こしてほしい。ロシア宇宙軍の客観的なコントロールデーターでは、スホイ24はトルコの領空境界線を侵犯していないのに、トルコのF16によってシリアの上空で撃墜されている。

だが百歩譲って、仮にエルドアン氏が正しくて、スホイ24が偶然トルコの領空に侵入してしまったとしても、それがトルコによって殲滅されたというのはあまりに野蛮な行為に思える。それどころか、ロシア軍機はトルコにとっていかなる脅威も与えてはおらず、シリア領内にある「IS(イスラム国)」の拠点を破壊するという課題を遂行していた。繰り返すが、ロシア機はテロリストと戦っていたのだ。ところがトルコはNATOのメンバーとして、つまり同じようにISと戦う組織のメンバーとして少なくともロシア軍機の行動を邪魔してはならないはずだった。ところがそうする代わりにトルコはこれを撃墜したのだ。トルコのF16は卑劣にもスホイ24が課題を遂行し、シリアの基地に向けて戻るためリターンしようとしている最中に後尾から攻撃を行った。今、これがロシアを罰した行為であったことは明らかだ。ロシアがシリアでの反テロ作戦のなかで、トルコの国益でもなんでもない、この国の、テロリストを支援する一定の者らの利益を空爆したからだった。

昨日、11月30日パリの記者会見でプーチン大統領が声明に表したように、トルコが国際テロリストの保養および訓練施設として使われてきた事実について、ロシアは長年にわたりトルコ側に幾度も注意を喚起してきた。その中には北カフカスでロシアに対抗して戦っているテロリストらも含まれている。ところがこのロシアの訴えには何の注意も払われなかった。しかもトルコはここ数年、シリアでアサド体制と戦うために全世界からやってくるテロリストの主たるスポンサーのひとつとなった。今、トルコがシリアで戦うテロリストに武器を供給していることを裏付ける証拠が多く溜まってしまっている。この中には化学兵器も弾薬も含まれているようだ。それだけではない。トルコはISの採掘した石油を運ぶキャラバン隊に自分の領域を通ることを許し、その輸出に参加していた。

ロシアは空爆によって、このトルコに多大な利益をもたらしてきたビジネスに事実上終止符を打った。ロシアはまた、中東領域にカリフ制をしき、オスマン帝国を復活させるというエルドアン氏の夢の実現を脅威にさらした。これこそが、なぜトルコ大統領がロシアに軍機撃墜を詫びたくない最たる理由なのだ。

とはいえ謝罪だけではロシアには足りない。ロシアが必要としているのはエルドアンが中東だけでない、ユーラシア全体にも及ぶ平和と安定を脅威に陥れる悪い構想を退けることだ。まさにトルコが欧州に難民の波を差し向けたのであり、そうした難民の中には今、欧州の特務機関が発見して戦慄を覚えているように、テロリストとして養成され、戦闘経験を持つ人間が何千人も紛れ込んでいた。だからこそ独仏では、シリアで戦うテロリストに対抗するためにロシアと緊密な協力が必要だという声がますます声高に語られるようになってきている。あの米国までもが今やトルコに対し、テロリスト、兵器、麻薬、石油、生きた奴隷や臓器のトランジットを封じるため、シリアとの国境を閉鎖するよう要請した。

これが、日本が露土関係の正常化を助けるために何が出来るかという回答だ。日本は独仏米に続いてエルドアン氏にテロリストと手を組み、カリフ制やらオスマン帝国といった自分の空想を実現する試みが死や破壊を約束するものであるから、文明世界には絶対に受け入れられないものであることと分からせることができる。

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ロシア, トルコ
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