02:48 2021年10月17日
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プーチン大統領は安倍首相とのソチでの会談以降、かなり満足げな感じだ。ロシア人日本専門家のモスクワ国際関係大学のドミトリー・ストレリツォフ教授は、プーチン大統領が上機嫌でいる理由は露日首脳会談の結果だけでなく、その会談が行われた際の雰囲気にも秘密があるはずだとして、次のように語っている。

「安倍氏にとってはロシアの大統領と最高レベルでのコンタクトを継続し、これによって日本の外交優先課題において露日関係の占める高さを示すことが純粋に大事だった。この会談のどういった面が実際に重要だったかというと、まず日本がG7の議長国であり、ロシア対西側世界というグローバルな対決を背景にした日本の特殊な立場。その立場で重要なのは日本はロシアへの対立関係を主眼にすえたことは一度もないということだ。日本は自分から制裁を発案せず、ロシアを殊更批判しようともせず、これに外交圧力をかけることは退けていた。逆にオバマ米大統領のけん制をものともせず、安倍氏はこれ見よがしにプーチン大統領と会談しようとソチへ行ったのだ。

日本はここ最近、安全保障面での米国への依拠を一段と強めたが、このプロセスの否定的影響をどうにか償おうとしている。日本は粘り強く、自立した外交を行なっており、これによって国際関係における独自の役割を強めている。しかも対露関係を拡大しながら、日本は同時に米国との間でも交渉上の立場を強めてきている。参議院選挙を控えた日本国内の政治状況から見ると安倍首相にとって非常に重要なのはこの2つの点だろう。なぜならその後は衆院選も控えているからだ。

露日関係
© Sputnik / Dmitry Astakhov
しかも多くの人は安倍氏がすでに今年末までに議会解散を行い、さらに4年の任期を確保するため、立場を固めようとしていると考えている。そしてそのためにはなんとしても外交で成功を収める事が必要なのだ。対露関係はこのコンテキストでは最も理想的な事例となる。なぜなら中国とは大きなブレイクスルーは期待できず、韓国との間では出来ることはすでに最大限おこなってきているため、ここでロシア方面でいい格好をするには格好のチャンスなのだ。このためロシア訪問は一種のシンボリックなジェスチャーであり、安倍氏としてはロシアの方面で成功を収めたところを見せつけるプロパガンダとして、より効果を狙ったわけだ。ソチの訪問では敵対的またはダブルスタンダード的な声明は一切なされていない。これはつまり安倍氏はロシアへ対抗姿勢を持っていないということの現われだ。」

安倍首相の口からは対露関係を戦略パートナーシップのレベルまで深化させたいという発言が何度もなされている。それでもストレリツォフ氏は、だからといってこれは日本が南クリル諸島の返還要求をあきらめたということにはつながらないとして、さらに次のように語っている。

「ソチの会談は双方にとって、止まっていた対話が死点から動いた、トーンが変化したということを外に対して示すために重要だった。なぜなら対話はクリミアの一件以来、凍結されていたからだ。そのためここでは会談が行なわれたという事実自体がすでに二国間関係に進展があったというふうに押し出されている。それにこれは領土問題に対して二国間に近い立場がないにもかかわらず、本当に成功だった。ロシアの基本的立場は1956年のソ日共同宣言であって、これによればロシアは日本に2島を渡す構えがあるとされている。安倍氏というリーダーが代表する日本は十分に賢く、ロシアは56年の宣言で示した条件を越えることはないだろうと分かっていると思う。問題なのはこの条件が日本に当てはまるかどうかだ。」

 

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日本, ロシア, 安倍晋三, ウラジーミル・プーチン, 露日関係
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