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    最初はBrexitで今度はトランプで、社会学者らはなぜ予測を誤ったのか?

    最初はBrexitで今度はトランプで、社会学者らはなぜ予測を誤ったのか?

    © REUTERS/ Mark Kauzlarich
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    タチヤナ フロニ
    米大統領選挙 (68)
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    民主党のドナルド・トランプ候補は勝利に必要な選挙人の票数を集めて米大統領選挙に勝利した。トランプ氏は一時は民主党がリードしていた複数の選挙区で勝利を収めた。

    トランプ氏の結果はまた、選挙戦でクリントン氏が数パーセントの差で勝利すると予測していた社会調査の数値とは完全に異なる。とはいえ投票日当日にトランプ氏はいくつかの選挙区での支持率の数値は改ざんされた恐れがあるという声明を出し、世論調査の一部は完全にまがい物である可能性を指摘した。

    いずれにせよ、有権者は社会学者らの世論調査を信じなくなる事態が近い将来にも起きそうな感触だ。 社会学者らはなぜ予測を見誤ったのか? 予測の精度には何が影響するのだろうか? ロシア連邦付属金融大学政治学科のゲヴォルグ・ミルザヤン助教授はこれについてスプートニクに対し、次のような見解を表している。

    「重要な役割を果たしたのは高い投票率だった。トランプ氏は自分に票を投じる有権者を投票所にうまく誘導した。彼は投票所に行く必要性を説き、勝つのは、大多数の票を集めている人ではなく、投票に行く必要性を自分の支持者に納得させた人だということを理解させ、これが功を奏した。第2は、いわゆる『シャイなトランプ支持者』の要因だ。Brexitの時と同様、英国内ではEU離脱の支持を表明するのはお行儀が悪いとされたのと全く同じ状況が生まれてしまったのだ。つまり自己の見解表明を迫られたときには英国市民は相手が期待することを口にし、EU離脱には反対するとか、まだ決めていないと答えていた。ところが投票所にいくや自分の思うところ、つまり離脱に一票を投じた。これに一種似た状況が今回のトランプ氏への投票行動でも起きた。トランプ氏に投票するなんてとんでもないことだと長い間吹き込まれたおかげで、有権者は彼を支持することを隠していたのだ。そしてこれに大きなモチベーションも加わった。抵抗のしるしとして票を入れに投票所に行くというものだ。さらにもう一つの側面はアフリカ系米国人は当初からヒラリー氏の側につく傾向だったのに、その大多数は投票所に足を運ばなかったということだ。まさにこうした個々の要因が寄せ集まってトランプ氏の勝利に導いたのだ。」

    ドイツのウルズラ・ゲルトルート・フォン・デア・ライエン国防相は米大統領選挙の予期せぬ展開を「大きなショック」と評した。ARDテレビの中継でライエン独国防相は自己の見解として、トランプ氏はこの投票は自分に投じられたものではなく、米大統領府に対する反対票、現政権の政治エリートらに対するアンチの票であることを知っているはずだと語っている。欧州議会のシュルツ議長もトランプ氏の勝利は欧米関係を複雑化させる恐れがあるとの見方を示し、「その他大勢と同じく、クリントン氏が勝利すると思っていた」ため驚いていると語った。

    トランプ氏の勝利が欧州のエリートらをこれだけ呆然と当惑させたのはなぜだろうか?

    「欧州は実際、トランプ氏の勝利を予期していなかった。しかも選挙戦でトランプ氏はNATOの欧州連合国との関係見直しを約束している。しかもこれらの国々に対し、国防により金を掛けさせると公約していた。トランプ氏はまた欧州との大西洋横断貿易投資パートナーシップ協定(TTIP)にも疑問を呈している。つまり今の今まで欧州はヒラリー・クリントン氏とこの先どう作業をすすめていけるかはわかっていたが、トランプ氏を相手にした場合はどうしたらいいかは全くわかっていない。だが正直なところ、これはロシアも現時点では理解していないのだ。だが大事なのは選ばれた人間と作業を行なうことだ。これは通常の状態だ。」

    この罪。米国エリート層が描いていたもの、社会に広く浸透していたものとは全く異なる結果になってしまったというそもそもの罪は、ミルザヤン氏はCNNテレビにあるとして、次のように語っている。

    「選挙戦の全期間を通じてCNNはトランプ氏は最悪の候補者であり、裏切り者、ファシストだと有権者に積極的に吹き込みつづけ、これによってオーディエンスの中にトランプ氏への憎悪心をはぐくんできた。だがまさにこれがゆえに全く逆の結果が得られてしまった。つまり本当のところトランプ氏に投票する構えであっても、それを投票者がそれを表明しないようにさせてしまったのだ。この犠牲になったのが社会学者だ。これは古きよき米国のイメージを貧しくし、変えてしまうことに対して中間ホワイト層が起こした一種の反乱である。ひとりひとりが自分の運命に責任を持ち、100万ドルをも稼ぎ出すことのできる米国というイメージ。どこかのおかしな国が描くような貧困にあえぐ米国という、もう米国人でさえも理解できないような新たなイメージを払いのける気持ちがマージナルからメインストリームへ戻るというこの中間ホワイト層の反乱において表されたのだ。」

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