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    社会の安全のため、それとも自由制限のため?

    ロシアと日本のテロ対策新法は社会の安全のため、それとも自由制限のため?

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    タチヤナ フロニ
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    ロシアでは、テロリストや過激主義者への市民権付与に関する決定を取り消す法案が準備されている。一方日本でも、犯罪グループへの参加を伴うテロ行為その他の重大な犯罪の準備に対し刑事罰を規定する法律が、テロとの戦いの枠内で作成された。

    スプートニク日本

    つい最近まで、日本では、テロ行為あるいはその他の重大な犯罪準備に関与した人物は、他の法律により、例えば、刃物あるいは爆発物を不法に保管した罪(凶器準備集合罪)などで罰せられてきた。しかし治安上危険な違反行為を組織的に準備したり共謀したりした事実自体だけでは、治安機関の注意の範囲外に置かれていた。日本やロシアでこのところ作成された新しい法律は、そうしたギャップを埋め、テロが準備される前に市民を守る手段なのだろうか?

    ロシアの新法の作成者の一人、ロシア議会下院・国家会議のパーヴェル・クラシェニンニコフ議員は、スプートニク記者のインタビューに応え、次のような見解を述べた-

    法案の中には、市民権剥奪に関する条項はない。法案は、テロあるいは過激な行為を行った人物に、市民権を付与する事に関する決定の取り消しに向けられたものだ。現行の法律は、外国人やロシア市民になりたいと望んでいる無国籍者への、一連の要求を定めている。そうした一例としてあげられるのは、ロシア連邦憲法および連邦法を遵守する義務だ。そのさい、申請者が偽の文書を出したり、偽の情報を伝えたりしていた場合、ロシア市民権付与の決定は、取り消されることとなる。このことは、司法手続きの中で確認されなければならない。

    法案は、市民権を取得する目的が、ロシア連邦憲法に反する活動であり、その人物がロシア連邦法を遵守する義務を果たさず、テロあるいは過激な性格を持つ罪を犯した場合、先に言及した義務に関し虚偽の情報を提出したと理解される。そうした犯罪に対する裁判所の効力ある判決が、市民権付与に関する決定取り消しのための根拠となるだろう。

    対象となる犯罪は、次の通りだ。テロ行為、テロ活動への協力、マスメディアあるいはインターネット上でのテロ行為実施に向けた大衆へのアピール、テログループの組織及び、そこへの参加、テロ活動実施を目的とした訓練の実施、さらには、テロを目的とした、シージャックやハイジャック、列車の乗っ取りなど人質を取る行為である。

    また、非合法武装グループの組織あるいは、そこへの参加、後方攪乱行為や、過激組織・過激集団の活動への財政支援も対象となる。

    それ以外に、犯罪行為が完全にテロ活動実施を伴うのであれば、国家及び社会活動家の生命侵害の企て、暴力的な権力の奪取あるいは保持、国内蜂起、国際的に保護を受けている人あるいは施設に対する攻撃といった行為も対象となる。

    さて日本の状況だが、野党や人権活動家達は、議会で採択された新法に反対してゆく考えだ。彼らは、この法律は、あまりに曖昧で具体的でなく、無実の人を有罪にしてしまう可能性があると危惧している。かつて同様の法案が3度、議会に提出されたが、余りに漠然とした言い回しが、権力当局がそれを悪用する恐れがあるとの憂慮の念から、採択に至らなかった。

    もちろん各国が直面するテロの脅威は様々だ。日本は、テロに関していえば、かなり安全な国と言える。それにもかかわらず日本もまた、テロから法的に自分自身の安全を守ることを目指している。

    一方クラシェニンニコフ下院議員は「そうした措置を講ずることの適時性と妥当性について、疑いの余地はない」と指摘し、次のように続けた-「抑圧的な法律から、恐ろしい悲劇的な結果を予想するのではなく、予防措置として、それを用い、より大きな仕事をするよう目指すことが必要だ。それゆえロシアの法案の中では、テロ及び過激な性格を持った犯罪の実施に対するだけでなく、犯罪の準備、犯罪の未遂に対しても責任を問う事が述べられている。それ以外に、市民権付与問題に、これまでより注意深く全体的に対応する事が重要だ。なぜなら、その人物を市民として受け入れた場合、国家は、その彼又は彼女に様々の権利を分け与え、その保護と庇護を保証するからである。

    米国のNSA(国家安全保障局)の元職員、エドワード・スノーデン氏は、共同通信のインタビューに応じ、その中で「法律が採択された場合、日本人は、大規模な監視の危機にさらされる」と述べ、次のように続けた-「監視が大規模監視システム『エックスキースコア(XKEYSCORE)』を用いることで非常に深刻になるだろう。このシステムは対象のメールや通話、ネット活動の履歴を、リアルタイムで監視できるからだ。」

    またスノーデン氏は「日本の今の状況は、2001年9月11日後の米国内の状況を思い起こさせる。当時、米国では、政府や警察に市民を監視する幅広い権限を与える愛国者法が採択された」と指摘した。

    これに対しクラシェニンニコフ下院議員は「スプートニク日本」記者の取材に対し、スノーデン氏の警告に関し次のような考えを示した-「個人生活への不可侵、私事への勝手な干渉の禁止といった、市民の権利は存在している。しかしその一方で、目まぐるしく変化する世界に注意を向ける事も必要不可欠だ。情報・コミュニケーション技術や科学の発展、そして日常生活でのそれらの役割の拡大を忘れてはならない。国家は、一方では、生じている変化がカオスに陥るのを許さないため、他方では、それを越えると市民の権利や自由を侵すことになってしまう一定の境界を渡らないよう、しかるべき措置を講じなければならない。個人生活への国家の介入は、例外的な場合にのみ生じなければならない。

    さて三か月間に三回もの連続テロ事件に見舞われた英国では、もともと寛容なこの国においてさえ、テロとの戦いにおける人々の態度が変わってしまった。初めてメイ首相は、自身の演説の中で「Enough is enough(もうたくさんだ)!」という言葉を使い、テロの結果を単に非難するのではなく、過激なその思想に対する具体的な戦争を初めて宣言した。つまり、問題はテロというよりむしろ、インターネットで広く拡散されているイスラム過激派のイデオロギーにこそあるということだ。しかし一連のマスメディアは、行動ではなく、イデオロギーと戦う事に反対している。 新聞The Guardian,も「『思想犯』の概念を導入し、人々を彼らの秘めた考えによって罰してはならない」と指摘している。

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    人権問題, 共謀罪, テロ, ロシア, 日本
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