15:55 2021年02月26日
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ロシアと日本の関係を巡る歴史の中で繰り返されてきた関係改善の試みは、9月初めにウラジオストクで予定されている「東方経済フォーラム」でのプーチン大統領と安倍首相の会談で分岐点を迎える。平和条約の締結と南クリル諸島(日本名北方四島)での国境線の画定を阻害している一連の問題の解決策を両首脳は見出すことができるのか、あるいは露日関係は停滞の時代に逆戻りするのか、という分岐点である。

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7月7日にドイツのハンブルクでG20サミットにあわせて行われた両国の首脳会談では、どう前向きに考えても、双方の間の意見の相違を再確認するだけにとどまったことは明らかだ。

会談の結果として公に発表されたのは、南クリル諸島での共同経済活動の問題に関する次回の外務次官級協議についてだけであった。

この協議の枠組みは主要な原則的問題の解決のために設置されたものではない。全体として、両国間の平和条約に関する具体的な交渉が行われていないことがますますはっきりしてきている。

依然残る「つまずきの石」

ロシアは、自らにとって、そして米国との軍事的均衡を維持している自らの戦略核戦力にとって、欧州と極東に配備されている米国の弾道ミサイル迎撃システムを重要な脅威と捉えている。この問題に関する米国との交渉は行われていないが、このテーマは常にロシア政府の関心の対象になっている。外国の複数の専門家が指摘するように、極東で主要な問題であり続けてきたのは、オホーツク海域に拠点を置き哨戒活動を行っている弾道ミサイル潜水艦の防衛である。移動可能な海上のイージス艦に搭載されるものも含め、近代的な弾道ミサイル迎撃システムが米国により導入されるのに従い、この問題はさらに緊急かつ複雑なものになった。ロシアが非常に懸念しているのは、そのようなシステムの一貫した近代化なのだ。

この安全保障上の要請に対処するためにロシアが採りうる手段は新たな軍備と、千島列島のマトゥア島(日本名松輪島)に建設が計画されているような新たな防衛拠点だけである。まして自らの戦略核戦力に新たな弱点を付け加えることなどロシアの大統領には原則として不可能だ。一方南クリル諸島の日本への引き渡しは、プーチン大統領が既に一度ならず公に述べているように、日米安保条約に基づき米軍基地が南クリル諸島に建設される事態につながる可能性がある。このことは極東沿岸と戦略ミサイル潜水艦の防衛態勢を弱体化させるだけだ。

Встреча первого заместителя председателя правительства РФ И. Шувалова с министром экономики, торговли и промышленности Японии Х. Сэко
© Sputnik / Григорий Сысоев
ところでロシア国防省は、公式に南クリル諸島の軍事的意義を強調している。例えば、いわゆる「極東1ヘクタール法」、つまり極東地域の土地をロシア国民の私的利用に、その後は私的所有にも提供する政府の南クリル諸島での計画の停止を認めさせている。つまり関係者以外の人間は必要ないのだ。

また、南クリル諸島を引き渡す際、島の非軍事化を日本側が保証することもできないのは明白である。つい最近尖閣諸島への安保条約の適用を確認されたことを考えれば、日本が米国とそのような協議を行うことは奇妙である。

あとはプーチン大統領も述べているように、主権の移譲を伴わない島の引き渡しという案が残っている。これにより、安保条約に関係する問題は解決できる。「先行発展領域(TOR)」と呼ばれる経済特区をクリル諸島に創設するというロシア側の政策こそが、ロシアが日本との共同経済活動を自国の法体系にのみ基づいて行う意思があることを示している。別の言い方をすれば、主権の放棄は行わないということを示しているのだ。問題は最早、歴史的正当性ではなく安全保障なのだ。

この状況では、平和条約に関する対話というものは、日本政府に「南クリル諸島(北方四島)の主権は日本に属する」との基本的政治姿勢の放棄を迫ることになる。安倍氏のような指導力のある政治家も含めて、日本のどの首相も独力でこの問題を解決することはできないだろう。このことについてプーチン氏は2000年代初めにイルクーツクで行われた当時の森喜朗首相との交渉の過程で既に確信している。従来の立場の変更に関して、日本国内で政治的合意は可能なのだろうか。理論的にはイエスだ。70年代に対中関係において日本は急激な方向転換を現に行っているからだ。ただし、当時日本は米国の完全な同意の下に行動していた。

実際には、これは実現しそうにないと考えられる。というのは安倍氏の外交活動を見れば、米国が日本にとって従来通り最も重要な同盟国であることが分かるからだ。そして露米関係は過去50年間で最悪の状態にある。プーチン・トランプ両大統領の初めての会談は成功したが、露米関係はこれまで常に、両国指導者の互いに対する好感よりもはるかに多岐にわたるものであり続けてきた。露米関係の早期の緊張緩和は見込めない。

このような状況では、ウラジオストクでロシアと日本の指導者は何のために会談するのか、という疑問が生じる。プーチン氏は自らの立場を既に示している。

安倍氏にとって駆け引きの可能性は限られている。もちろん、もう一度経済協力を議論することはできるが、その限界は両当事者によく知られていることだ。今のままでは、ロシアと日本の間の平和条約というテーマが過去70年もの長きにわたって陥っている、袋小路の状態が延長されるだけであろう。

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露日関係, 領土問題, クリル諸島
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