17:04 2018年07月17日
河野太郎氏、プーシキン美術館で

露日 平和樹立までは遠くイバラの道

Maksim Blinov
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11月23日から25日まで、3日間にわたった河野太郎外相のモスクワ訪問は注目を集めないではいられなかった。これと言って特に大きなブレイクスルーや衝撃的な声明が行われたわけではなかったものの、河野氏もラブロフ外相も交渉結果を建設的で意義があったと評価した。外相会談を総括した記者会見で河野氏はいくつかの問題では両者の立場は異なったものの、個人のレベルでは信頼関係が出来上がり、これが忌憚ない意見交換を促したと語っている。

スプートニク日本

ロシア科学アカデミー極東研究所、日本調査センターのヴァレリー・キスタノフ所長はスプートニクからのインタビューに対して、平和条約締結への道は日本の対露政策における基幹となるものであり、困難で遠いいばらの道と指摘し、次のように語っている。

「両国が関心を持つ多くの問題についての意見交換が建設的だったと読んでいいかどうかはわからない。おそらく意見交換は忌憚のないものではなかったかと思う。だが双方とも自分の立ち位置にとどまった。

北朝鮮の核ミサイルプログラムでも日本は北朝鮮に同プログラムを放棄させるには制裁による圧力しかないと考えているのに対し、ロシアは対話、交渉であるべきという立場は崩さない。日本は米MDを北朝鮮のミサイルからの自国領土の防衛が目的だと主張するが、ロシアはこれは自国にとっての脅威であり、北東アジアの軍拡競争をエスカレートさせるだけだと考えている。

経済協力に関しては、一連の将来性の高いプロジェクトがあるにもかかわらず、まだまだ最良と這い難い。クリル諸島の一連のプロジェクトの実現を合意しようにも、これらのプロジェクトをいかなる法基盤で実現しうるのかという問題に躓いてしまう。双方はまだ妥協には至っていない。たとえ双方が飲めるパターンが見つかったとしても、それは二国間経済関係に弾みをつけ、平和条約締結に影響するプロジェクトではない。そしてこういう話は政治の中だけではない。人口の少ない、到達しにくい島々での事業は困難さは多く、実入りは少ない。

このため平和条約に至る道は遠く、苦しいイバラの道だ。とはいえ、露日の間には一切の矛盾も複雑さも存在しない空間があるのも確かだ。それは文化だ。双方の国とも互いの文化の様々な様相に対する図りきれないほど大きな関心がある。だからこそ、何年にもわたって『文化フェスティバル』を開催し続けてきているのだ。」

ロシアのテレビ局はほぼ全局が河野氏がロシア文化の活動家と会う様子やプーシキン美術館訪問の模様を放映したが、これは単に偶然のことではない。それは来年2018年は露日両国が相互に日本文化年、ロシア文化年を開催することが宣言されているからだ。その枠内ですでに4月にはプーシキン美術館が17世紀から19世紀の風景画60点あまりを連れて、日本での展覧会を催す。その返礼に日本は9月にモスクワで江戸時代の芸術を紹介する展覧会を催すことになっている。この相互交流年の枠内では300を超すイベントの開催が予定されている。ロシアにおける日本年の開幕は5月26日、ボリショイ劇場で行われる予定で、同日、北の都サンクトペテルブルクでは第22回国際経済フォーラムが開幕。ここにプーチン大統領は安倍首相を招待している。

その安倍氏のロシア訪問に先立って、実に多くの高官の訪問が予定されている。さっそく来月12月18日、ウラジオストクで「日本人投資家デー」の開催が決定した。これには世耕経済産業相兼ロシア経済分野協力担当大臣が招待されている。12月にはさらにゲラシーモフ露連邦軍参謀総長と露陸軍サリュコフ最高指揮官の訪日、露日、日露経済協力委員会、クリル諸島プロジェクトの実現作業部会の会議がある。年明けの1月ないし2月には外務次官級会談が予定されている。これは安倍首相の訪露の前には両国の外相会談が行われる。河野氏はモスクワを発つ前にプーチン、安倍政権で必ずや平和条約締結を実現させる意欲に満ちていると発言した。河野氏はさらに、この目的達成には多くの時間を割き、必要とあらば何度もロシアを訪れると覚悟を表している。

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露日関係, 領土問題, 日本, ロシア
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