23:35 2019年08月24日
自衛隊

日本の新防衛大綱 安全保障か憂慮すべき兆候か

© AFP 2019 / Peter Parks
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タチヤナ フロニ
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向こう10年ほどを見越した防衛力の整備指針である「防衛計画の大綱」を昨年12月18日、日本が閣議決定した。宇宙やサイバー空間を担当する部隊の新設・増強や、人工知能(AI)の活用や無人化を推し進める方針が打ち出された。19〜23年度の今後5年間の中期防衛力整備計画(中期防)の予算は過去最大の約27兆4700億円となる。大綱にはまた、米国が中国やロシアとの戦略的競争を重要な課題と見ているとある。その上でロシアが極東においても軍事活動を活発化しているとして、注視する必要性を指摘した。スプートニクは、日本のこうした立場がロシアとの平和条約締結交渉に影響しないか専門家に話を伺った。得られた回答は2つの正反対の見解となった。

スプートニク日本

ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所の日本部門のヴィタリー・シュヴィドコ部長は、防衛大綱は平和条約締結交渉に影響しないと答えた。

「これらの間に直接的な関係は全くない。防衛関係費の上昇は、ハイテク部隊を含む本格的な軍事力を求める日本の望みに関係している(タブーは核兵器だけだ)。日本の現政権にとって、これは何より国の威信と安全保障の問題だ。日本の政治階級の大半は現在、経済力に相当する水準に防衛力を高める路線を支持している。日本のエスタブリッシュメント層は、1947年からの20世紀、正常な軍を持てない理由である『侵略国家』という戦後のらく印からの脱却に、日本が疾うに値していると考えている」

また河野太郎外相は昨年12月、同月11日の記者会見で平和条約締結交渉に関する質問に「次の質問をどうぞ」と連発したことを謝罪した。ブログで謝罪した河野氏はその上で、露日交渉について説明責任を果たしていないという批判に対し、不要な影響を引き起こさないためだと方針を説明した。

お詫びして、しっかりと反省すべきところと、若干の説明をさせていただきたいところがあります。
ご批判は二つあります。
一つは質問への答え方が悪い、あるいは質問を無視しているというご批判、もう一つは説明責任を果たしていないというご批判です。
まず最初のご批判については、お詫びして、しっかりと改めます。政府の立場に変わりはないということまでは、これまでも申し上げてきていますが、もし、交渉の責任者である私がそれ以上何か言えば、必ず、ロシア側でメディアがその発言を取り上げ、それについてのコメントをロシアの政治家に求めるでしょう。それがロシアの世論に影響を与えれば、交渉にも影響が及びます。だから、日本側の主張は交渉の場で申し上げ、それ以外の場では発言を差し控えようというのが、現在の政府の方針です。

シュヴィドコ氏はこの投稿に対し、露日双方が全力で情報流出を防ごうとしているとコメントした。

「日本の外相の反応からすると、この問題の交渉は続いている。近い将来に露日政府がお互いに譲歩し交換する一括協定が達成される可能性も除外されない。そして、最終的に一括協定で合意するまで、プレスへの漏えいは一切あり得ないことは分かりきったことだ」

だが今週、日本政府は南クリル諸島(北方領土)に関して予期せぬ発言を複数行った。その結果、ロシア外務省は上月豊久駐ロシア大使を呼び出した。ロシア側が反発したのは、安倍首相が南クリル諸島民について「日本に帰属が変わることについて納得していただくことも必要だ」と述べた発言だ。また、「諸島の戦後占領」に対して日本と元島民に対して「ロシアから賠償を求めない」案にも言及があった。上月大使には、こうした発言は露日首脳の合意の本質を大きく歪めるものだと指摘された。

軍事専門家でCIS(独立国家共同体)諸国研究所のウラジーミル・エフセーエフ副所長は、日本の防衛関係費が増大傾向にあることも現在、平和条約締結交渉を難しくしていると確信する。

「日本政府は外政で数十年間、米国の水路に従っていた。その米国は今、中距離核戦力(INF)全廃条約を一方的に破棄しようとしている。この条件下では、日本国内への中距離弾道ミサイル配備は十分現実的だ(地上配備型のイージスアショア2基は2023年までに国内に配備される予定)。それらは第一に中国に向けられるだろうが、ロシアの軍事施設も標的になり得る。ロシアは軍事技術的措置でこの脅威に対応を迫られるだろう。そうした措置には、南クリル諸島での軍事力の増強がある。こうして、日本は自国の安全保障を悪化させる一方だ。なぜなら日本の過去最高となる防衛関係費の予算と米国との戦略的同盟は地域での軍事競争と、ロシアと中国という2国の核大国との競争を暗に意味するからだ」

日本のこの外政戦略は実質的に、日本政府による対露政策の放棄を物語っている。その理由は、安倍首相とプーチン大統領の間で取り交わされた多くの平和条約締結・領土問題解決交渉の進展を最小限に抑えかねないからだと、エフセーエフ氏は述べた。

宇宙空間での防衛部隊設置も日本の国益に寄与しないとエフセーエフ氏は付け加える。これは何より、ミサイル発射を検知するため宇宙に兵器を配備したい米国にとって得な措置だ。2019年度の米国の国防予算によると、この目標のため7160億ドルが拠出される方針だ。

「米国のこの野望は対衛星システム創設へと露中の背中を押す。そして日本が宇宙の平和利用問題を懸念しているなら、宇宙配備型の攻撃システム展開準備に向けた米国の行動抑制政策を日本が発起することもできる。米国政府のこの措置が世界の安全保障問題において最も危険な不安定要素の1つだからだ」

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軍事, 自衛隊, 日本
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