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NHKが伝えたところによると、AIのアルゴリズムは、原発の設備や配管の圧力、温度、振動数など、3500点のデータに基づくものになるという。
何らかの異常を検知した場合には、システムが自動的にそれを通知する。計画では、過去に全国の原子力発電所で発生した事象のデータを分析した上で、AIが起こり得る故障を予測し、最適な対応方法を運転員に提案することができるようになる。しかし、モスクワ技術物理大学インテレクチャル・サイバーシステム研究所のワレンチン・クリモフ氏によると、AIに技術的な優位性はあるものの、AIが人間の代わりになることはできないという。「すでにAIは原発の非常事態のシミュレーションや分析に用いられています。ニューラルネットワークは人間よりもずっと速いスピードで、監視システムのセンサーから得られた大量のデータを分析し、データベースに入っている標準データと比較し、問題の有無を判断することができるほか、非常事態発生の確率を通知することもできます。しかし、最終的な決定を行うのは人間です。このような形での知能アシスタントはすでに医療分野で実用化しています。AIは検査データと臓器画像に基づいて一定の種のがんをうまく認識し、多くの場合、正しいアドバイスを医師に与えています。しかし、それ以降の決定を行うのは医師です。」
原発の監視にAIを導入することは有益かつ重要で、将来性のあることだ。このような開発は各国で行われているが、その導入は各国のルールで規制されていると各国の原子力ニュースを扱うポータルサイト「アトムインフォ」の編集長アレクサンドル・ウワロフ氏がスプートニクのインタビューに対して語った。
彼は言う。「原子力産業には、新しい技術の導入に先立ち、厳しい手続きがあります。技術を導入するには、規制機関の許可を得なければなりません。日本ではそれが原子力安全・保安院にあたります。今のところまだ、原子力分野でロボットが人間の代わりをつとめることを認める法規はどこの国にもありません。また、完全な意味でのAIはまだ完成していないこともあります。なぜなら、能力から見ても、数百万のニューロンからなるネットワークやプロセッサの構造から見ても、人間の脳に匹敵するような機械は未だに完成していないからです。このような人工知能はまだこれからの課題です。そして、原子力はこの分野の開発の最先端にいます。なぜなら、原子力分野に蓄積された科学的知見は膨大だからです。原発事故の原因としての人的ファクターはかなり大きなものがあり、そのため、チェルノブイリと福島での事故の後、こうしたシステムの開発に大きな力が注がれています。しかし、いずれにしても、まだ機械に意志決定を任せられない要因がもうひとつあります。それは責任です。人間には責任を負わせることができますが、機械に負わせることはできません。」一方で、ポータルサイトScience Alertが伝えたところによると、東京大学がAIを使って、原発事故が発生した場合の通報・緊急避難システムを開発したという。ニューラルネットワークが気象条件や天候条件、原子力事故の性格、放射性降下物の量などのデータを勘案する。しかし、このシステムで最も重要なのは、臨界状態に達する33時間前に事故の可能性を警告し、避難場所として最も安全な場所を提案することができる点にある。
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