09:42 2020年11月25日
政治
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在日米軍司令部は、日本の管轄下にあり日本と中国の領土問題となっている尖閣諸島に、防衛を目的とした部隊を配備する可能性があるとの考えを明らかにした。「スプートニク」は、こうした米軍の意向が、日中の領土問題、ひいては地域情勢にどのような影響を与えるのかについて、専門家に話を聞いた。

世界経済国際関係研究所、日本経済政治セクターを率いるヴィターリー・シュヴィコ氏は、今回の米国のイニシアチブは日本側の要請に基づいたものだと指摘する。「日本のメディアの情報を見る限り、日本は、尖閣諸島をめぐる中国のどのような行動が日本に対する攻撃とみなされるのかについて、より明確な米国の立場を示してほしいとの要望を繰り返し、表明していました。とはいえ、日本が米国に対し、日中間の領土問題に関してより決定的な義務を負うことを直接、依頼したというわけではありません。しかし日本のメディアは、尖閣諸島問題をめぐる米国の立場が十分日本寄りとは言えないということをかなり頻繁に示唆してきました」。

一方、軍事アナリストで防空部隊博物館館長のユーリー・クヌトフ氏は、米国はアジアに自国の同盟国を集結させることで、強力な「反中国網」を創設するための活動を活発化しているとの見方を示している。「米国は、日本の領土に中距離ミサイルを配備する問題について、日本と協議を行なっています。英国は2021年に南シナ海に派遣するために、空母「クイーン・エリザベス」号を中心とする最新鋭空母打撃群を結成しました。「クイーン・エリザベス」は、垂直離着陸と短距離離着陸で運用され、核兵器を搭載できる第5世代戦闘機F–35を12機から24機を運搬することができるものです。また空母打撃群に含まれるその他の艦船も、異なるタイプのミサイルを搭載しています。この艦隊は、沖縄の米軍基地に派遣されているものです」。

加えてユーリー・クヌトフ氏は、米国は豪州に2つ目の軍事基地(1つめは北部ダーウィンに設置されている)を新設しようとしている点を指摘する。米国は、沖縄とダーウィンの2つ基地を、中国に対処するための主要拠点にしたい考えだ。

ロイター通信によれば、ダーウィンにおける米軍施設の増強は、2015年に中国企業「ランドブリッジ・グループ」に99年間にわたって貸与するとしたリース契約が結ばれたダーウィン港の近くで行われる。この中国企業に対する長期リース権の付与は米国を苛立たせるものとなっている。


軍事衝突の可能性はあるのか?

現時点では米中ともに過激な発言をし、軍事力を見せつけてはいるものの、危機的な境界線を超えてはいない。しかし、クヌトフ氏は、米国で極超音速機が製造されれば、南シナ海周辺で米国と中国の軍事紛争が発生する可能性は高まるだろうと見ている。「核兵器を使用するような世界規模の戦争ではないものの、かなり大規模な紛争が起こる可能性はあります。在日米軍を含む米国の軍事力増強は中国だけでなく、ロシアにとっても潜在的に危険な状況を生み出すことになります。日本では最近、海上自衛隊の最新鋭潜水艦「たいげい」が進水しました。この潜水艦は、次世代の推進方法が採用されていて、20日間も潜水することができるものです。そこで現在、ロシア海軍も、極東に配備している無音潜水艦を2隻から6隻に増やし、この地域での軍事力を増強しようとしています。それは、生まれつつある脅威を、クリル諸島をめぐる日本との領土問題にも使われかねないものとして非常に憂慮しているからです」。

これに対し、政治学者で雑誌「国際政治の中のロシア」の編集長であるフョードル・ルキヤノフ氏は、日本と中国の領土問題と、ロシアと日本の領土問題を、軍事的な視点で比較するのは正しいとは言えないと指摘する。

「係争地であるクリル諸島はロシアの管轄下にあるものですが、中国が領有権を主張している尖閣諸島は日本の管轄下に置かれているものです。尖閣諸島をめぐる紛争において、米国は日米安保条約に基づいて、日本の領土を守るという立場を改めて確認しているにすぎません。また現在、米国はあらゆる分野で、反中国政策をとっていることから、中国との間で紛争において、米国にとっての近しい同盟国を守る用意があると強調しているのです」。


中国はどのような対抗手段をとるのか?

こうした中、中国も同盟国に支援を要請する可能性は十分に考えられる。世界各国のメディアが、中国とロシアが軍事協力を行う可能性について書き立てているのには理由がある。もしロシアと中国が同盟を組めば、その規模は米軍を上回り、ほぼ2倍にも相当するのである。

軍事専門家のユーリー・クヌトフ氏は、尖閣諸島をめぐる問題において、米国が軍事的な支援を行うと正式に発表されれば、中国とロシアの軍事協力を強化させるトリガーになる可能性は除外できないと指摘する。「米国は、中国とロシアの軍事同盟の創設を阻止するためにさまざまな努力をする一方で、同盟が成立するためあらゆることを行っています。米国はアジアに短距離・中距離ミサイルを配備すると公言し、地域における軍拡競争を扇動しています。そのミサイルの飛距離はロシアの極東をも網羅しているのです」。

またクヌトフ氏は、米国が尖閣諸島をめぐる領土問題に介入しようとしていることは、潜在的に世界的な紛争を引き起こす危険を生み出すものだとして、これは米国の近視眼的政策だと指摘している。

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