04:10 2021年06月19日
政治
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5月27日、日本の菅義偉首相はEU(欧州連合)首脳とオンライン形式による会談を実施した。会談を総括し、首脳らは台湾海峡の平和と安定の重要性を盛り込んだ共同宣言を採択し、中国と台湾の間の問題を平和的に解決するよう呼びかけた。中国はすぐにこれに反発し、欧州連合代表部の報道官は共同宣言の内容は両国の平和と信頼を損なうものだと述べた。

菅首相とシャルル・ミシェルEU大統領、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長との会談では、香港情勢、新疆ウイグル自治区における人権問題に対する深い懸念が表され、南シナ海および東シナ海における力による一方的な現状変更の試みは断じて受け入れられるものではないとの立場が確認された。こうした問題を盛り込んだ宣言が採択された背景にあるのは、この海域で中国が海洋活動を活発化させているという現状である。2021年2月、中国は海警局に、中国が自国領土とみなす地域を他国の侵略から守るために武器を使用することを認めた海警法を施行した。

今回、日本とEUが表した共同宣言の内容は、4月16日に実施された日米首脳会談で採択された共同声明に盛り込まれた台湾海峡の平和と安定の重要性に関する文言をほぼ踏襲するものである。ちなみに日米首脳会談直前の4月13日、25機の中国軍の戦闘機が、台湾の防空識別圏に侵入した。これを受けて、台湾国防部は自軍機を緊急発進させ、地対空ミサイルシステムによる監視・追跡を行った。中国による戦闘機の侵入案件について、台湾はこれを攻撃の脅威であるとの見方を示している。

一方、今春、英国海軍は、最新鋭空母クイーン・エリザベスをインド・太平洋地域に派遣すると発表。ドイツ国防省も今夏、同海域に艦船を長期派遣する計画を明らかにしている。また5月半ばに日本、米国、仏国は合同訓練を実施したが、仏国がこのような演習に参加するのは今回が初めてとなっている。欧米諸国がインド・太平洋地域に艦艇を派遣したり、こうした合同訓練を実施することは、東アジアと欧州をつなぐ重要な交通路において、中国の高圧的な海洋進出を抑制しようという欧米の意思を如実に示すものである。

こうした欧米諸国の結束に中国は猛反発している。新華社通信の報道によれば、中国の欧州連合代表報道官は、日本とEUの共同宣言に不満を表し、「台湾、香港、その他の国境線に関わる諸問題は中国の内政である。東シナ海と南シナ海は、中国の領土主権、海洋権益に関わる地域であり、中国の基本的利益に関する問題に議題の余地はない」との見方を示した。

今回の台湾に関する共同宣言が、日中関係に否定的な影響を及ぼす可能性はあるのだろうか?ロシア国立研究大学高等経済学院、世界経済・世界政治学部のイリーナ・ゴルデーエワ助教授は、その可能性は低いと指摘する。

「この共同宣言によって、何かが引き起こされるとは思いません。中国とEUの関係が悪化する可能性はありますが、それはこの共同宣言によるものではなく、中国に対する圧力をますます強める米国の路線にEUが追従していることによるものです。中国の最大の貿易相手国である日本は、関係を悪化させる必要はありません。もし米国が台湾に武器を輸出し、公式訪問をしたとしても、日本はけして慎重さを失わないことです。原則的に、今回の共同宣言も欧米諸国の行動も、何ら義務を負わずに、情勢の悪化を防ぐことを目的としたものです。台湾が実質的に独立を維持している台湾海峡の現状は、台湾自身を含めたすべての国が納得しているものであり、それに納得できないのは中国だけなのです。しかし、中国が台湾に対して軍事力を行使すれば、世界的な世論を前に、自国の権威を大きく失墜することになるため、中国はこのことを考慮に入れる必要があるのです」。

現時点で、台湾問題の解決、また中国が主権を主張する南シナ海における係争問題の解決の展望は見えない。そこで、日本、EU諸国、米国は、中国との協力における実際的な利益と、台湾問題をめぐる中国の断固たる主張との間でうまくバランスを取る必要があるのである。

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