22:47 2020年06月05日
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日本政府は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、経済対策のために約1兆ドル(108兆円)を拠出する方針。この約1兆ドルという規模は、経済対策という目的にとってどれほどの意味があるのか、どのような要因が景気後退を進めるのか、あるいは逆に、日本が最小限の損失で危機から抜け出す助けとなるのかについて、「スプートニク」はロシアの専門家に尋ねた。

雑誌『エクスペルト』の金融アナリスト、アンナ・コロリョワ氏は、日本政府が発表した経済対策の規模について、十分に説得力はあるが、新型コロナウイルスの世界的大流行の前に日本で実際に起こった状況を考慮する必要があると指摘し、次のように語っている。

「資金注入は以前にも行われたが、経済を景気後退から抜け出させることはできなかった。そのため、今回の対策でできるのは、深刻なピークに入るのを避け、状況を安定させることだけだ。日本の国内総生産(GDP)が20%下落して崩壊するおそれがあるという複数の推測があるが、私はこの数字は水増しされていると思っている。より現実的な数字は10%。それは、国の支援が実施されるほか、経済は発展しており、その経済は、そのような崩壊を防ぐために十分なリソースを危機的状況の中でも持っているからだ。」

ご存じの通り、日本政府は、債務をさらに増加させる国債を発行する方針だが、その保有者は日本国民だ。事実上、これは国の財政の安全を保障しており、このことに多くのアナリストたちが常に注意を向けている。「Instant Invest」社の金融市場・マクロ経済分析の責任者アレクサンドル・ティモフェエフ氏は、経済対策に関する日本政府の行動の予防的性格と決断力は、実際のところ非常に時宜を得ていると強調する。一方、この対策が上手くいくかどうかは、新型コロナウイルスをいかに早く過去の出来事とすることができるかにかかっているとし、次のように語っている。

「現時点で財務当局は、国民と被害を受けた分野にのみ直接現金を支給することができる。高齢化の進展がこれまでも日本経済の重しとなってきたが、今回もこれが新型コロナウイルス危機からの経済の脱却を困難にすると予想される。さらに五輪の中止も懸念事項の1つだ。スポーツ施設やインフラ建設のために行われた投資は、回収までにかなり多くの時間を要するからだ」。

なお同じ頃、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、新型コロナウイルスのパンデミックを受け、欧州連合(EU)には新たな「マーシャルプラン」が必要だと述べた。マーシャルプランとは、1948年に当時の米国務長官ジョージ・マーシャル氏によって提唱された、数十億ドル規模の欧州諸国への復興支援計画。

同じような計画が、日本やアジア太平洋地域全体のためにも検討される可能性はあるのだろうか?

ティモフェエフ氏によれば、今、米国や欧州は自国の経済問題で手いっぱいであることから、日本政府は自らの力と資金でのみ、現在の経済危機を切り抜けなければならないとし、次のように語っている。

「米国とEUは、まずはじめに、自国の生産者への支援を行うことになる。さらに、新型コロナウイルスによって悪化した状況を利用して、日本の自動車や電気機器メーカーを欧州と米国の市場から最大限追い出そうとする可能性がある。日本の産業はすでに競争にあえいでいたが、貿易障壁の導入によりいっそうの損失を被ることとなる。また、日本は米国にとって重要な市場ではなく、逆に、今は真の競争相手(しかし最大ではない)だ。そのため、日本のために新たなマーシャルプランが用意される可能性は低い」。

日本政府は、おそらく、そのことをよく理解している。なぜなら、危機脱却のための独自の対策の規模は、2008年の金融危機の時と同様に、先例のないものとなっているからだ。

この記事に示された見解はスプートニク編集部のものとは必ずしも一致していません。

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