18:35 2020年10月22日
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先日、米国のドナルド・トランプ大統領は、WHO(世界保健機関)は中国から独立し、30日以内に米国の求める改革を実施しなければならないと発言した。トランプ大統領は実質上WHOに最後通告を突きつけ、米国の脱退も辞さない構えを見せた。この揺さぶりはどれほど理にかなっているのか、スプートニク通信が専門家に話を聞いた。

トランプ米大統領は5月19日、テドロスWHO事務局長に宛てた書簡を自身のツイッター上に公開した。トランプ大統領によると、WHOは2019年12月初旬、中国・武漢市における新型ウイルス蔓延について信頼できる報告を無視し、中国の公式見解とは異なるデータが登場した後も、独立機関による調査を行わなかったという。一方、WHOはこの非難を否定し、国連のグテーレス事務総長はパンデミックという困難な時に米国がWHO向けの資金を打ち切ることを批判した。

アメリカ外交政策専門家で、ロシア国立研究大学高等経済学院世界経済・世界政治学部欧州・国際総合研究センターのドミートリィ・ススロフ副所長は、トランプ大統領はWHOに何の根拠もなく不当に責任を転嫁しているとの考えを示した。「WHOの行動原則は自身の使命にのみ基づいている。国際機関であり、中国も含め主権国家が従うべき超国家組織ではない。WHOは、どこかの政府が提出した情報を疑問視し、再確認するためのスパイ活動を行うことはできない。その意味で、米国の行動というのは、現政権、つまりトランプ政権が自国における新型コロナ感染拡大の悲劇の責任を他社に転嫁しようとしている、と説明できるだろう。さらに、トランプ氏は次の大統領選挙のキャンペーンにすでにカードを広げており、この方向性で最後まで押し通す気だろう。」

ススロフ副所長は、2020年初頭のトランプ氏の選挙運動の切り札は、米国の経済状況がかなり安定していたことだったと指摘する。成長率は持続的に高く、失業率も低かった。しかし新型コロナ感染拡大でこの優位性は文字通り砂に埋もれてしまった、という。「感染拡大初期のトランプ氏の対応はお粗末で、不格好とさえ言える立ち回りを見せた。そのため、いま彼にできることは、罪を他者になすりつける以外にないだろう。ここでは、その相手は中国とWHOになる。トランプ氏は蔓延初期にそれを隠した中国が悪い、明るみに出すタイミングが遅れたWHOが悪い、と自信を持っている。しかし何といっても、これら非難の主なファクターは、トランプ氏が基本的に国際機関に敵意を持っていることだろう。これまで振り返っても、トランプ政権はユネスコ脱退を表明したり、すでに国際計画として調整済みだったイラン核合意を離脱したり、INF(中距離核戦力)廃棄条約を脱退した。こういった背景は、WHOのような国際機関においても非友好的と取られるのに十分すぎるだろう。その延長で、WHOに対しても、新型コロナ感染拡大時にワシントンがとる立場としては避けられないものになったように思われる。」

ロシア金融大学政治学部のゲオルグ・ミルゾヤン助教授は、米国がWHOへの資金拠出を停止し、同機関に罰を与えようとすれば、国際機関全般において米国に代わり中国が支配的ポジションを占めることになると考えている。「トランプ大統領のWHOへの攻撃はワシントンにとって副作用を生むかもしれない。WHOはどうあろうと、世界の新型コロナ対策を調整する主力には変わらない。WHOが間違いを犯した可能性もあるが、その究明や決着、また米国のように資金停止という形で罰を与えるのはパンデミック真っ最中の今ではなく、時間が経ってから行うべきだろう。一方で中国はパンデミック対策として巨額の資金を出して、多くの国を支援している。米国の同盟国はこれを見て、独自の判断を下すだろう。その判断が米国寄りになることはないと思う。」

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WHO, 新型コロナウイルス, ドナルド・トランプ
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