13:21 2021年09月18日
東京2020オリンピック
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東京五輪の終盤、新体操競技でのロシア選手に対する採点をめぐるスキャンダルというなんともすっきりしない騒動が起きた。この問題が世界で大きな反響を呼んでいることは、専門家らのコメントや外国のファンたちの声などからもうかがい知ることができる。日本のインターネットユーザーたちも、ディーナ・アヴェリナ選手が金メダルを逃したのは公正とはいえないとして、熱い議論を繰り広げている。

「スプートニク」は、今回の騒動の原因について考えることにした。世界の人々は、新体操で常にロシア人が頂点に立ち続け、オリンピックでも実に25年にわたってロシアが勝利し続けていることに「うんざりした」という見方がある。ほかでもないこの状況が、双子の姉妹であるアリーナ・アヴェリナとディーナ・アヴェリナに対する採点を厳しくさせた理由である。

フィギュアスケート界の専門家らも、この意見に同調する。彼らは、新体操における今回のような状況が、北京で開かれる冬季五輪のフィギュアスケート女子シングルの採点において繰り返される可能性があることを示す前兆だと指摘している。フィギュアスケートの女子シングルは、現在、ロシア人選手が上位を独占している状態にあり、これを快く思わない人々が大勢いるからである。

フィギュアスケートのコーチ、インナ・ゴンチャレンコ氏は、「スプートニク」の取材に応じ、次のように述べている。「採点に必要な時間は通常、規定されています。ですから、ディーナ・アヴェリナ選手が完璧な演技を行った後、採点にあまりにも長い時間が費やされ、『イライラさせる』状況を作ったということは、審判団がイスラエル人選手が勝利できるよう、アヴェリナ選手の得点を少し下げるために細かい計算がなされたのではという印象を持たせるものでした。そしてこの懸念は現実のものとなりました。というのも、リノイ・アシュラム選手はリボンを落下するという大きなミスをおかしたのです。アシュラム選手の演技は中断され、リボンを拾い上げる間に作品全体のイメージから逸脱し、その間の要素が省かれてしまいました。こうしたミスでは普通、1点以上の減点となることは周知の事実であり、それによってディーナは上位に躍り出るはずでした。しかしそうならなかったことで、多くの人がショックを受けました」。

ロシアオリンピック委員会のスタニスラフ・ポズニャコフ委員長は、インスタグラムへの投稿の中で、ロシアオリンピック委員会はすでに国際体操連盟(FIG)の会長に対し、東京五輪における新体操の採点に関して、問い合わせを行ったことを明らかにした。

ポズニャコフ会長は、「一連の問題に対する説明を得たいと考えています。閉会したオリンピック大会の採点に関する特別技術委員会で状況を詳細に精査してもらうつもりです。採点およびその結果発表の過程を透明なものにするため、できる限りのことを行うつもりです」と述べている。

一方、スポーツ心理学者のオリガ・チウノワ氏は、不正な採点に対して訴えを起こすことは、選手にとって有害でしかないとの考えを明らかにしている。

「アスリートたちは、大会の審判たちによる複雑な『裏の』状況解明というものからは完全に離されるべきです。採点結果に対して、それが反ロシア的な性質のものであるとか、何らかの『国際的な陰謀』であると説明されても、選手は強くはなれません。逆に審判を批判するという戦法は、アスリートに自分が優位であるという危険な感情を抱かせる可能性があります。それは自分には個人的な過ちがない、あるはずがないという気持ちです。そうなってしまうと、今度はアスリートは審判が自分に対してバイアスをかけてくれると思い込むようになり、成長のためのモチベーションを失ってしまうのです」。

また、イスラエルチームのコーチは、2018年にディーナ・アヴェリナ選手も同じように手具を落下しながら、リノイ・アシュラム選手を退け、世界チャンピオンの座に就いたことに言及している。しかしそのときには審判に対し、何の疑問も持ち上がらなかった。

これに関連して、オリガ・チウノワ氏は次のように語っている。 「コーチ陣はこの係争に落ち着いて対応しなければなりません。なぜなら、『世界はロシアチームの勝利にうんざりしている。だから最悪の事態に備えよ』という警告をアスリートたちに発することは、選手、そしてチーム全体に精神的に必要のないストレスを与え、絶望感や無力感を助長することになるからです」。

新体操の競技会の審判団は3つのカテゴリーに分かれて採点を行う。Dスコアで技の難度を評価し、Eスコアで技の完成度を評価する(2人が芸術性を評価し、6人が技術を評価する)。その他の審判は、ラインや時間をチェックするという役割を担っており、総合点にはほぼ関与しない。

つまり、ロシアが提起した問題について回答を求めることになるのは、Dスコアの審判たちである。ディーナとアリーナには難易度に低い得点がついた。一方のアシュラム選手はここで逆に高い得点を出し、それが金メダルにつながった。ウクライナの国際審判であるリディヤ・ヴィノグラドワ氏(かつて世界選手権の審判を務めた)は、アシュラム選手は難易度でアヴェリナ選手を大きく上回っていたと指摘する。このレベルには、アヴェリナ姉妹がまったくミスのない演技をしたとしても、追いつけないほどの差があるとヴィノグラドワ氏は言う。

しかしいずれにせよ、問題が生じているのは、金メダルのアシュラム選手(107.800)と銀メダルのディーナ・アヴェリナ選手(107.650)の得点差がきわめて僅差であったからだとオリガ・チウノワ氏は付け加えている。

「新体操というのは非常に美しい、美的感覚が重視されるスポーツです。ですから専門家の評価は正式なものではあるとはいえ、主観的なものになってしまうのです。観客の共感が、現在の審判らの基準とはまったく異なるというのはよくあることです」。

一方、国際オリンピック委員会の名誉委員であるヴィタリー・スミルノフ氏は、こうした問題は多くのオリンピック大会ではよくあることであり、ソルトレイクシティ五輪のフィギュスケートペアでは、2つのペアが同時に金メダルを獲得したという事例があったと指摘する。

「エレーナ・べレジナヤ/アントン・シハルリゼ組と並んで、カナダのジェミー・サレー/デヴィッド・ペルティエ組にも金メダルが授与されました。どちらのペアも2002年度のオリンピック大会で金メダル候補と目されていましたが、どちらも同じくらい素晴らしい演技をしました。そして、ロシアペアの勝利を決定付けたのはたった1票だったのです。カナダスケート連盟はこの結果に不服を申し立て、協議が行われた結果、両方のペアに金メダルが授与されることになったのです。東京五輪の新体操の一件でも、審判団はアヴェリナ選手にも金メダルを与えることを検討してもよかったのではないでしょうか。わたしはこれがもっとも誠実で公正なやり方だと思います」。

今回の東京五輪では、オリンピック史上初めて、陸上男子走り高跳びで、イタリアのジャンマルコ・タンベリ選手とカタールのムタズエサ・バルシム選手が同時に金メダルを獲得した。2人は同じ回数を跳び、同じ結果を出したのである。とはいえ、オリンピックに出場する選手は皆、大会で最高の結果を出し、自分がこれまで人生をかけてきた競技において、たった1人のチャンピオンになることを目指すものなのである。

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