国連の命令は米国には効力なし

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国連本部 - Sputnik 日本
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米国は自国の国益に合わせた国際秩序の見直しを執拗に進めている。

国連憲章は米国には守るべき規則ではない。卑近な例を出せば、「イスラム国」の陣地の空爆を決定したのもそうだ。もちろんこれを行なったのは米国だけでなく、多国籍軍ではあるが、そこで主たる役割を演じたのがどの国であるかは、説明する必要はないだろう。
こうした行為が国際秩序の今有る体系および紛争解決から著しくはみ出たものであるという事実には、米国は微動だにしない。ロシアのヤニス・ユクシャ法学教授はこれについて、現在の米国政治には国連を含めた権威有る制度を軽蔑する特性が見られるとして、次のように語っている。

「 今日米国およびその衛星国に許されている行為の大半が国連の決定の枠組みには収まらない。我々は、こうした行為のあと、ベトナム、アフガニスタンでの悲惨極まりない戦争が米国によってどんな締めくくりを迎えたかを目にしている。イラクは破壊され、リビアはバラバラにされた。シリアでの米国の行為もそうだ。」
米国の国連を迂回したいという欲求は極単純なものだ。ユクシャ教授は、自国の政策を阻害する国連安保理のメンバーの拒否権について、さらに次のように続けている。

「我々は今日、他国の側からの違法行為を停止させる唯一の可能性を有している。それは拒否権の発動であり、これをロシアも有している。だが実際は、拒否権が用いられ、国連も最終的には決定を採らなかった場合においても、西側諸国はなんの決定もなしに行動しているのが現状だ。」

だがこうした一方で、米国の行為に対する不満は世界中で高まっている。ロシア人政治学者のエヴゲーニー・ヴォイコ氏は、現在の体系がすでに機能していないことは明白であり、変換を求める声は高まっているとして、次のように語っている。

「国連にはずいぶん前から多くの疑問が投げかけられている。疑問が呈されるきっかけとなったのは、99年の、当時のユーゴスラビア紛争だった。ユーゴスラビア以降、国連は世界の多くの紛争に対し、極めて受動的な姿勢を表してきている。一方で、今現在、国連に複合的かつ完全に取って代わることのできる制度はなく、近い将来にも現れることはない。」
この状況で国連は紛争当事国に対し、法的出発点にたって妥協と合意を呼びかけるためのあらゆる基盤を持つ唯一の組織となっている。

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