ソロモン諸島の戦い

© Flickr / Jenny Scottソロモン諸島
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2022年3月末、ソロモン諸島は突如として国際政治の注目の的となった。3月22日、中国との安全保障協定の草案がSNSで公開されたのだ。この草案では、ソロモン諸島政府は中国に軍事支援を求めることができ、中国は同諸島で自国民と投資プロジェクトを保護する権利を与えられていた。
3月28日、ソロモン諸島のマナセ・ソガバレ首相は、交渉はたしかに行われており、条約は調整済みで、調印の準備が整っていることを認めた。
オーストラリアはこの知らせに非常に厳しく反応した。オーストラリアのスコット・モリソン首相は、この地域に中国軍が駐留する可能性はオーストラリアの安全保障に対する脅威であると発言した。
ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、これを地域の軍事化と見なした。オーストラリアのマスコミや国際メディアでは、中国が軍事支配を確立し、オーストラリアを基地で包囲しようとしているという報道が相次いだ。
この熱狂は2022年4月1日、ソガバレ首相が、中国との協議では島への中国軍基地の設置は想定されていないと発表するまで続いた。しかし、この話には裏があり、ここで終わりではないのだ・・・
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島の住民同士の争い

ソロモン諸島では、首都ホニアラがあるガダルカナル島と、海峡を挟んで北東に位置するマライタ島の住民の間で長年にわたり紛争が絶えない。この国の主要な港湾と空港は首都ホニアラの近くにあり、ホニアラが経済の中心地である。一方、マライタ島は約14万人(全人口の約21%)の人口を抱える大きな島だが、非常に貧しく、農業が主要産業である。マライタ島の住民はガダルカナルに移住し、首都とその周辺に定住するようになっている。
加えて、ガダルカナルの住民は戦時中に、飛行場や港湾を建設するために土地を接収されたが、それに対する補償は行われていない。1999年初頭、こうした不満が大規模暴動につながり、それが何年も断続的に続いた。直近の暴動は2021年11月にホニアラで発生した。
ソガバレ首相は、2000年6月に和解と統一の提唱者として選出された。しかし、平和を実現するには大きな財政資源が必要であったため、平和を成し遂げることはできなかった。
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ソガバレ首相は、中国に助けを求め始めた。2019年9月、台湾との関係を断絶し、中国との関係を確立。その直後、中国との間で、年利0.05%で1000億ドルの融資を受けるための交渉が始まった。これはかなりの金額である。ソロモン諸島のGDPは14億7000万ドルだったため、事実上、ソガバレ首相は国のGDPの68年分に相当する金額を要求したことになる。その意図はそれなりに論理的であった。これだけの融資があれば、多くの経済問題が解決でき、紛争の火種もなくなるはずである。しかし、中国は融資しなかった。
マライタ島のダニエル・スイダニ州首相は、台湾との関係の支持者だった。マライタ等では台湾の企業が農業ビジネスを行っていたのだ。台湾との国交断絶後、スイダニ州首相はソガワレ首相に反対するようになった。2021年11月にホニアラで起きた暴動は、ソガバレ首相を打倒しようとマライタ島出身者が起こしたものだった。中国との安全保障条約の草案が生まれたのには、中国軍兵士にソガバレ首相を守ってもらうという背景があったのだ。条約案の公開は、マライタ島の州首相の顧問の一人が、交渉を決裂させるために行ったことである。
すべては、島民同士の内部紛争だった。それが大きな反響を呼び起こしたのである。

小さな兵力を短期間なら展開できる

それでは、中国軍がソロモン諸島に駐留する可能性はあるのだろうか?
ホニアラ空港は、もとは1942年に日本軍が建設を始めたヘンダーソンフィールド空軍基地である。現在、滑走路は全長2200m。中国のあらゆる航空機に対応でき、軍用輸送機Xian Y-20も離着陸できる。この輸送機は貨物66トン、99式戦車にいたるまでの装甲車両を最大7800km輸送することができる。
現在、この空港に軍用機は常駐できない。それには誘導路やパッド、インフラの整備が必要で、数ヶ月の時間を要するだろう。
ホニアラ港は喫水10m、全長200mまでの船舶を受け入れられるが、バースは2つしかない。中国軍の揚陸艦が部隊を海岸に上陸させ、輸送艦が港で貨物と軍用装備を降ろすことはできる。しかし、艦艇が停泊する場所、つまり適切なバースがない。さらに、ホニアラの港湾や海岸は海軍基地の建設に適さない。つまり泊地に適した場所がないのだ。
もちろん、中国の技術者なら、湾内に人工島を建設することもできるだろう。しかし、艦隊の行動を支えられる本格的な海軍基地を建設するには、数年にわたる集中的な建設作業が必要になる。
そのため、現状では、ガダルカナルに投入できるのは、海兵隊2〜3個大隊と数機の航空機からなる小さな兵力のみ、しかも短期間である。恒久的な軍事基地の建設には多大な労力と時間が必要であり、オーストラリアの反応が非常に厳しいことから、実現は困難だろう。
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