欧州、アジアでLNGが供給過剰　この状態は長期化するか？

ブルームバーグによれば、欧州とアジアで液化天然ガス（LNG）の予想外の供給過剰が発生している。一方で、ブルームバークの専門家らは、この過剰傾向が長く続くとは断言できない。

ロシアによるウクライナ特殊軍事作戦の開始後、ロシアのガス輸入業者の多くは従来型のエネルギー市場の崩壊に怯え、新しいガス供給源を積極的に探した。その結果、韓国からスペインまでの領域のガス貯蔵容量は2021年よりも平均11週間も早く充填された。タンカーは、ロシアのパイプラインから得られなくなったガス量を補うためのLNGを満載したまま、数週間にわたり受け入れ先がない状態で海上で待機を余儀なくされている。

ブルームバーク・インテジェンスのエネルギーのアナリスト、テロン・カスター氏は、「どうやら現在の状況は短期的なガス供給不足で、これが今後数週間、LNG市場の値下がりに圧力をかけ、その結果、指標が多少下落する可能性がある」と述べている。

カスター氏によると、ガス需要は通常、暖房シーズン終了後、夏の猛暑で冷房が必要になるまでの間は減少する。まさにこの時期こそ、余剰のガスは次の暖房シーズンのためにガス貯蔵施設にまわすことができる。カスター氏は例として、欧州で最多のLNGターミナルを持つスペインを引き、現時点ですでに貯蔵容量の85％が満たされており、8月には100％に達するだろうと見ている。

ブルームバークはまた、2023年3月に世界のLNG輸出が過去最高水準まで回復したのは、主に米国とオーストラリアからの供給量の増加によると指摘している。中国、韓国、日本など、ガス消費大国も同時に自国の供給過剰を理由にLNGの再輸出を行ったこともこれに寄与した。それでもカスター氏は、欧州やアジアのガス価格は昨年の高値からは大幅に下落したとはいっても、水準としては過去10年間の平均を常に上回っており、これは、輸入国が現在のガス供給過剰がいつかは終わることを懸念している証拠だと指摘する。ブルームバークは、ガス価格が低い場合、それはガスの追加需要を刺激しかねないため、ガス不足と価格上昇が新たに引き起こされることになると強調している。

国際通貨基金（IMF）は、中国の経済成長の加速が欧州のガス料金にネガティブな影響を及ぼしうると警告を発している。

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