【特集】陶芸家の妻、カーチャさんが日本への思いを形に 日露カップル、ロシアの日常生活を配信中!(前編)

© 写真 : Shin-Katya.channelカーチャさん
カーチャさん - Sputnik 日本, 1920, 13.09.2023
サイン
ロシア・モスクワに暮らす日露夫婦、夫の塚原秦(シン)さんと、妻のエカテリーナ(カーチャ)さん。二人のYouTubeチャンネル「シンとカーチャんねる/モスクワ在住夫婦」は、シンさんという日本人の目線を通したロシアの日常生活が見られることで、人気を集めている。妻のカーチャさんは陶芸家として活動しており、日本にもファンが多い。塚原さん夫妻へのインタビュー前編は、カーチャさんが陶芸を始めた意外なきっかけや、普段使いできる食器づくりにこだわる理由、日本とのつながりについて話を聞いた。
カーチャさんは日本語が堪能で、シンさんとの会話は日本語とロシア語半分ずつだという。ロシアで日本語を始める若者の動機のほとんどはアニメや漫画だが、カーチャさんの場合は、読むだけでなく漫画を描いてみたいという気持ちが高まって、大学生の時に日本語を勉強し始めた。カーチャさんは美術大学でデザインを専攻し、絵画や服飾、フラワーアレンジメント、ぬいぐるみ製作に至るまで、あらゆるものを手作りすることができた。また、教職課程も取っていたので、在学中からすでに美術教師として働いていた。
日本語会話クラブが主催するピクニックで、当時モスクワに留学中だったシンさんと出会った。2015年8月、交際中の二人は、初めて一緒に日本を訪れ、シンさんの家族と一緒に三浦半島に遊びに行った。そこには藍染めやガラス工房など様々な体験型のレクリエーションがあり、どれも楽しかったが、カーチャさんが一番気に入ったのが陶芸だった。カーチャさんはその時のことを「陶芸の工房がとても素敵で、なんて温かい雰囲気に包まれているのだろうと思いました。それまで作っていたもの、やっていたことは、どれも面白かったですが、面白いだけで終わっていました」と振り返る。
© 写真 : Shin-Katya.channelカーチャさん、初めての陶芸体験
カーチャさん、初めての陶芸体験 - Sputnik 日本, 1920, 12.09.2023
カーチャさん、初めての陶芸体験
ものづくりを自力で追及するのが好きなカーチャさんは、モスクワに戻ると早速ろくろを購入し、ネットで動画を見て陶芸の修行をしつつ、わからないところは日本の陶芸の先生に質問した。シンさんも協力し、陶芸をビジネスとしてやっていくためのオンラインセミナーなどを受講しながら勉強した。シンさんは「失敗してもいい。若いうちにやりたいことをやろう」と背中を押した。
© 写真 : Shin-Katya.channelカーチャさんの夢がつまった結婚式
カーチャさんの夢がつまった結婚式 - Sputnik 日本, 1920, 12.09.2023
カーチャさんの夢がつまった結婚式
二人の絆はどんどん深まり、2017年の春に結婚することに。まずはロシアで結婚手続きを行い、10月に日本で本格的な結婚式を挙げることにした。カーチャさんは「自分で引き出物を作りたい」と、日本で行う結婚式に向けて作品を作り始めた。カーチャさんは「今思えば、素人感満載で恥ずかしいのですが、その時のプレゼントはとても喜んでもらえました。10月は私の誕生月でもあり、秋をテーマにした結婚式がしたかったんです。シンさんがたくさん準備してくれ、完璧な結婚式でした」と嬉しそうに話す。
© 写真 : Shin-Katya.channel展示会に参加しカーチャさんの作品を販売
展示会に参加しカーチャさんの作品を販売 - Sputnik 日本, 1920, 12.09.2023
展示会に参加しカーチャさんの作品を販売
それとほぼ時を同じくして、ロシアでは、手作りの品を売りに出すことが流行し始め、ハンドメイド作品を扱う催しが各地で開催されるようになった。カーチャさんは窯を購入したり、個人事業主の資格を取るなど、陶芸をより本格的に行う準備を整えた。
ロシアの学校やモスクワ日本人学校で美術指導をしていたため、自由になる時間は少なかったが、2019年7月にはとうとう、夢だった自分の工房をオープンすることができた。シンさんも、日本で釉薬を調達したり、工房のリフォームを行うなど、全面的にサポートした。工房のために借りた物件は、二人いわく「半地下の、牢屋みたいなところ」だったが、それでも初めての工房はとても嬉しかった。陶芸を指導したり、作品を作って販売したりと、それから2年あまりはすこぶる順調だった。地味でも地道に活動していると、口コミでたくさんの人がカーチャさんの作品を評価してくれたのである。
© 写真 : Shin-Katya.channel最初の工房で行ったカーチャさんの陶芸教室
最初の工房で行ったカーチャさんの陶芸教室 - Sputnik 日本, 1920, 12.09.2023
最初の工房で行ったカーチャさんの陶芸教室
しかしロシアでは、悲劇は忘れた頃にやって来る。「牢屋」の家主から至急出て行ってくれと言われ、工房を引っ越すことになったのだ。シンさんは「日本人からすると、賃貸物件を借主が自分の資金でリフォームするのは違和感がありますが、こちらの人は普通にやっています」と話す。自分の好きな空間でないと創作意欲がわかないカーチャさんは、またしても新物件のリフォームを行わなければならなかった。ようやく第二の工房が完成し、親しい人たちで集まって乾杯した。その日は祝日で、2022年2月23日のことだった。次の日、ロシアをめぐる状況は一変した。
ロシアを出る日本人が急増し、二人も日本に行く可能性を考えたが、夫婦で話し合った末、いられるだけロシアにいることを決めた。この段階で、シンさんはたまたま半年ほど前にYouTubeを始めていた。気軽にスタートしたもので、登録者は500人ほどにすぎなかった。それが、ウクライナ情勢の急変で一気に視聴者が増え、現在では登録者が3万人を超えている。
当初こそいわゆる「アンチ」もいたが、今ではコメント欄のほとんどは応援メッセージだ。視聴者の多くは、若い二人の生活をハラハラしながら見守っている。今年の1月、カーチャさんの作品を日本で販売することにした時は、少しYouTubeで告知しただけで、わずか30分で完売した。最近、カーチャさんが作るお皿やコップ、湯呑みなどは、モスクワの著名な日本料理店で使われている。新規オープンする寿司店のインテリア作品の注文も入っており、創作の幅を広げている。
© 写真 : Shin-Katya.channel引っ越し後の工房
引っ越し後の工房 - Sputnik 日本, 1920, 12.09.2023
引っ越し後の工房
先の生活が見通しにくいロシア。身近な夢はある?とカーチャさんに聞くと、「もっともっと作品を作りたい」とシンプルな答えが返ってきた。

「日本が大好きですし、日本に行くこと自体はよくても、私にとって工房は子どものようなものです。日本に引っ越すかどうかという話が出たとき、この心をこめて作った工房を置いていけない、と思いました。この工房で作品をたくさん作りたいし、日本の皆さんに手に取ってほしい。そして、引き出物の時のように、作品が生活の中で使われていることが、何よりも嬉しいんです。もちろん、芸術の観点からは、抽象的なオブジェや大きな置物も含め、色々なものを作ってみたいです。でも私にとって、作品が実用的であることはとても大事ですし、気軽に使ってもらえるよう、高価になりすぎないことを心がけています。そして、ものを作る人ならみんなそうだと思いますが、私がいつかいなくなった後にも、作品は残ってほしいと願っています」

塚原エカテリーナ(カーチャ)さん
陶芸家
後編では、日本人夫・シンさんに、モスクワに残った理由や、自身のチャンネルに込めた想い、ロシア人家族とのカルチャーギャップ、ロシアで実現したい夢などについて、話を聞く。
関連ニュース
【ルポ】日本のベーカリー、もうすぐモスクワに誕生!日露コンビが総菜パンや菓子パンをロシアで紹介
子どもの日露二重国籍完全マニュアル:ロシア人と結婚したい人、必見!
ニュース一覧
0
コメント投稿には、
ログインまたは新規登録が必要です
loader
チャットで返信
Заголовок открываемого материала