Военный самолет и вертолеты на авиабазе морской пехоты Футенма, Окинава - Sputnik 日本, 1920
沖縄の米軍基地問題
第二次世界大戦末期に米軍に占領された沖縄には、1972年に日本に施政権が返還されて半世紀以上が経った今も31の米軍基地が残る。総面積は1万8609ヘクタールと沖縄の8パーセントを占めており、全国の米軍専用施設の面積の7割が集中。かつては朝鮮戦争の後方拠点として使用され、現在は中国と対峙する米軍の最前線拠点となっている。沖縄では長年、米兵による犯罪や米軍機の事故、騒音被害など様々な問題に悩まされてきた。これらを背景に、世界一危険といわれる普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題では、移設が唯一の解決策とする国とそれでは根本的な問題解決にはならないとする沖縄県が対立を深めている。

【視点】「日本政府は防衛費増額より、戦争にならない環境に尽力すべき」沖縄国際大学大学院 前泊博盛教授に取材

© 前泊博盛沖縄国際大学大学院 前泊博盛教授
沖縄国際大学大学院 前泊博盛教授 - Sputnik 日本, 1920, 02.10.2023
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締結から60年以上も経過した日米地位協定は、果たして現実に対応しているのか? 日本政府は安全保障のために、辺野古に基地建設する代わりにどのような行動を取れるだろうか? また、増額を目的とした防衛費はどの目的に使用されうるのか? スプートニクはこうした問いについて、沖縄国際大学の前泊博盛教授に答えていただいた。

地位協定は全面的に見直す必要がある

スプートニク:日米地位協定では、在日米軍人の法的地位はどのように定められていますか? どのような権利と責任がありますか?
前泊氏:日米地位協定の中には日本における権利も含め、米軍の法的な地位が書かれています。第2条によると、米側は米軍を日本におき、基地が欲しければ、それを求める権利を有し、日本側はそれに応える義務を負っています。それから、米兵に関しては協定の第17条で、犯罪を犯して起訴された場合、身柄を日本側に引き渡すということになっています。ただ、現行犯の場合には、日本側が身柄を拘束すれば、そのまま取り調べができますが、身柄を米国側が確保してしまうと、日本は検察庁に起訴されない場合、身柄が取れず、その間に証拠隠滅をされてしまう。実は地位協定17条にはこういう問題があります。
スプートニク:米兵が不法行為を働く場合、処罰を求める手段がありますが、その手段は実際にどれほど効果があるのでしょうか?
前泊氏: 改定を通して、起訴前の身柄引き渡しが約束されたのですが、残念なことに実際に引き渡された事例はほとんどありません。沖縄県だけでも米軍統治からの復帰後、過去50年間に犯罪件数は6000件を超え、そのうちの約1割、580件ほどが殺人、強盗、レイプ、放火といった凶悪事件です。このため、犯罪抑止のためには、日本の法律でしっかり裁ける方が良いということになったのですが、実際には身柄を取れず、基地の中に逃げ込まれ、米国に逃亡するケースもあり、立件は難しい。これを防止するには身柄を確保し、取り調べ、公平な裁判を保障するということが必要です。
スプートニク:60年以上前に締結された日米地位協定にこの現実を反映するためには、協定のどの条項を改正する必要がありますか?
前泊氏:よく焦点になるのは、例えば17条の犯罪者を裁くための身柄の引き渡しの改定とか、その被害者に対する補償制度の見直しで、また今、沖縄では基地からPFASという有機フッ素化合物の有害物質が流出し、それが飲み水を汚染する問題も起きており、これに対応できるように、環境関係の協定を改めて結び直した方がいいのではないかという議論も出ています。長年研究をしてきた私がストレートに思うのは、地位協定は全面的に見直す必要がある。そもそも地位協定は朝鮮戦争中に結ばれたため、有事における米軍の地位と権利を保障し、米軍が優位に立つ内容ですから、平時に米軍に優位な協定を結んでいるのはおかしい。
同様に地位協定を結んでいるイタリア、ドイツでも米軍は訓練もできるし、犯罪者も自分たちで裁ける。ところが米国は、こんな古すぎる協定で自己主張ばかりしていたら同盟国の信頼を失うと判断し、領域主権論にシフトしたんです。なのに、日本はまだシフトしていない。日本の外務省もつい最近まで、駐留軍に対しては日本の法は適用できないのが国際法上常識だというふうに書いてきたんです。ところが沖縄県が調査し、もう世の中そうじゃないことを指摘をしたら、外務省ホームページからその記述が消えました。
米軍とはいえ、日本に入国した以上、日本の法に従う。つまり地位協定で定めているような特権はいらない時代になっている。ところが日本の中にはこのような説明がまだ十分に行き渡っていないので、米軍は特権があって当たり前だと思っている人たちが、多分国民の9割ぐらいを占めていると思います。
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米軍からですら「辺野古基地はもう不要じゃないか」という話も

スプートニク:沖縄県は、辺野古への軍事基地建設をめぐる最高裁への上告が退けられ、敗訴しました。玉城知事はジュネーブの国連人権理事会で演説し、2019年の沖縄県民投票で基地移設反対が示されたにもかかわらず、政府が建設を強行していると訴えました。沖縄県民が自らの立場を守るために、どのようなツールが残されているのでしょう?
前泊氏:国が国に対して訴えを認めてほしいという裁判であると、どうしても沖縄県は不利になります。本当にフェアな裁判になっているのかという問題があって、例えば、この裁判で争われた「行政不服審査法」。これは市民が行政に対して不満がある時に訴えるという法律でして、それを防衛局という国が使い、国が沖縄県に対して行政不服審査を訴えるというのはあり得ない、国民を救済するための法律を国が使うというのはおかしいと言われています。これが、スタート段階からこの法の執行の仕方がおかしいと法律の学者たちも指摘をしている点です。つまり、日本がれっきとした法治国家なのかどうかということが問われている部分でもあるのです。
米軍からですら「この基地はもう不要じゃないか」という話も出ています。実は1960年代に米軍が辺野古に基地を作る計画があったのですが、ベトナム戦争の最中で、お金がないのに作れるのか、何のためだと、米国内で反対の声が上がりました。それが今回、あの普天間基地という、街中にある基地を移転させ、安全性を確保するという。その理由から日本政府がお金を出して作ることになりました。ところが、その基地そのものは環境を、サンゴ礁を破壊する。米国が保護を主張するジュゴンすら生息場所を失ってしまう。これでは環境保護にならない、しかとした設計書を出してくれというのが今回の裁判のきっかけになったんですね。
日本はこれだけの大金を軍事費に使うより、ロシアや中国としっかりと話し合い、北朝鮮と国交を回復をして、戦争にならない環境をつくった方がいい。ロシアとの関係でも、サハリンの天然ガスを開発し、北方領土を争わずに一緒に開拓するという協調路線でいくべきではないか。国際貿易でしか生き残れない日本が軍事費を増やし、周辺国との関係を悪化させていいのかという問い直しもあります。ですから、辺野古は基地問題にとどまらず、日本の外交問題まで象徴する場所になっているのです。
裁判で負けたから終わりではありません。国際社会の公平公正な視点から公正なジャッジをしてもらう。これが日本政府の判断の誤りを是正していくきっかけになると思います。
© 前泊博盛

前泊博盛教授、玉城デニー知事、東門美津子氏

前泊博盛教授、玉城デニー知事、東門美津子氏 - Sputnik 日本
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前泊博盛教授、玉城デニー知事、東門美津子氏

© 前泊博盛衆院予算委員会公聴会 2023年2月16日 
衆院予算委員会公聴会 2023年2月16日  - Sputnik 日本
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© 前泊博盛

琉球朝日放送取材研究室 2019年04月20 日

琉球朝日放送取材研究室 2019年04月20 日 - Sputnik 日本
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琉球朝日放送取材研究室 2019年04月20 日

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衆院予算委員会公聴会 2023年2月16日 
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琉球朝日放送取材研究室 2019年04月20 日

沖縄だけを戦場にして済む話ではない

スプートニク:辺野古基地建設に加え、沖縄は日本政府による露骨な武器汲み上げにもさらされています。日本政府は武力衝突が起きた場合、沖縄を犠牲にする覚悟があるということなのでしょうか?
前泊氏:武力衝突が起き、首都を攻め合う時には総力戦になって、国が崩壊するまで戦うことになる。それを想定して戦争を始める人はいませんが、国の指導者らはその覚悟で開戦しなければならないし、そういう事態を回避しなければなりません。私も日本政府に対し、戦争するなら東京と北京を想定しなさいと指摘しました。であれば、ミサイル防衛とか核戦争を想定しないでしょう。3000万人が4000万人、あるいは1億、2億人の首都をお互いが攻撃しあう戦争はまずやらないからです。ところが、軍事戦略上、指導者たちは自分たちは安全なので周辺地域で戦争を行います。なぜ、そこに住む国民だけが犠牲になるのかという矛盾は、国民全体が気がつかなければならない。
沖縄だけを戦場にして済む話ではありません。中国には日本は貿易量の25%も依存しており、対戦すれば日本経済は壊滅します。安全保障は軍事的な議論だけでなく、経済の上でも考えなければならない。中国と日本が戦えば、アジア全体が発展と安全を失い、世界に大きなダメージを与えるという想像力が世界中の指導者に欠落しています。ですからこの問題は「沖縄を戦場にするな」という表象的な狭い議論ではなくて、日本を、アジアをどうするか、あるいは世界経済をどうするかという視点でとらえ直す必要があるのです。
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沖縄の米軍基地問題
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軍事費を研究開発費に使ったらどれだけのことができるんだろう

スプートニク:ここ数年、日本国憲法、特に第9条の改憲論が多く出されています。国民の抗議にもかかわらず、自民党主導の政府が改憲を強く推進しているのはなぜでしょうか? また、なぜ憲法9条とその保持がそれほど重要なのでしょうか?
前泊氏:日本は戦後78年間、戦争に巻き込まれず、敵の攻撃を受けていません。なぜか。それは武器を持たず、行使せず、事実上の軍隊はありますが、軍隊を持たず、それを国際紛争の解決の手段として使わないということを第9条で明記し、国の誇りとして維持してきたからです。これがアジア諸国からの信頼を勝ち取り、大変な力を持ってきた。武器を買い、開発、製造をするよりも、国際社会で経済貢献をすることが日本のステータスを上げ、戦争を回避してきた。ところが、それに気づかない人が増え、今の平和は当たり前だと思ってしまった。
今、軍事費を一気に10兆円レベルまで倍増させれば、周辺国に大変な脅威を与えかねないという瀬戸際に来ている。これを見直すか、否かという大変大事な時期を迎えていると思います。9条はこの国の平和を守ってきた大事な憲法でした。
スプートニク:軍事費を10兆円レベルまで倍増させるより、他の分野に使った方がいいかとは思いませんか。
前泊氏 : もちろんです。日本は今、経済的なダメージを受け始めています。研究費は削られる一方で調査研究をしようにも、予算がもらえません。軍事費を技術開発や新しい経済発展分野に投資し、日本発の研究開発費に使ったらどんなに大きなことができるでしょうか。例えば、CO2の吸収技術を日本の若者らが開発をしていますが、こういう先進技術は世界に発信できる商品になります。それから、EV(電気自動車)の開発も中国が先行しそうなので危機感がもたれていますが、日本が本腰を入れ、地球温暖化を抑制する高い蓄電池能力の技術を開発すれば、軽量、安価、高速なEVがすさまじい勢いで発展する可能性があります。
日本は技術立国として発展してきた。そのテクノロジーに対し、どれだけの予算を投じられるかが、今、これが大事なところだと思います。
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