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    ロシアを覆うパスハ音楽祭

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    リュドミラ サーキャン
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    4月12日、ロシアはパスハ(復活祭)を祝う。これに合わせて、マリインスキイ劇場の芸術監督を務めるマエストロ、ワレリイ・ゲルギエフ主催の第14回モスクワ・パスハ・フェスティバルがスタートする。

    聖パスハの日、ロシア全土を舞台とする超大型の音楽祭が、モスクワ音楽院大ホールで始まる。フェスはロシア各地を巡回し、膨大な数の聴衆を沸かせつつ、同じ音楽院大ホールで5月9日に閉幕する。パスハ・フェスティバルの第1回は2002年。このときはモスクワで20のコンサートが行われただけだった。それが今は、途方もない規模に膨れ上がっている。黒海沿岸から北東の最果てまで、ロシアの26都市がフェスの舞台となる。当ラジオはフェスの主催者であるゲルギエフ氏に、フェス創始の当時、それがやがて全国規模の祭典に成長するとは予想していたか、と問うてみた。

    「いや思わなかった。ただ、2002年から2003年、2、3の地域をめぐってみて、ひょっとするとこれは私の音楽人生で一番面白いイベントかも知れない、という感触を得た。1996年、故郷のウラジカフカスでフェスを開催した。ほんの子供のときの姿で私のことが記憶されている街だ。それから2003年は、カザニでフェスを開いた。他にも、うちの楽団は、カリーニングラードで、キエフで、シベリアの幾つかの街で、コンサートを行った。私たちが行くところ、どこでも、ハイテンションなエモーションに迎えられた。こうした経験を得て、楽団員全員が、巡業公演というのは掛け替えのないものだ、人々にとっても、自分たちにとっても必要不可欠なものだ、と思うようになった。我々はよく外国で公演を行う。しかし私は、たとえばシベリア公演を犠牲にして外国公演を行うなどということになっては、嫌だ。シベリアには素晴らしい人々が住んでいて、いつも我々を待っている。力の続く限りは、自分の国、自分の国の人々のことをよりよく知るべく、なるべくたくさん旅公演を行わなければならない、と考えている」

    2015年、フェスは3つの出来事とタイミングが重なっている。まず、パスハ・フェスティバルというその名の通り、パスハ、復活祭。そして、ピョートル・チャイコフスキイ生誕175周年。さらに、大祖国戦争勝利70周年。こうした符合の分だけ、フェスは規模を増している。オーケストラ、アンサンブル、ソリスト、児童合唱団、音楽スタジオと、参加者の数も膨大なものに上っている。フェスの顔役を張るのはマリインスキイ劇場交響楽団だ。彼らは途方もない重労働をこなすことになる。この数年は、一日に2回本番があったり、一日に3都市をめぐったりという有様だった。しかしこの移動ということこそがパスハ・フェスティバルの特徴なのだ、とゲルギエフ氏は語っている。

    フェスは4つのプログラムを柱としている。まずシンフォニー。チャイコフスキーはもちろん、ラフマニノフ、メトネル、さらにはショスタコーヴィチ、プロコフィエフの「戦争交響曲」が演奏される。有名なショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」は、1942年にこの曲が初演されたサマラで演奏される。チャイコフスキーのピアノ・コンチェルトで常任ソリストを務めるのはデニス・マツーエフ氏だ。
    室内楽プログラムでは、チャイコフスキーの歌曲や、「戦争によって焼け焦げた歌」が演奏される。合唱プログラムでは、今年は国際色豊かに、ロシア、ブルガリア、ギリシャ、アルメニア、グルジア、スロヴァキア、セルビア、スウェーデンから10もの合唱団が参加する。

    そしてお終いに、鐘突きプログラムである。市民参加型のプログラムだ。ロシア全土の鐘突き名人が教会の鐘で音楽を奏でる。モスクワ地方やサンクトペテルブルグはもちろん、小さな村々で、ヴェリーキイ・ノヴゴロドで、ロストフ・ヴェリーキイで、ソロヴェツキイ諸島で、つまりはロシア全体がひとつのパレットとなり、妙なる鐘の音が響き渡る。

    フェスでは児童の参加が重視されている。マリインスキイ・オーケストラの赴く各都市で、児童合唱団が参加する。ウリヤノフスク州では年齢の様々な児童1000人からなる混成合唱団がプログラムを彩る。

    フェスのまたひとつの眼目は、若い、しかし既に世界に自らの力量を知らしめている演奏家たち、すなわちベフゾド・アブドゥライモフ、エドガル・モロ、パーヴェル・ミリュコフ、アンドレイ・バラノフの各氏を、公衆にお披露目することである。一方、チャイコフスキー・コンクールの開会を祝って、過去のコンクールで入賞したピアニストたち、バリー・ダグラス、デニス・マツーエフ、ボリス・ベレゾフスキイの各氏が熟練の技を披露する。

    パスハ・フェスティヴァルでは慈善コンサートも重要な位置を占める。退役軍人、高齢者、学生、軍人、教師が対象となる。また、高名な演奏家が病院や保育園を訪れ、妙技を披露する。またモスクワ国立大学を舞台に恒例の慈善コンサートが開かれる。5月8日にはモスクワのロシア軍中央劇場で軍人とその家族のための特別コンサートが予定されている。ロシア国防省中央軍人オーケストラも演奏することになっている。

    第14回パスハ音楽祭は戦勝記念日に厳かに幕を閉じる。モスクワの「ポクロンナヤの丘」における野外コンサートで、ワレリイ・ゲルギエフ氏の指揮のもと、デニス・マツーエフ氏とマリインスキイ劇場が熱演を披露し、25万人がその目撃者となる。そのあと、モスクワ音楽院の大ホールで最後のコンサートが行われ、フェスの最後の和音を奏でる。

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