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    モスクワ音楽院で源氏の舞

    モスクワ音楽院で源氏の舞

    © 写真: Anna Oralova
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    第17回「日本の心」音楽フェスティバルの最終日、天理大学雅楽部のOBを中心に結成された「おやさと雅楽会」が、モスクワ音楽院小ホールで華麗な舞台を披露した。「おやさと雅楽会」によるコンサートは12月23日、日本の明仁天皇のお誕生日を記念して行われた。

    「源氏物語の音楽の世界」と題されたコンサートでは、紫式部によって書かれた「源氏物語」の中に出てくる歌舞(うたまい)が披露され、ロシアの観客たちを平安時代へといざなった。モスクワ音楽院の小ホールでは、管弦、謡物、舞楽という雅楽の3つの形態が披露された。

    モスクワ音楽院でのコンサートの動画

    「おやさと雅楽会」は、これまでに日本各地のほか、中国、韓国、ベトナム、ドイツ、ウクライナ、ロシア、その他の国でも公演を行っている。「おやさと雅楽会」がロシアのモスクワとサンクトペテルブルグで初めて公演をしたのは2001年。それ以来、同雅楽会は、一度ならずロシアを訪れている。今回のコンサートは、世界情勢が緊迫する中で開かれた。天理大学の名誉教授で「おやさと雅楽会」の顧問をされている佐藤浩司氏は、通信社「スプートニク」のインタビューで、次のように語ってくださった-

    「私は天理大学に務めておりますが、大学は公的な機関ですから、フランスのテロ事件でロシアが外務省の危険情報で「レベル1」になっているので、学生を物騒なところへ行かせるわけにはいかないということで、止めてほしいということになり、私たちは自分たちの仲間を寄り集めて、また学生も任意で、自分で参加する場合には構わないということで、任意で3人の学生が参加し、18名で今回やって参りました」

    スプートニク記者は、「おやさと雅楽会」の名前の由来について、佐藤教授にお話を伺った-

    「天理はですね、天理教という宗教がありますけれども、天理市にある私たちが『おぢば』と呼んでいる天理教の神様の聖地は、人間が宿し込まれ、生み下された場所であるということで、私たちにとっての魂のふるさと、親なる里ということで、「おやさと」といいます」

    「おやさと雅楽会」のレパートリーは、非常に幅広い。雅楽の曲の他に現代邦楽やジャズなども演奏する。しかしモスクワでは、「源氏物語」とつながりのある雅楽の演目のみが披露された。佐藤教授に、「源氏物語」をテーマとしたコンサートについてお話を伺った-

    「私共はこれまで十数年間、毎年『源氏物語』をテーマにしてやってまいりました。そのため『源氏物語』は馴染みになっております。日本の文学だけではなくて、いろいろな意味で、雅楽をよく知っていただくために、私も努めさせていただいております。演奏の度ごとにロシアの方々が興味を持って私たちを受け入れて下さり、今日もそうですけれども、とてもたくさんの方々が私たちの曲のみならず、私たちの人間的なところにも親しみを感じてくださっています。『源氏物語』には雅楽の曲がたくさん書かれております。紫式部という方は大変聡明な方で、物語の中に雅楽の曲を取り入れることによって物語をより豊かにしているわけです。例えば今日、『青海波(せいがいは)』という舞楽をやりましたけれども、『源氏物語』ではこの『青海波』を光源氏と頭中将が共に舞う場面がありますので、皆さんにそういうところをできるだけ観て頂きたいと思って、今回企画いたしました」

    「おやさと雅楽会」は、平安時代にとても人気があったという「催馬楽(さいばら)」の復曲も行っている。宮内庁楽部には10曲の「催馬楽」が伝承されているが、天理大学雅楽部では、これまでに26曲が復曲演奏されているという。佐藤教授は、次のようにお話してくださった-

    「年に1曲ずつ復曲しております。もともと『催馬楽(さいばら)』は大変流行していたんです。特に平安時代に。ところが『応仁の乱』のおかげで京都は灰燼に帰し、その伝承が絶えてしまったんです。そして、これはもったいないということで、江戸時代になって再興されたんです。現在の宮内庁では10曲の『催馬楽』が再興されています。私たち天理大学の図書館には、元々は謡うものを事とした綾小路家という家の文献があります。その文献を参考にして、私たちは復曲するようにしたんです。平安時代の文献には大体64曲の『催馬楽』が記されています。天理大学では、それを年に1曲ずつ復曲するということを心がけてまいりました」

    1951年に結成された「おやさと雅楽会」は、楽器の演奏や舞の技術、また美しい装束など、平安時代に完成した雅楽の伝統を大切に守り、次の世代へ継承している。ロシアで雅楽が披露されるたびに、日本の宮廷音楽であるこの雅楽は、すでによく知られている歌舞伎や狂言のように、ロシア人がより身近に感じるものとなり、親しみや理解を深めている。

     

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