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    葛飾北斎がロシアの劇場で天才そして暴君として登場

    葛飾北斎がロシアの劇場で天才そして暴君として登場

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    リュドミラ サーキャン
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    偉大な浮世絵師で、外国で最も有名な日本の巨匠の一人である葛飾北斎が、モスクワのタガンカ劇場の俳優協会の演目「偉大な生意気なやつ、あるいは画家の情熱」の主役となった。同演目の基盤となっているのは、ロシアの作家で詩人、そして劇作家のエレーナ・イサエワ氏の戯曲「O-bon」だ。

    演目は次のように紹介されているー

    「18世紀と19世紀の変わり目に創り出された日本の偉大な浮世絵師、葛飾北斎の並外れた遺産は、時と時代を超えて愛と評価を獲得しています。もしあなたが葛飾北斎の名を知らなかったとしても、あなたは北斎の浮世絵を目にしたことがあることでしょう。北斎の人生は、彼の浮世絵のように、強烈さと鮮やかな彩に満ちていました。北斎は、傲慢ともいえるような大胆さの才能に恵まれています。しかしこの天才的エゴイストはある時、自分の力と意思を超越したものと出会います。その感情の名は、愛…」

    北斎役を演じるデニス・ムリャルさんは、演目について、極致を目指す浮世絵師の物語だと考えている。ムリャルさんは、次のように語っている‐

    「ロシアの男性の大部分は、例えば、日本人女性の神秘的な美しさや、謎めいたものに魅了されるのではないでしょうか。またこの演目をつくりあげる際に、北斎の作品の中に官能的なものがたくさんあることにも注目されました。いま日本に夢中になっている人は大勢います。恐らく皆さんは戯曲の中に、何か自分らしいものを見つけることができるのではないでしょうか。ですが私は、観客の皆さんが登場人物の中に自分を見つけ、真の自由について考えてくれたらいいなと思っています。真の自由とは、自分が一番上手くできることを、疲れも知らずにまっしぐらに行うということです。」

    ラジオ「スプートニク」は、戯曲を書いたイサエワ氏にインタビューを行った。イサエワ氏は、日本をテーマに取り上げたきっかけについて、次のように語った-

    「私は葛飾北斎が大好きです。また常にグローバルな個人のレベルで人間に共通する問題を考えることに興味を持っていました。今回私の関心を引き起こしたのは、創造と犠牲という問題でした。偉大な芸術家は、自分に対して無限の愛を感じている周囲の人々の感情を無視できるのかということです。戯曲「O-bon」では、北斎の娘、北斎の友人、北斎を愛する女性が、北斎のために尽くし、北斎の情熱のために自分の人生を捧げます。アーティストにとって何よりも優先すべきことは、芸術への献身であることは分かります。天才は自分の個性やその器の大きさで相手を圧倒します。その才能は、自分を取り巻くすべての人を自分の勢力範囲に引き入れ、惹きつけます。そこには、自分に最も忠実で、自分を愛してくれる人たちも含まれます。例えば、アンナ・スニトキナは、ドストエフスキーの才能のために尽くし、自分の全てを捧げました。スニトキナはそれで幸せだったのです。一方で、ソフィヤ・トルスタヤも天才的な夫トルストイのために献身的に尽くしましたが、このように専心的に尽くすさまは、トルストイには合いませんでした。私は、世界に名を馳す天才・北斎を例として、意識的な自己犠牲の問題を考えたのです。」

    葛飾北斎がロシアの劇場で天才そして暴君として登場
    葛飾北斎がロシアの劇場で天才そして暴君として登場

    北斎を愛する女性の役を演じているジアーナ・マクシモワさんは、同演目について、日本の演劇の模倣ではなく、日本を基盤として人間に共通する価値を理解しようとする試みだと考えている。マクシモワさんは、次のように語っている‐

    「ロシア人が書いたこの戯曲は、私たちが認識している日本の生活であり、ある種の東洋哲学を伝える手段でもあります。恐らく日本を専門に研究している学者たちは、私たちを批判する箇所を見つけることでしょう。ですが私たちは『歌舞伎座』でもなければ、本物の日本の伝統に近づこうとしているのでもありません。日本のアドバイザーたちが私たちの演目を観劇し、その後、私たちはいくつか修正を加えました。演目はとても活気があり、生き生きとしていて、ダイナミックで、プラグマチックです」

    舞台上では、背景に北斎の浮世絵が映し出されている。役者たちはあたかも北斎の浮世絵から出てきたかのようだ。また日本の作曲家でミュージシャンの喜多郎氏の素晴らしい音楽も、特別な雰囲気をつくり出している。

     

     

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