02:14 2020年11月24日
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国と県の全面対決に注目が集まっている。米軍普天間飛行場の移設先の埋め立て承認を翁長雄志知事が取り消したのは違法であるとして、国が撤回を求めた「代執行」訴訟。沖縄県知事に代わって、国が辺野古の埋め立てを行使する、というのがこの裁判の目的である。第二回目の弁論は来年1月8日の予定だ。国は沖縄県と話し合いでは問題解決できず、自ら法廷闘争に持ち込んだ。これに対し沖縄県の翁長知事は、「安全保障問題で地方自治体を説得すらできず、法廷闘争に持ち込むことの愚を国は肝に銘じるべきだ」と述べている。

東京大学大学院総合文化研究科の高橋哲哉教授は、「現在、沖縄に存在している米軍基地は、1960年に改訂された日米安全保障条約によって正当化されています。この時点では、沖縄県は国会議員を輩出できる立場になく、主張を国会に届けることができませんでした。今も政府は、基地のない島にしたい、という沖縄の民意を全く無視しています。一方、本土住民の安保条約支持率は大変高く、80パーセント超が支持しています。それならば基地は本土にあって然るべきです。」と指摘している。高橋教授は、現在日米安保条約を解消するべきとする声は小さいが、いずれは日本はアメリカ依存から脱却し、日米安全保障条約を解消した上で、中国、朝鮮半島、ロシアを含めた形で、東アジアの平和を構築すべきだとしている。

日本政府による沖縄差別は、現在、普天間基地の移設先を沖縄県内のみに自らしぼっているところからも大いに見てとれる。過去、本土に移設先を探そうという試みは、全くなかったわけではない。2004年、沖縄国際大学本館へのヘリ墜落事件の後、当時首相だった小泉純一郎氏は沖縄の基地負担を軽減すべく本土に対して呼びかけた。翌年、沖縄県出身の社会学者である野村浩也氏は著書「無意識の植民地主義」を出版し、沖縄人が基地と共存しているように見えるのも、沖縄が基地によって経済的に助かっているというステレオタイプも誤りであると訴えた。そして2009年に民主党政権が誕生した際、当時の鳩山由紀夫首相は「普天間飛行場は国外へ移設、最低でも県外」と発言したが、その後断念した。

高橋教授は「米元副大統領のウォルター・モンデール氏は先月琉球新報のインタビューに応じ、普天間飛行場の移設先について、アメリカは沖縄県内とは要求しておらず、基地をどこにおくか決めるのは日本政府であり、その決定をアメリカは受け入れるだろうと述べています。つまり、県内移設にこだわったのは日本政府の方なのです。しかしこれを本土のマスコミは一切報道していません。」と指摘している。モンデール氏は、駐日大使だった96年に当時の橋本龍太郎首相とともに共同記者会見を行い、普天間飛行場返還の日米合意を発表した人物だ。

代執行訴訟で国の言い分が認められた場合、これ以上沖縄はどんな行動を取ることができるだろうか。高橋教授は、「座り込みなどの非暴力直接行動による抵抗は終わらないでしょう。市民が、辺野古への新基地建設に反対する訴訟を起こすこともあるでしょう」と述べている。

いっぽう本土では、構造的な沖縄差別に気づき、米軍基地を本土に引き取ろうとする市民団体の動きが活発化してきた。今年3月に発足した市民団体「沖縄差別を解消するために沖縄の米軍基地を大阪に引き取る行動」の発起人、松本亜季さんは、次のように語っている。「2004年から辺野古に基地を作らせないための活動をしていましたが、当初のスタンスは『基地は日本のどこにもいらない』というものでした。しかし10年間の活動を振り返り、『基地を本土に引き取る』という風に活動方針の転換をしました。本土で基地を引き取ってほしい、沖縄への差別をやめてほしいという声はだいぶ前から沖縄で発せられてきました。最初それを聞いたとき、到底受け入れられるものではないと思いましたが、それは重要な問いかけでした。差別をなくすには、本土で基地を引き取ることだと思います。」

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