ワーカーホリックは現代社会の課題。過労死しないためにはどうすべきか?

© Fotolia / Galzpaka事務所
事務所 - Sputnik 日本
サイン
日本最大の広告代理店、電通は、職員が遅くまで残業しないよう、夜10時に建物内の電気を消すことを決めた。この決定は、日常的過労から自殺された新入社員高橋まつりさんの悲劇を教訓としたものだ。高橋さんは、都内にある電通女子寮4階の部屋から飛び降りて帰らぬ人となった。

日本、過労による自殺に関して大手広告会社に調査 - Sputnik 日本
日本、過労による自殺に関して大手広告会社に調査
この事件の後、電通は、さまざまな調査やチェックを受けることとなり、その過程で、同様の事件がすでに起こっていたことが判明した。過労は、すでに長い間、日本にとって信じられないほどにアクチュアルな問題である。

スプートニク日本記者は、ロシア高等経済学院付属応用心理学研究所の所長で心理学者である、グーリャ・バザロワ氏にロシアにおける働き過ぎ問題の特質、その原因は何かについて聞いてみた- 

「ワーカーホリックというのは、事実上常に、感情的な燃えつきといった現象に行きつく。その際ロシアでは現在、突然変異の兆候がある。かつてわが国では、それはしばしば、素晴らしい生活を求める心と結びついていた。ソ連邦崩壊後、ロシアは、より開かれた国となり、新しい物質的豊かさの獲得を目指す傾向が生じた。つまり人は、良いアパートや高い車、郊外の家そして旅行などのために多く働いた。しかし、こうしたワーカーホリックには限りがある。一定の目的を果たしてしまえば、人は、自分の活動レベルを下げ、立ち止まることができた。しかし今日現れたのは、新しいタイプのワーカーホリックだ。それは、スコルコヴォが質の高い企業活動のトレンドとなり、ビジネス-スクールが発展していったことで生まれた。人は、もっとたくさんの事ができることを理解し、事実上一日24時間働いている。なぜ日本の若い女性が、窓から飛び降りたのか? 私にとって、その理由は明らかだ。人生の意味を失ってしまったのだろう。こうした診断は、プロとして完全に自己実現することに我が身を捧げている人に当てはまる。創造的活動をする人々は、多面的に自己実現するため、そうしたリスクは小さい。もし人が、毎日決まった仕事をしているならば、感情的に燃え尽きてしまうリスクは大変高い。特に、仕事のストレスが高い責任感と結びついた場合、リスクはもっと上がってしまう。

一定の年齢になると、人は、自分のキャリア上のニーズに注意を向けるばかりでなく、一体誰のためにこれほどたくさんの仕事をするのかと自問するようになる。

働き手の大部分を占める、雇われて働く人達は、しばしば曖昧な動機を持っている。彼らには、常に制限とクリアしなくてはならないバーがあり、それらが彼らに圧力をかけている。一方精神的に自身が求めるものは、年齢と共に大きくなってゆく。そして人は自問し始め、自分は何のためにこんなに長く働き、誰のためにこれほどの仕事をしているのか問うようになる。そしてもし答えが見つからない場合、深刻な危機が生じ、しばしばそれは、中年期の危機によっても深まってゆく。

日本にもロシアにもある逆切れワーカホリック - Sputnik 日本
日本にもロシアにもある逆切れワーカホリック
それ以外に、世論調査の結果が示すように、今日の若者達にとっては、仕事において決定を下す自由が重要である。これは一種の奴隷蜂起と言ってもよい。同時にもし人が成長し、その所有物であるものに投資するならば、人にはすぐに、家族的関係が生じ相続というテーマが出てくる。例えば私企業の場合、それが繁栄するように維持することが重要だ。なぜなら、それは将来の子供達に関係するからだ。これは全く質の違う動機である。それは人の死の境界を越えており、事実上、永遠の資本に投資している。そうなればビジネスマンにとって、負った重荷を処理するのは感情的に楽になる。

しかしなぜ他でもない、高度に発達したハイテク国家日本で、一体なぜ過労の問題を処理できないのだろうか? 私にはこれは、主として服従のメンタリティの上に構築された特別の文化に原因があるように思える。そこでは、間違う事の恐れ、迷惑をかけることの恐れが非常に大きい。日本人は、自分の可能性をフルに使って頑張って働いている。そういう場合、リラックスすることはできない。いわゆる日本のテクノロジーは、日々改善されている。その際人は、もし彼あるいは彼女が、何か間違いをしたら、その事が会社全体に影響することを理解している。個人的メンタリティの問題さえ提起されない。人は、自分が一つのシステムの鎖の一つであり、そこから脱落できないことを知っている。その際彼あるいは彼女は、キャリア・ゲーム、社会的地位、さらには家族など大変多くのものをリスクにさらしているのだ。」

ではどうしたら、仕事への異常な依存からワーカーホリックの人達が逃れる助けをすることができるだろうか?  彼らが人生の意味をなくさないようにできるのだろうか? これについてバザロワ氏は「雇用主は常に、社員がロボットなどではないことを忘れずに覚えておく必要がある」と指摘し、次のように続けた-

「現在雇用主は、やる気がある事を口にしているにもかかわらず、社員が働くことを妨げている日々の問題や個人内部の諸問題解決に向け、社員に対し心理的援助をしようと考えている。自分の部下を案じる指導者らは、感情的心理的負荷を楽にさせるため、一日間の研修を予約している。中小企業では、自分達の会社の命運が、社員達に、彼らの幸せそうな目の輝きにかかっていることを理解している。なぜなら、人間という資本への投資、社員に注意を向け、思いやり深く接する事こそが投資、最も着実な投資であるからだ。

成果のみに目を向けるやり方は、社員が感情的に燃え尽きる直線コースである。必要なのは、成果も出しながら休息もとるという間の、最上の中間点を見つけ出すことだ。問題が急激に深刻化する前に、調整する必要がある。もし人が、一時休憩や休息に厳しい制限を設けて、成果のみを求めようとするならば、必ずや危機的状況に陥るに違いない。」

ニュース一覧
0
コメント投稿には、
ログインまたは新規登録が必要です
loader
チャットで返信
Заголовок открываемого материала