16:35 2018年12月13日
ソ連ミサイルの破壊、1987年(アーカイブ写真)

INF崩壊に反対の日本 だが他の選択肢はあるのか?

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アンドレイ イルヤシェンコ
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米国が中距離核戦力全廃条約(INF)からの離脱を決意した後、ドイツのハイコ・マース外相はシュピーゲル誌に論説を発表し、兵器管理体制の刷新を提案した。マース独外相は中距離核戦力全廃条約を保持し、米国、欧州、ロシア間での軍備に関するデーターの交換の実践に立ち戻り、弾道、巡航ミサイルにとっての機密のない体制を確立し、戦闘ロボットを禁じ、中国のミサイルプログラムの透明性を拡大するよう意見のすり合わせを図るよう呼びかけた。とはいえ安全保障の問題は上記に列挙しただけでは終わらない。

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問題はまず欧州に配備されている米国の戦術核兵器であり、米国がミサイル迎撃システムの効果をテストする際に中短距離の演習用ミサイルを使用し、犯した夥しい数の中距離核戦力全廃条約違反だ。これに加え、米国防総省は欧州、アジアの領域にMDの地上、海上のグローバルインフラを展開し、攻撃的性格の大規模な軍事演習を実施している。

こうしたすべてが兵器管理の分野で米国がロシアと、また多方面と結んだ条約に否定的な態度をとる中で起きているのだ。その中には弾道弾迎撃ミサイル制限条約があるが、米国はこの条約から一方的に離脱した。ヨーロッパ通常戦力条約と包括的核実験禁止条約に対しては米国は批准を拒否した。新戦略兵器削減条約(新START)、 中距離核戦力全廃条約、そして領空開放条約もそうだ。ヨーロッパ安全保障条約案および宇宙兵器配備禁止条約案は、米国は討議することも拒否している。

こうした背景で出された独外相の提案は、もうおめでたい申し出を通り越し、兵器管理システムが一層の劣化を深める世界の軍事政治状況の現実から遥か彼方に切り離されたものと言わざるを得ない。

事態は東方でもそう簡単ではない。

日本の小野寺防衛大臣は今年7月、ロシアのショイグ国防相との会談で、日本が自国領域に配備を計画しているイージス弾道ミサイル防衛システムはロシアを標的にしたものではなく、単に国防的性格のものだと約した。この声明は、ロシアが「イージス・アショア」は地上攻撃用巡航ミサイルの発射にも使われる可能性があると憂慮していることへの回答となった。

エイブラハム・デンマーク前米国防次官補(現在、シンクタンク「研究者のためのウッドロウ・ウィルソン国際センター」のアジアプログラムの所長)は以前、記者団に対し、ポーランドとルーマニアに配備されうる「イージス・アショア」は、防衛から攻撃へと容易に課題の様相を変え、ロシアを標的にすることが出来るだろうと語っていた。これを踏まえれば、日本についても状況は同じだと言える。

一方でウィルソン・センターのロバート・リトバク上級副所長は、米国には短距離弾道ミサイルで今現在、もしくは近未来でロシア、中国ないし他の大国に対立する可能性はない」との見方を示している。当然、こうした条件下では「イージス・アショア」システムをライバルを標的にした攻撃システムとして使用することはより論理にかなう。

日本は米国の中距離核戦力全廃条約からの離脱に異議を唱えた。だが東半球における米国の主たる同盟国にほかにどんな選択肢があるというのだろうか。

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ミサイル, 武器・兵器, 日本, 中国, 米国, ロシア
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