04:11 2019年03月27日
沖縄にある米国と日本の旗

ロシアとの領土問題解決に日本が米国の助けを必要とした理由は? 露日首相は諸島交渉を「美味しく」仕上げられるのか?

© AFP 2018 / Tim Kelly
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安倍晋三首相は年始に、2019年がロシアとの平和条約締結交渉の転機になると述べた。安倍首相はまた、露日がこの条件で平和条約を結べるよう米国の支援を見込んでいる。訪米中の自民党の河井克行総裁外交特別補佐は、ハドソン研究所でこの旨を米国に伝えた。

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共同通信によると河井氏は「アメリカには中国の脅威への共同対処としての日ロ平和条約締結の重要性を理解してほしい」としたうえで、安倍首相が在職中に文書に署名してロシアとの領土問題を解決する意気込みだと述べた。

今年1度目の交渉は1月に予定している。安倍首相が1月後半にモスクワを訪れ、25回目となる露日首脳会談をプーチン大統領と行うと見られる。1月14日にはモスクワで露日外相会談を予定している。安倍首相の楽観的な見通しの根拠と、米国の支援を必要とした理由は何だろうか?

日本にとって、この問題に対する米国との協議は不可欠だ。スプートニクのインタビューでロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所のアジア太平洋研究センターのヴィタリー・シュヴィドコ主任研究員が述べた。

「日米安保条約は、あらゆる安全保障の問題が協議を基に解決される必要があるとしている。そして在日米軍基地は全て条約に基づき、日本政府の同意によってのみ設置されている。1956年のソ日共同宣言に記載されているようにハボマイ(歯舞)諸島とシコタン(色丹)島が日本に引き渡された場合、同地に米軍基地が現れるかもしれないと、ロシアは強く気をもんでいる。安倍氏はそうしたことは起きないと約束した。だがこれは米国政府と合意する必要がある。米国から好感触を得られれば、ロシアとの交渉は簡単になる。日本政府が米国に呼びかけるのはこれが初めてではない。そしておそらく、ロシアとの平和条約が日本にどれほど重要かとの理解を日本は得られただろう。日本の対露制裁が極めてお飾り的であることに対する非難が米国から全くないという事実が、それを物語っている」

1960年に日米安保条約が締結されたことを受け、当時のソ連はクリル諸島(北方領土)引渡しの義務を取り消した。その後もソ連外務省は、ソ連にとってこの問題は存在しないと主張していた。1991年、ゴルバチョフ・当時ソ連大統が訪日中、ソ連側は再び領土問題を認めた。6年後にはロシアのエリツィン元大統領と橋本龍太郎元首相が、2000年までに平和条約を締結することで合意した。だが試みは失敗した。

ロシアの世論は領土に関する譲歩の準備ができていない。地政学問題アカデミーのウラジーミル・アノヒン副会長はそう確信している。

「2004年11月、ロシアのラブロフ外相はプーチン大統領の訪日を前に、ロシアがソ連の後継国としてソ日共同宣言を存在するものとして認め、これに基づいた日本との領土問題交渉の用意があると述べた。これは正式な立場だ。だがロシア社会でこの件に関するコンセンサスは今までなかったように、今もない。そして私は、プーチン大統領が日本への諸島引渡しという措置に踏み切るとは想像もできない。なぜならこれは世論の反発を確実に引き起こし、大規模デモ運動のきっかけになりうるからだ。そして安倍氏の発言はどちらかと言えば、国内のオーディエンスに向けられている。夏、日本では参議院選挙が行われる。そして安倍首相はどんなものでも手柄が必要になった。憲法改正を続けるつもりならなおさらだ」

ロシアの独立系世論調査機関「レバダセンター」が昨年11月に行った調査によると、回答したロシア人の74%が日本への諸島引渡しを支持しない。もちろん、適切な世論の準備なしに諸島を引き渡すことはリスクが高いだろうと指摘するのは世界経済国際関係研究所のクリスティーナ・ヴォダ研究員だ。

「だが多くはいかに取引を『料理する』かにかかっている。誰もが気に入るよう『美味しく』料理することも可能だ。ニュアンスを考慮せずに、ぐちゃぐちゃに料理することも可能だ。そのためには柔軟で長期的視野を持つ外交アプローチが必要だ。そして日本が世界第3位の経済大国で、何よりも私たちの隣国であることを忘れるべきではない」

今月9日、在日米軍トップのマルティネス司令官は東京で会見を開き、日本に引き渡されても米国が南クリル諸島に部隊を展開するつもりはないと述べた。その上で、露日首相間で「建設的な結果」が出て、「長期間懸案となっている問題が解決する」よう願っていると述べた。だが、現在の露米関係を考慮すると、この言葉がロシア社会で文字通り理解されることはないだろう。

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日米関係, 露日関係, 日本, 米国, ロシア
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