06:49 2019年11月16日
『エフゲーニー・オネーギン』

「カルチャーショックだった」 ロシアのオペラ歌手が東京の新国立劇場で上演された『エフゲニー・オネーギン』について語った

Masahiko Terashi / New National Theatre, Tokyo
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新国立劇場の第2シーズンが10月1日、チャイコフスキーの名作『エフゲニー・オネーギン』の新制作で開幕した。この舞台の特徴は、1922年のスタニスラフスキーの演出が再現されており、ロシアと日本のオペラ歌手が共演していることだ。スプートニクの東京特派員が『エフゲニー・オネーギン』を観劇し、ロシアのアーティストに日本の印象を尋ねた。

エフゲニー・オネーギン』はロシアの国民的詩人プーシキンの韻文小説をもとにした作品であり、美しくロマンティックなチャイコフスキーの音楽が、タチヤーナとオネーギンの切ない愛のすれ違いの物語を情感豊かに描き出している。

『エフゲーニー・オネーギン』
Masahiko Terashi / New National Theatre, Tokyo
『エフゲーニー・オネーギン』

新国立劇場の広報担当がスプートニクに語ったところによると、日本とロシアの歌手が共演するオペラを上演することを発案したのは日本側だという。広報担当によると、新国立劇場の大野和士オペラ芸術監督がシーズン開幕にロシアのオペラを選んだのは偶然ではない。大野氏は、ロシアのオペラは世界最高のオペラのひとつなのに、日本ではなぜかほとんど紹介されてないと考えている。

「私たちはひとつの組織になった」

スプートニク:ドミトリー・ベルトマン監督はあるインタビューで、この演出を人間関係の学校だと語っていました。日本人と一緒に働いて、どうでしたか?言葉の壁で苦労したことはありましたか?

ワシーリー・ラデューク(オネーギン):まず、新国立劇場のコーラスに触れたいと思います。なぜなら、素晴らしいコーラスで、私たちは大きなカルチャーショックを受けたからです。彼らは、多くのロシアのオペラ劇場のコーラスよりも上手にロシア語で歌うのです。彼らはこれまでにロシア語で歌うことはなかったと思います。つまり、高度にプロフェッショナルな人たちで、一人ひとりがこの舞台に極めて綿密な準備をして臨んだということです。外国のコーラスがこれほど美しいロシア語で歌うのは、聞いたことがありません。

『エフゲーニー・オネーギン』
Masahiko Terashi / New National Theatre, Tokyo
『エフゲーニー・オネーギン』

一緒に舞台を作ったメンバーについては、日本側は1人残らず全員が素晴らしい人たちで、自分の役にぴったり合っていました。彼らは、ドミトリー・ベルトマン監督が課した課題も、作品の作者であるチャイコフスキーやプーシキンが書き残した課題も、極めて正確に観客に伝えています。私たちは共にひとつの組織になることができました。それは、スイス製の時計のように精密な組織でした。

エフゲーニヤ・ムラーヴェワ(タチヤーナ):ワシーリーの言うとおりです。日本人と仕事をすることで苦労はありませんでした。日本のソリストたちがとても上手にイタリア語で会話できること、一部の人たちは英語を十分に理解すること、ロシア語を知っている人もいることに驚きました。ものすごく礼儀正しく、責任感のある人たちで、気持ちよく仕事ができる人たちでした。

日本の印象

ワシーリー・ラデューク:日本に到着したのは9月2日でした。日本のことは大好きで、何度も来たことがありますし、ここで学んだこともあります。コーラスメンバーとして公演に来たこともありますし、劇場の公演で来たことも、日本のコンクールで優勝したこともあり、合計で10回以上は来ています。ですから、この国が大好きで、日本人や日本文化には、日本人がヨーロッパ文化に対して抱いているのと同じような、特別な思い入れがあります。

『エフゲーニー・オネーギン』
Masahiko Terashi / New National Theatre, Tokyo
『エフゲーニー・オネーギン』

まさに昨日、アレクセイ・チホミーロフ(編集部注:グレーミン侯爵役)と一緒に京都観光から帰ってきたところです。河口湖で富士山も見ましたし、鎌倉にも行きました。幅広い多様なプログラムで、美しい風景を楽しみました。

エフゲーニヤ・ムラーヴェワ:私は日本に来るのは初めてです。ですから、とても強い印象を受けました。日本でまず目に飛び込んできたのは、人々がとんでもなく親切だということです。心から親切なんです。残念ながら、まだいろんなところには行っていません。皇居に入ろうとしましたが、残念ながら閉まっていました。そのかわり、新宿御苑には行くことができ、とても美しかったです。

『エフゲーニー・オネーギン』
Masahiko Terashi / New National Theatre, Tokyo
『エフゲーニー・オネーギン』

スプートニク:若い人はオペラに興味がないというステレオタイプは現在にも言えることだと思いますか?もしそうなら、それを変えることはできると思いますか?

ワシーリー・ラデューク:「好き」を無理強いすることはできません。けれど、オペラが若者に人気がないというステレオタイプがどれほど正しいかは分かりません。15年ほど前は、たしかに、観客のほとんどが年配の人たちでした。けれど今は、劇が終わって、ライトが付き、私たちが舞台でお辞儀をしているときに見る観客席にはかなりの数の若者がいるというのが、正直な印象です。

エフゲーニヤ・ムラーヴェワ:私も、状況は変わってきていると思います。若者たちは多様性を求める中で、いずれにせよオペラを見に来ており、そのなかには本物のファンもときどき見られます。私たち自身も、自分たちの芸術をできる限りアクチュアルで面白いものにしようと努力しています。

『エフゲーニー・オネーギン』
Masahiko Terashi / New National Theatre, Tokyo
『エフゲーニー・オネーギン』

オペラ初演には日本の秋篠宮文仁親王も訪れ、満員御礼となった。オペラは10月12日まで上演される予定だったが、最終公演は台風で中止となった。

オリガ・ラリナを演じた鳥木弥生さんとのインタビューはこちら

演出家ドミトリー・ベルトマン氏とのトークショー

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