06:48 2019年11月16日
露中  新たな軍事協力の段階へ

露中  新たな軍事協力の段階へ

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安倍首相は、「日本政府はロシアとの会談を、領土問題の解決と平和条約締結に向けて新たなレベルに引き上げる意向」と第二百回国会の所信表明演説の中で再度述べた。停滞気味な露日関係とは対照的に、順調な露中関係が目立つ。今度は軍事関係においてだ。

ロシアは中国に対し、ミサイル攻撃警告システムの開発に協力する。プーチン露大統領は第16回ヴァルダイ会議の討論においてそのように発言し、「これは大変大きなことだ。中国の防衛能力を大幅に、根本的に向上させる。現在このシステムを持っているのはアメリカとロシアだけだ」と述べた。

ミサイル宇宙防衛システムの構築を担当する国家間企業「ヴィンペル」のセルゲイ・ボヨフ社長は、現在、同企業の専門家らが中国のミサイル攻撃警告システムのシミュレーションを行っていると伝えた。

パワーバランス

ロシアもアメリカも、ミサイル攻撃警告システムは、赤外線センターでミサイル発射を監視する衛星と、数千㎞にわたって空中および宇宙空間のいかなる動きも追跡可能なレーダーで構成されている。3つ目の、おそらく最重要な要素はコンピューターセンターだ。ミサイル攻撃の際に発生する膨大な量の情報を迅速に処理し、文字通り数分でその結果を軍・政治幹部に提示する。それを受けた幹部は、報復攻撃をするか、ミサイル防衛システムで打ち返すかを判断する。

中国は公式に、無条件の核の先制不使用を宣言している。しかし現在まで中国には完全な形でのミサイル攻撃警告システムはなかった。そのため中国は首根っこを掴まれ、敵からの一発攻撃で終わる可能性もあった。今後、ミサイル攻撃警告システムを展開することで中国の報復あるいは迎撃能力を大きく向上する。このような可能性は、ソ米関係において機能していた相互の核抑止の基礎となる。これで中国と米国の核パワーは互角になり、さらに、極東においては中国・ロシアの軍事能力と、米国・日本の軍事能力がより拮抗しつつあると言える。

本分野におけるモスクワと北京の協力は既に何年も続いているが、ロシア大統領がこれを公表したタイミングが今であることに注目したい。間違いなく、最大の原因は今年8月にアメリカがINF条約(中距離核戦力全廃条約)を脱退したことだろう。アメリカはこの決定に関して、中国の抑止を理由の一つとしている。

中国に対しては既に、米国の核の三本柱の大半が向けられている。中国は米国の、海上・空中発射巡回ミサイルといった、高精度長距離兵器の展開に懸念を抱いていた。その一方、中国のSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の報復攻撃は、アラスカやカリフォルニア(GBI:弾道弾迎撃ミサイル)、最近加わった韓国のミサイル防衛システム、また米国および日本の軍艦上のミサイル防衛システムで迎撃される可能性がある。日本領土に配備予定のミサイル防衛システム「イージス・アショア」の攻撃能力についても忘れるわけにはいかない。

INF条約が失効した今、アメリカの地上発射弾道ミサイルおよび巡航ミサイルがこれに加わる可能性がある。問題は解決を要しており、その解決方法が公表されたのだ。

同時に、ミサイル攻撃警告システムは中国による独自のミサイル防衛システム構築も含んでおり、露中の軍事関係者は既に2回、ミサイル防衛共同コンピューターシミュレーションを実施済みであり、3回目が準備中であることを考えると、本分野の協力は露中の軍事・政治的幹部の関心の範疇であると言える。

ロシアにメリットは?

元ロシア防空隊副司令官のアレクサンドル・ルザン氏は、「このような協力は、統一情報空間および中国のレーダーによるデータ共有が構築されれば東方からのロシアの安全保障はさらに確保され、その意味で重要だ」と述べている。ルザン氏は、「ウラジオストクと沿海州は守られているが、“深層”にはなにもない」と語った。

というわけでクレムリンはあらためて、軍事分野における相互依存に基づいた、中国との戦略的パートナーシップの内容深化に周到に取り組んでいることをアピールした。

この記事に示された見解はスプートニク編集部のものとは必ずしも一致していません。

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日本, 中国, ロシア軍, ロシア
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